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20190730
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日本-パラオ親善ヨットレースにおける多様なセクターとの協働による海洋プラスチック調査の実施

海洋プラスチック汚染は地球規模の環境問題であり、生態系や人類の健康への影響や社会/経済的インパクトが懸念されています。昨今、多くの国が産学官民をあげての対策を取りつつあり、先のG20大阪サミットにおいても、2050年までに海洋への新たなプラスチック流出ゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が表明されました。

プラスチックごみは広大な海洋に拡散し、その集積する過程は不明な点が多く、特にマイクロプラスチックに関するデータは不足しています。そのような状況の中で、海洋プラスチック汚染の迅速な解決のために、当機構のような専門の研究機関による調査に加え、競技ヨットやプレジャーボート、フェリーなどの民間船による市民参加型の調査が注目を集めています。

そこで、当機構としても、様々なセクターとの協働のもとでいち早く取り組みを進めるため、パラオ共和国独立25周年及び日本パラオ外交関係樹立25周年を記念して開催される「日本-パラオ親善ヨットレース」において、海洋プラスチック汚染に関わる科学的調査を実施いたします。

実施内容

日本-パラオ親善ヨットレースに参加する競技艇および伴走船(帆船「みらいへ」)に、マイクロプラスチック採取装置を設置し、レース中に海水からマイクロプラスチックを採取します。また、当機構の研究者が帆船「みらいへ」に乗船して、プランクトンネットによるプラスチック採取などいくつかの調査を実施します。帆船「みらいへ」には、パラオ共和国の青少年などを含む一般市民も乗船する予定で、それらの乗船者にも何らかの調査活動に参加していただきたいと考えております。レース終了後は、表彰式などで調査結果を速報で紹介するほか、様々な機会を活用して、本活動を周知して参ります。

この活動は、海洋プラスチック汚染問題に高い関心を抱く多様なセクター間での協働のもとで実施する予定です。今後詳細が決まり次第、ウェブサイト等において適宜情報を公開いたします。

◆帆船「みらいへ」

総トン数:
230トン(国内)
全長・幅:
52.16m×8.60m

乗船研究者からのメッセージ

海洋研究開発機構
地球環境部門 海洋生物環境影響研究センター 海洋プラスチック動態研究グループ
千葉 早苗 グループリーダー

2017年、国連は初めて海洋の保全をテーマに会議を開きました。それ以降「健全な海」を守り、かけがえのない海の恵みをこれからもずっと享受するためのうねりが、今世界中に広がりつつあり、海洋科学への期待も、その社会への果たす役割も大きくなっています。海洋科学者たちは国際観測ネットワークを作って協力して必要な知見を得ようとしており、海洋プラスチックの調査も例外ではありません。そこで期待されるのは、タンカーや、フェリー、レジャーボートのような民間船舶の観測ネットワークへの参加です。

私たちは、このプロジェクトの成功により、さらに多くの民間船舶や市民の皆さんが、海洋プラスチックの観測に参加し、科学的に信頼性の高いデータの生産に貢献してくださることを望みます。また、海洋プラスチック汚染の実態を知ることを通じて、市民の皆さんが広く海の恵みやその不思議、海と地球環境との関係について興味を持ち、理解を深めてくれることを望みます。

海洋プラスチック汚染は、深刻な地球環境問題の一つです。しかし、政治、法律、経済、科学、教育、多様なセクターが協力してともに取り組めばその影響を軽減することはまだ間に合うのです。

協働機関(五十音順:2019年7月30日現在)

国立研究開発法人海洋研究開発機構:調査実施
http://www.jamstec.go.jp/j/
一般社団法人グローバル人材育成推進機構:調査機会提供(「みらいへ」運航)
http://www.miraie.org/
株式会社商船三井:調査協力パートナー
https://www.mol.co.jp/
日本パラオ親善ヨットレース実行委員会:調査機会提供
https://japan-palau-yachtrace.com/