沖縄トラフ熱水活動域「ちきゅう」掘削孔を利用した潜航調査計画 in NT10-17

航海レポート

2010年9月23日

航海終了

川口 慎介(JAMSTEC・プレカンブリアンエコシステムラボ)

9月13日に出港したNT10-17行動も9月22日が最終潜航日で、21日夜に「最後にどこで調査がしたいか」という話し合いを持った結果、伊是名海穴JADEサイトで最終潜航を行うことになりました。これまでに良い試料の採れている地域での試料追加、これまでにうまく試料採取ができていない地域での再チャレンジ、そして次回以降につなげるための未開拓地調査を目的としました。海底下から気泡がポコポコと湧出する地点でのコア試料および熱水の採取、未開拓地に生息する生物の記載などを実施しました。

最終潜航が終わった後で、研究者全員でアッパーデッキへと上がり、海に沈む夕陽を背景に記念撮影をしました。今回の航海は、初めて研究船に乗る研究者が6名と多く、乗船前は船内生活や船酔いなどに対して不安を抱えていたようでしたが、終わってみればみんな快適に生活・研究が出来ていたようで一安心でした。今回乗船した学生さんの中には、卒業後に研究者以外の道に進む人もいると思います。でもそうなったとしても、たとえば就職活動の面接や、合コンや、家族団欒などの機会で「研究船に乗って深海の不思議な現象を調査したことがある」「船から見る水平線に沈む夕陽は本当にきれいなんだ」なんて語ってくれれば、そんなちょっとしたことだけで、ボクとしては幸せです。


アッパーデッキでの記念撮影

「家に帰るまでが遠足です」
誰の言葉かは知りませんが、日本中で語り継がれている名言です。23日には調査に没頭して汚しきった居室と研究室の後片付けをして、「第一次かわぐち探検隊」は解散しました。しかし、沖縄の熱水活動、そして地球のすべてを解明するまで、われわれの挑戦は終わりません。本レポートはこれにて終了となりますが、今後とも日本の地球科学研究の終わりなき旅に、ご支援ご声援をよろしくお願いします。それではまた会う日まで。さよなら、さよなら、さよなら。
(くしゃみはハクションで、マイケルはジャクソンですが、このレポートはノンフィクションです)