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2020年 10月 27日
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

過去の赤道太平洋海面水温の変化が示唆する将来の温暖化増幅

東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩教授らの日欧研究チームは、27のCMIP5モデルによる21世紀末までの気候シミュレーションに加えて、4つの気候モデルを用いて生成された大アンサンブルのビッグデータを解析することで、上記の齟齬は自然の気候変動の影響を考えれば説明できることを示しました。具体的には、観測された気候変化は、温暖化応答に加えて、太平洋数十年規模振動(Interdecadal Pacific Oscillation, IPO)と呼ばれる自然の気候変動が正から負の位相に変化していたことで、東部太平洋の海面水温が低下していたためであり、十分な数のシミュレーションならばこの自然変動の時間発展をとらえることができると分かりました。さらに、観測された変化に近い時間発展を示すシミュレーションを複数特定し、観測された変化と逆傾向の(海面水温の東西コントラストが弱かった)シミュレーションと比較することで、IPOの将来の位相反転に伴って今世紀末までの温暖化の大きさが異なってくることを明らかにしました。温室効果ガスによる温暖化応答が小さいほど自然変動の影響が相対的に顕著になるため、高位の排出シナリオでは世紀末までに+9%、低位のシナリオでは2030年までに+30%も温暖化傾向が増大するという見通しが得られました。

本研究成果は、数十年という長い期間であっても、気候の変化は温暖化応答だけでなく自然の変動の影響を含むこと、またそれを適切に考慮することで、将来の温暖化傾向が一時的に強まることを示したもので、今後の温暖化予測およびグローバルストックテイクに重要な知見を提供しています。

上記の成果は、10月26日付でNature姉妹紙のNature Climate Change誌に掲載されました。

詳細は東京大学のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
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