2022年5月20日 首席日報(終)

  • 5/17 航走
    5/18 航走,駿河湾着
    5/19 片付け,集合写真
    5/20 入港,艤装解除

  • 大きなトラブルは何一つなく,「みらい」MR22-03航海を終えることができました。残すは冷凍冷蔵の試料を送る宅急便待ち。あとは帰路と荷受けで気を緩めないこと。

  • これにてMR22-03航海の首席日報を終了いたします。お疲れさまでした。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

2022年5月16日 今航の大気組成観測

  • JAMSETC竹谷です。

  • 今航では大気海洋物質循環の大気→海洋の部分を重点的に観測するため、エアロゾル粒子のフィルター採取と、雨採取を頻繁に行っております。特にこの時期(春季)は東アジアからの大気汚染物質や黄砂などが西部北太平洋に飛来する頻度が高く、その影響を現場で測定することを目指して行っています。

  • 船の一番上の部屋のさらに上のコンパスデッキにエアサンプラーや雨サンプラーを設置し、観測を行っています。亜熱帯では雨が降らず難儀していますが、無事にデータが取れています。

  • 竹谷(JAMSTEC RIGC)

真っ白だったフィルターに茶色っぽい筋(大きなエアロゾル粒子を捕集)が。
真っ白だったフィルターに茶色っぽい筋(大きなエアロゾル粒子を捕集)が。
雨サンプラーも設置しています。
雨サンプラーも設置しています。
MR2101と同様にテルテルさんは雨を降らせるため、下向きです。
MR2101と同様にテルテルさんは雨を降らせるため、下向きです。

2022年5月11日 BGM

  • 我々のチームは生物生産への降雨影響を調査するための観測を行っている。
    メンバーはベテラン(オジサンとも言う)と若い(私から見れば)ニィチャンとネェチャンの基本的には3人体制。
    実験作業中は隣の部屋の人間の迷惑も顧みず、大音量で音楽をかけながら作業を行う。
    ノリノリで作業できるように、皆がよく知っている90年代、2000年代のヒットソングメドレーがかかることが多い。
    「ポケベルが鳴らなくて…♪」なんて、隣の部屋の平成生まれは何のことだかわからないだろう。

  • 今回、チームが重点調査海域と設定している亜熱帯域では様々な植物プランクトンの培養実験を実施した。
    亜熱帯域に滞在している期間は長くはないので、ちょっと無理して実験計画を組み立てた。
    早朝から夕方まで、船で供食される朝飯、昼飯の時間に間に合うように逆算して分刻みのスケジュールを立てる。
    初日こそスケジュールから20分、30分と遅れ、飯に間に合うか?と焦ったが2日目以降はほぼ予定通りにこなす。
    ただ作業し続けると、実験の終わる夕方にはオジサンは立っているのがやっとのヘロヘロ状態。

  • そんな時、夜に雨の予報!
    これは追加実験のチャーンス!!
    でも、もうそこまで頑張らなくてもいいか…とヘロヘロで弱気のオジサンは「負けないで もう少し…♪」と励まされる。

  • 後になって、分析できた中から楽しそうな実験結果も出てきた。
    頑張った甲斐があった。「バンザーイ♪」
    やっぱり「負けない事 投げ出さない事…それが一番大事♪」

  • 松本(JAMSTEC RIGC)

ある日のスケジュール
ある日のスケジュール
たくさんろ過(BGMを聞かせながらろ過しています)
たくさんろ過(BGMを聞かせながらろ過しています)

2022年5月10日 雨を求めて

  • JAMSTEC竹谷です。今航で大気海洋物質循環の研究として降雨による表層基礎生産の変化について、同じグループの松本さんと実験をしております。
    特に亜熱帯(貧栄養海域)での降雨の効果について降雨直後の海水を取得し、その分析、培養実験により海水の特徴をとらえようとしています。

  • が、雨が降らない。

  • ドップラーレーダーを確認してもそれらしい雨雲がない。(ドライな男は健在?)

  • かなり運次第とわかっていても3,4日に一回ぐらいはあるだろうと楽観的になっていたツケが。。。「降らぬなら、降るまで待とう」、ではなく、「降らぬなら、降らせてみせようと」ぐっと右手こぶしに力を入れました。

  • 亜熱帯の最終日(4/21)の夕方ごろから、ところどころで小さい雨雲らしいエコーを見つけ、対象となる雨雲に向け、トライ。ブリッジに行き、方向転換、速度指示。何とか雨を降らせること(?)に成功し、皆さんの協力のもと海水と雨水をゲット。この時20:00、この後、海水処理などを終え、すべての作業が終わったのは23:00。翌日は6:00から作業。なかなかハードな観測でしたが、何とか乗り切りました。結果が楽しみです。

  • 竹谷(JAMSTEC RIGC)

 
船のレーダーでも雨雲を確認。
船のレーダーでも雨雲を確認。
前方に雨雲
前方に雨雲
雨雲をやり過ごし、海水採取を実施。
雨雲をやり過ごし、海水採取を実施。

2022年5月9日 首席日報

  • 5/9 実施内容
    DeepNinja回収
    CTD(1000 m採水なし)
    U-VMP
    CTD(1000 m採水なし)

  • 5/10 予定
    St. 11 revisitに向けて航走

  • 1時間置きに送られてくるDeepNinjaの位置情報を基に,4,5,6時と接近してゆき,6時以降は5分間隔で位置情報を得て捜索。という戦略だった。6時には船橋に上がって待機の予定だったが,4時過ぎに目が覚める。これまでに送られてきた位置情報を地図に書き起こしながらPCに向かっていると,4時51分に「発見されました!」のメール。早っ。その後見失わないように追尾しながら6時に回収作業開始。オンデッキは6時25分。困難な作業のはずなのに,文字通り朝飯前に回収成功。

  • 昨日と異なり,霧は晴れ,波高1.5 m,風速3~5 m/sでべた凪だったため,レーダーで検知できたのが成功の鍵だったようだ。今航,荒れる春の亜寒帯で穏やかな海況を必要とする3つの観測が無事完了。よし。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

揚収作業
揚収作業

船外艇での回収作業
船外艇での回収作業
DeepNinja発見
DeepNinja発見

2022年5月8日 宝箱(係留系)の回収と設置成功

  • 本日は5月8日、本航海も残り12日となり、後ろから数えたほうが早くなりました。

  • 現在は本航海で最も北東に位置するSt.12にやって来ました。昨日までは大観測点と言われるK2というポイント(本航海のSt.11)に1週間ほど滞在し、5月でも気温1―4℃という寒さのなか、様々な観測や作業を行いました。その中でも目玉となるのが、係留系と呼ばれる装置の回収と設置です。

  • 係留系とは、2.4トンの重りを海底に沈め、そこから表層まで長さ約5000mにも渡るロープにいくつもの測器や自動試料採取器を取り付けて、各深度における海の状況を長期間にわたり測定する装置です。本航海で回収する係留系は昨年の2月に設置し、本航海で約1年3ヶ月ぶりに海から上げるものになります。

  • 測器は海中にあるため、ほとんどのデータは衛星で送信できません。無事に係留系を回収できて初めて取得できるので、いわば1年間分の宝箱を開くようなものです。もちろん最大500気圧もの水圧がかかる水中ですからトラブルも多く、うまくデータやサンプルが取れているかは開けてから分かるそうです。幸いにも係留系の回収は5月3日に無事成功しました。どのような結果が得られているかは今後のお楽しみです。

  • そして、昨日の5月7日には新たな係留系を設置することができました。次々と投入される測器の最後に2.4トンの重りを海に沈め、みるみるとロープが沈んでいく様は、圧巻でした。写真は重り投入時の様子です。1年半後に無事に帰ってくるんだよ!と思わず心の中で声をかけました。

  • さて、心配していた北の海の低気圧ですが、K2到着直前に最大8m超の波と風速30m/s超の大荒れを経験した後は、穏やかな日が続いています。この後はSt.12付近で別の測器の回収を行ったのちに針路を西に向け、いくつかの観測を経て最後の観測点である津軽海峡まで向かいます。このまま穏やかな海況でいてくれますように。

  • 岸 正敏(JAMSTEC RIGC)


2022年5月5日(こどもの日)

  • みらいよりこんにちは。
    海洋地球研究船みらいはまだ観測点K2(北緯47度、東経160度、地図で探してね!)におります。
    本日私は夜間のプランクトンネット観測を行いました。

  • 気温は2度C。水温は3度C。しかもきょうは低気圧の影響で、小雨で常に15m以上の風が吹いています。
    強風の日のプランクトンネット観測は大変です!海水からあがってきたプランクトンネットは、強風にあおられて、まるでこいのぼりです。
    バタバタと煽られて海水がしぶきとなって飛んでくるので全身ずぶぬれになります。きょうはこどもの日だから仕方ない、と自分をなぐさめます。

  • 1時間も観測すれば体の芯まで凍りつきますが、この後は採れたプランクトンを顕微鏡で丹念に選別する作業が待っています。
    サンプル中に1匹だけクリオネが入りました。ここK2ではときどき採れますが、私の目的はこいつではなく、これの餌となるミジンウキマイマイ。海洋酸性化の影響でその生存が危ぶまれる、薄い殻をもつ遊泳性の巻貝です。たくさん採れていることを期待しつつ、深夜の作業頑張ります!

  • 航海も折り返しを過ぎ、残り15日となりました。
    明後日は生物化学係留系の設置という大仕事が待っています。最後まで怪我のないように気を引き締めて臨みたいと思います。

  • 木元(JAMSTEC RIGC)


2022年5月4日 霧が晴れる

  • 亜寒帯の観測点K2では霧が発生しており、作業の制限になるということを聞きます(視界の問題もあり、基本、無いほうよい)。が、竹谷は、この霧の成分も興味があり、霧水を取得することも行っています。

  • で、霧が出た、さあ、サンプラーを設置だ。と、設置したは良いが、20分後には霧が晴れ、青空が見える。。。。ドライな男の本領発揮です。

  • やる気を出すと、霧が晴れたり、雨が降らなかったり、なんとしたものか。。。

  • 竹谷(JAMSTEC RIGC)

霧が出たが、、
霧が出たが、、
なぜ、そんなに早く晴れてしまうのか。。
なぜ、そんなに早く晴れてしまうのか。。

2022年5月3日 首席日報

  • 5/3 実施内容
    係留系回収

  • 5/4 予定
    FRRF → 乱流計 → CTD(300 m)→ VMPS → 乱流計 → FRRF → 乱流計 → CleanCTD → 乱流計 → FRRF

  • 波高2 m前後,風速5~10 m/s,視程良好。係留系の回収を決行。5時45分から準備に取り掛かり,6時半切り離し,8時回収作業開始。午後には回収終了。外気は3度前後だったので,昨日より1.5倍温か…(寒かった)。ほぼすべての測器が無事に1年超のデータを持ち帰って回収できた模様。今航の大きな山の一つをクリアできて一安心。残る山はあと2つ。気が抜けて3時間ほど昼寝をしてしまった首席は,19時過ぎでも働いている人を見かけては,区切りを見つけて休める時に休んでいただくように声がけをするなど。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

係留系回収開始
係留系回収開始
St. K2 係留系回収直前の円陣で作業確認と安全祈願
St. K2 係留系回収直前の円陣で作業確認と安全祈願

2022年5月2日 首席日報

  • 5/2 実施内容
    7時42分 St. 11(K2)着
    8時 CTD(2000 m)
    9時半 マリンスノーキャッチャー
    11時半 BGC-Argo投入
    12時 CTD(5200 m)
    15時半 乱流計
    16時半 CleanCTD(1500 m)

  • 5/3 予定
    係留系回収

St. K2無風に
St. K2無風に

  • 一昨日の嵐の影響でうねりが残っていたため,実施可能な観測項目を順に行った。観測中,風もうねりも小さくなる一方で,ついに18時ごろに風速0.0 m/sに。あまりに珍しいため,思わず写真を撮ってしまいました。ただ,波高は2.5 m前後残っているため,明日の朝までにはもう一息落ち着いてほしいところ。上がってこい,係留系。しかし外気は1~2℃。風が弱いとはいえ,明日の私は作業よりも皆さんの体調に目配せすることに注力しようと思う。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

2022年5月1日 もろもろ確認は重要です。

  • みらい船内生活の楽しみと言えば、やはり、食事。みらいの食事は非常においしく、品数も豊富。献立も食堂の前に掲載されているが、席に着いてからのお楽しみにしたいのため、あえて、見ないようにしている。

  • 食堂に入ると、まずは手洗い。その後、ルーチン作業の様に、白米、みそ汁を自分でよそって、テーブルに着席し、食事をいただく流れとなる。

  • が、ここで注意が必要。献立によっては白米が必要でない場合もある。主食となるパンなどがすでに席に用意されている場合などがある。

  • 日々ご飯をよそう流れが染みつき、まずは白米をよそって、汁物を取って、席に着くと、愕然とする。白米いらないじゃないか。

  • おかずをしっかり確認してから、お米を頂くと心に決めた。

  • 竹谷(JAMSTEC RIGC)

自分の前の人もやっちまった感を出していました。。。
自分の前の人もやっちまった感を出していました。。。

2022年5月1日

  • 長く観測作業を続けていると、日付は観測スケジュールの都合で気にかけているが、曜日や祝日の感覚がなくなる。
    陸からメールが来なくなると週末だと気が付くことはあるけど、テレビも見られないし曜日は気にすることもない。
    ようやく観測が一段落して落ち着き、ふと今は世間じゃゴールデンウィークだと気が付く。
    船上で休みが欲しいわけではないけど、なんでだろう、なんか羨ましい。
    振替休日いっぱいたまるなぁ…

  • そういえば、つい4か月前にもこの船で同じようなこと思ってた。
    世間じゃ年末年始かぁ、振替休日いっぱいたまるなぁ…って。
    まだ前航海のサンプル分析も終わってないのにまた来てしまった。
    分析サンプルもたまるなぁ。

  • でも帰ったら振休取って野球見に行こ。

  • 松本(JAMSTEC RIGC)

4か月前(大晦日)のみらい
4か月前(大晦日)のみらい

2022年4月30日 安全靴

  • 船の観測作業で欠かせないもの、それは安全靴。足先が硬質樹脂で覆われ、重量物などから足元を守ってくれる大切なアイテム。私が2005年にJAMSTECに入社してから、航海の度にはき続けている安全靴があります(写真)。靴の先端は白カビではなく、数々の観測作業で黒革が擦れて白くなってしまった。

  • 研究航海では、観測が上手くいく時もあれば、失敗に終わることもあります。この安全靴は、そんな観測研究の苦楽をともに歩んできた大事なパートナー。最近はこの安全靴を履くと靴下に穴が空くことも。航海の度この安全靴の使用は終わりかなと思いつつ、毎回航海に持ってきてしまう。大事にしますので、もう少しお付き合いを。

  • 藤木(JAMSTEC RIGC)

安全靴
安全靴

2022年4月29日 海上の低気圧

  • 4月29日夜,ただいま「みらい」は北緯40度,東経158度付近を北上中。外気温は9度前後。一昨日まで(北緯35度)は17度以上あったのに。さむい。

  • 海でももちろん気圧配置で天気が変わります。高気圧はいい天気。低気圧は時化。陸上で低気圧と聞くと,雨かぁ,電車遅延しがちよね,と思うくらいですが,海の低気圧は少し様子が違います。

  • 日本付近で雨を降らせた低気圧は偏西風やら季節風で海に抜けていきます。陸にいるともう関係ない,忘れ去られた低気圧。海の上にいると,この陸上の人が忘れた低気圧がヤバいんです。海に出た後にぐんぐん発達して北上するのです。いま,進行方向に「みらい」はいます。

  • 明日4月30日の観測点(St. 10)の午後から荒れる予報。5月1日の予報図を見ると,等圧線が密に並ぶ低気圧,その中心付近の気圧は966 hPa。風速は25 m/sほど。すなわち,ちょっとした台風よりよっぽど強い。明日の夜,一時的に「みらい」はその大時化の中を航行することになります。。。ひぃ。

  • 陸上で想像する「低気圧」とは全く別の世界(地獄)が海の低気圧です。台風よろしく,別の名称はないものか。ほんと,低気圧の大時化はすごいんだから。。。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

5月1日の海上風速予報。右上の低気圧の強さたるや。。。
5月1日の海上風速予報。右上の低気圧の強さたるや。。。

2022年4月28日

  • 東京大学大気海洋研究所の塩崎拓平です。本日は私が担当させていただきます。

  • 今回はうちの博士課程の学生のシン君の研究メインで乗船しています。
    昨日のメールでシン君から研究内容について説明がありましたが、少し補足させていただきます。

  • 我々の研究目標は生物ポンプに寄与する生物を網羅的に明らかにすることです。生物ポンプというのは海洋表層で植物プランクトンによって固定された二酸化炭素が沈降粒子として深海に移送されるプロセスのことで、大気中の二酸化炭素をコントロールする重要な役割を持ちます。これを調べるためにマリンスノーを集めています。
    それを集める観測機器がその名もマリンスノーキャッチャーと呼ばれています。マリンスノーキャッチャーは巨大な採水器のようなもので、特定の深度で採水した後、デッキ上で数時間立てたままで放置します。その間にマリンスノーは採水器の下の部分にたまっていくことになります。それを採取するのです。
    採取したサンプルからDNAを採取し、DNA配列情報を読み取ることで、どんな生物がマリンスノーを形成していたかを調べます。
    これまでのマリンスノーの研究では、生物種を特定するために主に顕微鏡を用いた目視観察が行われてきました。しかし、目視観察には限界があり、特に形態に特徴のない生物種は特定ができません。これを分子生物学的手法と最新の統計解析手法を用いて調べてやろうというのが今回の試みです。

  • 今回の航海では亜熱帯から亜寒帯までいろいろな海域でサンプルが採れるので、どんな結果が出るのかとても楽しみです。

  • 塩崎拓平(東京大学大気海洋研究所)

マリンスノーキャッチャー投入
マリンスノーキャッチャー投入
マリンスノーキャッチャー準備
マリンスノーキャッチャー準備

2022年4月27日

  • 東京大学大気海洋研究所のD1の覃洪偉(QIN Hong-wei)と申します。本日は、4月27日です。4月16日に清水港から出航して、もう12日になります。最初は、「船の中に、中国人は私しかいない。。」、「船の生活と実験方法何も知らない」、「船酔いは大丈夫かな?」と、とても不安でした。でも、この12日間で、船の生活にもう慣れました。

  • 塩崎先生とCTD採水の皆さんから、実験方法を教えてもらえて、助かりました。Roommateの岸さんと佐々木さんがいるのでとても楽しく過ごせています。

  • 海は広くて、色々な謎があります。今回、採取するサンプルは海の中に降る雪、マリンスノーです。中国語でも「海洋雪」と呼ばれています。美しい名前じゃないでしょうか?マリンスノーはプランクトンの死体や微生物など様々な物質からできていて、表層から深層へと落ちていくことで、二酸化炭素の海洋内隔離や、海洋内部への有機物供給プロセスとして重要な役割を持っています。航海する前は、YouTubeでしかマリンスノーを見たことがありませんでした。今回は自分自身で見ることができ、感動しました。

  • この旅はまだ終わっていません。今後はどんなごとが起こるのかわかりませんが、海の不思議な景色を楽しみにしています。

  • 覃洪偉(QIN Hong-wei)(東京大学大気海洋研究所D1)

2022年4月27日 首席日報

  • 本日はSt. 9に向けて航走のみ。
    U-VMP観測の打ち合わせ,K2の係留系回収(5/2にチャンス到来予定)に向けた各種調整,室内培養実験@横須賀の持ち込み試料の分析by 杉江を実施。

  • 明日はSt. 9着 9時台到着予定
    10時時間固定でCTD(5000 m)→ マリンスノーキャッチャー → VMPS → 乱流計 → CleanCTD → 8の字航走 → 離脱

  • 黒潮続流の流れが東向きと思いきや,渦々しているようで,なかなか素直に東に向かわせてくれない。現在北からの流れ,2.5ノット。波高は2 m前後と高くないものの,南風が10~15 m/sと強めなので,船が不規則に揺れる。PC作業で少し船酔いをするも,他航海の書類仕事も第一段階を終える。本日1時間前進で日本時間+2 h。早く寝ないと明日がつらい。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

航路中の流向・流速
航路中の流向・流速

2022年4月27日

  • 4月27日(水)、今日はSt.9へ向けての航走日でした。航走日はサンプルの処理を行うチャンス、CTDにて採取した水の濾過をしました。乗船前の準備にて教授と、採水量が少ないため、濾過はアスピレータではなくシリンジにフィルタ―を付けて手で押すので十分だろうという話をしました。しかし、みらいに乗り実際にシリンジを押してみると、予想の何倍も大変で、教授も笑ってしまうくらい固いということが発覚しました。事前の確認を怠った自分の責任ですが、あまりに負担が大きいので教授と相談し、機関士の方々にシリンジを押す台を作っていただきました。こんなにすごいものを作っていただき、本当に本当にありがとうございます。これで筋肉痛に悩まされずにすみそうです。

  • さて、先日に引き続き私もペット自慢をします。我が家にはこむぎさん(日本猫/1歳/女の子)がいます。船に乗る前1か月会えなくなるんだよと何度も話したのですが、お見送りしてくれませんでした。帰ったら忘れられていないか心配です。ちゅ~るたくさん買って帰ろうと思います。

  • 残りの航海、あと半分以上残っているので、他の研究者の方のお話を聞きたくさん吸収して帰りたいです。

  • 大井(東京海洋大学 修士1年)


2022年4月26日

  • 4月26日、相も変わらずCTDに現場型センサを括り付けてpHとpCO2の鉛直分布を測定しています。CTDが始まる前にセンサの調節を行い、CTDが上がってくるとデータの抽出を行う毎日です。
    今のところセンサの故障や不調などなくデータの測定が出来ているので、このまま何事もなく航海が進むと良いなと思っています。

  • 今回の航海で初めて採水をやらせていただきましたが、今まで当たり前のように使っていた海水のデータがたくさんの人の努力で成り立っているのだなと考えると、感謝してデータを使わなければいけないなと思います。今後も採水に関わる機会があるかもしれないので、今回の採水で得た知識や注意事項を心によく留め置いておきたいと思いました。

  • ところで、前日の刀祢館さんがペット自慢をしていたので、私のペットの自慢もしたいと思います。私の家ではジャックラッセルテリアという種類の犬を飼っています。かなり運動量が必要な犬種で大体5㎞の散歩が日課なので、船上生活では歩くことがあまりなく、運動不足に悩まされています。

  • 残りの船上生活は、下船後の犬の散歩に向けて、できるだけ歩くことを目標に日常を過ごしていこうと思います。

  • 山口(東京海洋大学 修士1年)


2022年4月25日 首席日報

  • 4月25日 St. 7
    13:30 時間固定観測開始
    CTD (deep, 3000 m) → マリンスノーキャッチャー → NORPAC → 乱流計 → CleanCTD(200 m)

  • 明日26日予定(St. 8)
    13:30 時間固定観測開始
    CTD (deep, 3000 m) → マリンスノーキャッチャー → NORPAC → 乱流計

  • 天気晴れ。観測は全てほぼ時間通りで順調そのもの。一日の最後の観測をCleanCTDにしてしまうと,自分の終わり時間が遅くなるため(船内時間23時終了),首席権限で前に持ってくるか,甲板作業の効率を考えるか少し悩む。さらに来週から始まるSt. K2の観測付近の海況の予報が今のところ芳しくないのもまた悩みの種。乗船中に7月の乗船のための実施要領書を書かないといけないことが判明したのもまたまた悩みの種。シャワーを浴びて寝る準備をしないとな。お腹すいたな。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

2022年4月25日

  • 4月25日は、昨日の夜に雨の中クリーン採水をしたのが嘘だったんじゃないと思うほど、穏やかな天気でした。スマホのアルバムを見返すと、ずぶ濡れの中作業していた首席や機関士さんの写真が有ったので、現実だったようです。

  • 私は金属元素の研究の一環で、みらいでクリーン採水の手伝いをしています。クリーン採水ではちょっとした油断で汚染が発生し、結果が左右されてしまうため、慎重に採水を行なう必要があります。初めてのことばかりで覚えることが沢山あり、早く操作に慣れていきたいと思う日々です。首席からは、クリーン採水では、ニスキンのコックに触れることは大罪、と教えていただきました。その日の夜に、採水しながらニスキンのコックに素手で触ってしまう夢を見ました。夢で本当に良かったです。

  • 夢といえば、つい先日私が飼っているハリネズミが夢に出てきてくれました。初めての長期航海で緊張していましたが、癒やされました。束の間の幸せでした。

  • この後の航海も(自分の研究も含めて)無事に終わることを祈りたいです。

  • 刀祢館(東京海洋大学)


2022年4月22日

  • 初めまして。大気海洋研究所のささきです。

  • 航海は早くも最南点での観測を終え、ここから先は徐々に北の測点へと向かっています。
    幸いにも穏やかな海況と気象となっており、個人的には(雨観測の人には申し訳ないですが)こんな素晴らしい天候がどうかずっと北の測点迄続いて下さい、、、
    とお祈りをする日々が続いております。

  • というのも、(別に船酔いがつらいToTというわけではなく)、今航海の自分の主目的の一つが、昨年の航海で投入した乱流計搭載フロートと呼ばれる海中の鉛直方向の混合を測る特殊な測器の回収である為です。
    船の上から広い海に浮かぶフロートを発見し、更にはボートを出してフロートの回収をするにはかなりの好天候・好海況が必要とされます。が、もし無事に回収できれば普段荒れていて船舶観測が難しい冬の時期のデータを含む貴重な長期の混合のデータを得ることになります。

  • 写真は前年の航海で投入される間際の乱流計搭載フロートです。また会えることを楽しみに、残りの航海を過ごしたいとおもいます!

  • #奇しくもフロートの回収予定日は筆者の誕生日近辺なのですが、
    #ごく身近に誕生日プレゼント代わりに乱流フロートの亡失を食らった人の話を聞いたので、今年の誕生日は忘れ来年に持ち越す覚悟です。

  • 佐々木(東京大学大気海洋研究所)


2022年4月21日 雨が降ると植物プランクトンが儲かる?

  • 4月21日「みらい」は北緯25度,東経145度の観測点での観測を終え,北上し始めました。行く先には雨雲アリ。

  • 北緯25度の太平洋の表層にはほとんど栄養塩(植物プランクトンにとっての肥料成分)がありませんが,雨には栄養塩が豊富に含まれています。雨が降れば,植物プランクトンにとってはまさに恵みの雨となるはず。

  • それを実証するために,今航海では,降雨のないところ,降雨後の海水を培養するなどして大気からの降下物が植物プランクトンの生産性に及ぼす影響について実験的なアプローチをしています。

  • 雨は天候次第。雨を期待する担当研究者の面々と,雨が降ると予定変更と今後の全プランの再編成を強いられる首席研究員(私)の意志のぶつかり合いでしたが,ついに担当研究者の強い意志が勝り,降雨に出会えました。めでたしめでたし。あとは,首席研究員として,良い成果が出ることを祈りながら日程等の調整をするのみ。

  • バケツでの表面採水,ニスキン採水器での深度10,20 m採水など,夜に重労働が続きます。航海が始まって以来,培養実験を続けている担当研究者の疲労の色は隠せず,当日は重たいものを持たないように意識を強く持った行動が観測され,体力の限界の近さを感じました(日々30 kg程の海水試料を持ち運んで実験しています。とても大変。)。当日,無事試料の処理を終え,疲労困憊の中,本日の観測が終了しました。
    とてもとてもお疲れさまでした。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)

雨上がり、夜のバケツ採水
雨上がり、夜のバケツ採水
繊維策直付けニスキン採水
繊維策直付けニスキン採水
重いものは受け取らない強い意志
重いものは受け取らない強い意志

2022年4月21日

  • この4月からJAMSTECにJSPS特別研究員として所属している岸と申します。MR22-03みらい航海は本日4月21日で出港から6日目となり、全日程の1/7を過ぎました。密度の濃い時間を過ごしているため、もう2週間くらい経ったような気分です。

  • 私は植物プランクトンの研究をしていますが、これまでは実験室での培養を中心としており、本航海が初の外洋での調査になります。毎日発見がある本航海を楽しみながら研究を進めています。本日の日誌では初みらい航海の驚きと感動をいくつかご紹介できればと思います。

  • <水平線から昇り、沈む太陽>
    航海の楽しみの一つが景色です。360度見渡すかぎりの海という中でも、遠くには船や島影、何かしらの生き物がいたりします。昨日は硫黄島の近傍を通り、湧き上がる噴煙(湯気?)を遠くに見ることができました。そして太陽は毎日、水平線から昇り、水平線に沈みます。時間を合わせるだけで贅沢な日の出・日の入りを見ることができます。写真は同室の仲間と共に見た夕日です。

  • <どこまでも青い南の海!>
    南に進むに連れて、植物プランクトンの量がぐんと減り、海はどんどん青みを増して行きました。カラッと晴れた天気も合わさり、見渡す限りの素晴らしい景色を見ることができました。きれいなのはいいのですが、培養実験に使うには植物プランクトンが少なすぎて、いつもと勝手が違って上手く育たないなど四苦八苦です。

  • <船の中で時刻が変わる!>
    本日までは大きく東へと航路を進めたみらい。昨晩は時刻改正と言って、日の出日の入りの時刻に合わせて時間を1時間早めました(睡眠時間が1時間少なくなりました…)。今回の航海では日本との時差が最大2時間となる予定です。船内各所についている壁がけ時計は、時刻改正に合わせて自動で変更されます。自分の携帯やパソコンは変わりませんので、きちんと合わせないと作業時刻に遅刻してしまうので、要注意。


  • <研究船みらい>
    一般の船舶と異なり、みらいでは計器の情報が常に船内LANや専用テレビ回線を通じて共有され、乗船者はリアルタイムで確認することができます。例えば現在位置の緯度経度、水温、塩分、計測器を海中から引き上げるウィンチの線長などです。みなこれを見て自分の作業や実験に反映させます。さらに、船上での作業では異なる立場の人々が良いデータを採取しようと一丸になっており、そのチームワークと心意気が「研究船」ならではと感動しました。研究者・分析者・船員それぞれが専門を極めており、本航海はそういった方々一人ひとりとお話をして学ぶ機会があることが何よりの得難い経験です。

  • 当初心配していた船酔いは、幸いなことに南の海の穏やかさも相まって、いまのところは落ち着いています。これから向かう北の海がドキドキです。残り30日の航海を無事故で有意義にしていけるよう頑張ってまいります。

  • 岸 正敏(JAMSTEC 地球環境部門 地球表層システム研究センター)

2022年4月18日 MR22-03みらい航海

  • 4月16日清水港を出港し,MR22-03みらい航海がはじまりました。本航海の首席研究員を務めさせていただいております,杉江と申します。みなさま,万障お繰り合わせの上,本航海日誌に目を通していただければ幸いです(圧)。

  • 本航海は,清水港から出て北西太平洋を反時計回りに廻って観測してまいります。西北太平洋の生態系を維持する上で,大気から降ってくるもの(大気汚染物質や黄砂など)や海の深いところからくる栄養分と生態系の応答・生産性を調査するのが主な目的の航海です。台風1号が観測海域をかすめて通り過ぎましたが,何とか海況は落ち着き,清水港を出てSt. 1, 2の観測を順調に終えました。写真は,午前4時,海の混ざり具合を高精度に計る乱流観測開始前の風景,春らしいおぼろ月を添えて。

  • 4月18日現在,St. 2を出て南下しています。ここから南の海域は,表層の栄養分(特に窒素(硝酸塩)やリン(リン酸塩))が不足して植物プランクトンの光合成が制限されています。そこに大気汚染物質を含んだ雨が降ると,植物プランクトンにとっては肥料を含んだ恵みの雨となるはずです。その可能性を実証するために,ドップラーレーダーで雨雲を探しながらの航走,雨が降れば観測!の予定でしたが,捜索範囲に雨雲は一切なし。明日以降の降雨に期待とあいなりました。

  • 予測が難しい降雨観測が入ると今後の予定を全てずらさないといけないので,首席としては正直面倒なのですが,科学的な新発見がそこにあるはず,と思えば雨が降ってほしいとも思っております。

  • 明日は雨が降るかな。お天道さま,海が時化ない程度のいい感じの雨をお願いします。。。

  • 杉江(JAMSTEC RIGC)


行ってらっしゃい!
行ってらっしゃい!(Photo: 野口GL
出航
出航(Photo: 野口GL