MR21-01 みらい物質循環観測航海日誌(2021年2月13日~3月24日)

2022年3月3日 MR21-01航海のデータ検討会

  • 2022年3月3日の午後、MR21-01航海(IMPACT-SEA)で取得したデータの解析情報の共有を目的としたデータ検討会がオンラインで行われました。もともと(下船当時2021/3/24)はオンサイト(JAMSTEC)で実施するつもりだったのですが、なかなかそうもいかず、残念ながらオンラインで実施しました。航海関係者約40名が参加し、解析結果の紹介、進捗状況など様々な情報の共有、今後どうするかなど時間いっぱい行うことができました。終了後は打ち上げ!でうれしたのしやor前門飯店という予定でしたが、これもまたそうもいかず、延期になりました(必ず打ち上げはします(強い決意))。

  • 引き続き、解析を続けてまいります。

  • (竹谷)

<発表者・内容>
竹谷(JAM)航海の全体の概要および雨栄養塩分析結果
宮川(JAM)MR21-01航海における大気エアロゾル観測の概況
岩本(広島大)係留気球観測で得られたエアロゾルの個別粒子分析
栗栖(JAM)大気エアロゾルの微量元素濃度と鉄化学種の分析結果
中山(長崎大)小型センサを用いたPM2.5および微量気体の測定結果
青木(富山大)MR21-01航海におけるエアロゾルの光学的特性
Mueller(NIES)Towards shipborne semi-automatic Fourier Transform Spectrometer measurements for the validation of satellite derived XCO2, XCH4 and XCO
松見(名古屋大)海洋上のCO2カラム測定装置の開発ーみらい航海で搭載した太陽追尾装置の動作状況
勝俣(JAM)ライダーとドップラーレーダー:航海期間中の推移(仮)
長島(JAM)海水中の石英粒子分析に基づくダスト沈着フラックスおよびその季節性の復元
松本(JAM)貧栄養亜熱帯海域における表層基礎生産への降水影響
内田(JAM)K2深層の低塩分化
藤木(JAM)係留系と昇降フロートを用いた北西太平洋の生物地球化学観測
永野/脇田(JAM) K2で観測されたエルニーニョに関係した冬季混合層直下の鉛直拡散の強化
本多(JAM)KEOにおける沈降粒子特性ー2014〜2020年に行われたセジメントトラップ観測結果ー
竹谷(JAM)まとめと今後
各人から解析結果などの話がありました。
集合写真

2021年3月24日 MR21-01航海終了!

  • MR21-01航海は無事に終了しました。

  • 最初2週間は常に荒天状態で作業の進捗が危ぶまれましたが、荒天の間の隙間を狙って様々な観測を迅速に行うことができました。これはひとえに、みらい乗組員・観測支援員・乗船研究者の皆さんが柔軟にかつ、的確に作業を行う用意をされていたことによります。本当にありがとうございました。

  • 今回は首席研究者を初めて務めさせていただき、いろいろご不便をおかけしたかと思います。が、大きなトラブルもなく、無事にほぼすべての観測が実施でき、各自、興味深いデータをとれたと思っています。今後はこれら取得したデータをもとに解析を行い、地球表層システムの新しい知見を得て行きたいと思います(データ検討会します)。

  • 今後ともよろしくお願いいたします。

  • これにて、本ブログ終了です!様々な投稿(観測・生活・過去の振り返りなどなど)、読んでいただき、ありがとうございました。

  • また、どこかの航海でお会いしましょう!

  • JAMSTEC/RIGC 竹谷文一

MR2101航海参加者集合写真

2021年3月24日 艤装解除

  • 清水港に帰ってきました。駿河湾内は波もなく、非常に体に良いです。

  • 艤装解除日は晴天で暑いぐらいでした。大量の観測機器(10tトラック8台分)の荷下ろしも午後には終わり、夕方には清水を離れることができました。久々の陸なのですが、どことなく寂しい気持ちです。翌日には横須賀本部で荷物の受け取りです。まだ気を引き締めていきます。

  • (竹谷)



2021年3月23日 表紙コンテスト優勝は…

作品E: 季刊誌PCR MR21-01号
(作者 広島大学 岩本洋子さん)
作品E: 季刊誌PCR MR21-01号(作者 広島大学 岩本洋子さん)

2021年3月23日 Mission completed

  • 航走距離 約8200km

  • 走行距離 177km

  • (本多)


2021年3月22日 夜 M.G.HONDA

  • 観測報告会も終わり、今年〇歴を迎えた(る?)われらが〇多さんへのささやかなお祝いを送らせていただきました。
    今後ともヨロシクおねがいします!

  • (竹谷)


2021年3月22日 観測結果報告会

  • 航海も終わりが見えてきました。今航での各自の活動報告(ほとんどの方は持ち帰りでの分析がメインですが、、)を行いました。最初は首席研究者から予定していた観測の達成率などが報告され、荒天にもかかわらず、予定していた内容はほぼ達成できた報告がなされました(スバラシイ)。

  • また、今回は、乗船研究者の発表内容を船内テレビで流すという画期的なシステムが採用され、食堂や機関室など船の方々にも聞いていただけました(と思っています)。発表順は上から下へ(上空観測から海洋(表層付近)、海洋観測、海底での活動内容順で行いました(一部事情により入れ替え)。各自活動内容や今後の解析方針など様々な発表が行われました。
    興味深いデータが多く取れたと多くの報告がありました。

  • (竹谷)

竹谷
藤木

宮川
岩本

ミュラー
フレイ

栗栖
中嶋

松本
杉江

木元
脇田

内田
本多

喜多村
長島

ブイ調にて
機関部にて

食堂にて

2021年3月19日 もしかしたら…


  • (木元)

2021年3月19日 クルーズレポート表紙コンテスト

  • いよいよ航海も終盤。恒例のクルーズレポート表紙コンテスト(*)が始まった。今回の応募作品は計5点。本航海を象徴するもの、時代を反映したもの、芸術的作品、ユーモアあふれる作品、どれもが力作・秀作で甲乙付け難い。現在オンライン投票中。結果発表は3/22夕方の“不要不急でない”集会にて。どの作品が選ばれるか?アナタは“どれ押し”?

  • (本多)

A. Brilliant Cruise
A. Brilliant Cruise
B. Missing ISS
B. Missing ISS

C. IMPACT-SEA
C. IMPACT-SEA
D. オンライン航海
D. オンライン航海

E. 季刊誌PCR MR21-01号
E. 季刊誌PCR MR21-01号

2021年3月17日 雨雲を迎え撃て

  • 限りなく透明に近いブルーな海が深く広がる西部北太平洋亜熱帯域。
    そこは海の砂漠とも言われる生物生産が少ない海域。
    栄養成分が乏しく、食物連鎖の源となる植物プランクトンが少ないためだ。
    大気中のエアロゾルには栄養成分が含まれており、雨とともに海面に落ちる。
    植物プランクトンにとってはまさに恵みの雨か!?
    検証するため、降雨前後の光合成能の変化を捉える観測実験を計画していた。
    雨雲の進行方向に先回りし、海水の降水影響による変化を確認しながら採水を実施するという困難なミッション。
    航海では様々な観測が予定されており、雨雲の追跡に割けられる時間は限られている。
    雨の予測が重要だ。

  • 気象予報担当も兼ねる首席研究員から雨雲の発生予報。
    「みらい」の特徴的な装備品であるドップラーレーダーにより雨雲を随時モニターする。
    来た!雨雲だ。
    降水前の海水サンプリングを実施し、雨雲の到着を待つ。
    急に肌寒くなってきて、雨が近いことを感じる。
    採水準備を万端にして待機している現場は色めき立つ。
    パラパラ……???
    到着前にほとんど雨粒となって落ちてしまったらしい。
    現場は冷ややかな雰囲気に包まれた。

  • 数日後、リベンジの機会が訪れた。
    午後から夕方にかけて降水予報。
    降水前採水を実施して午後の雨に備える。
    しかし、午後になっても晴れ間が広がっていた。
    またか…あきらめムードも漂う中、レーダーで監視を続ける。
    雨雲を検知!
    雨雲は北東方向へ進んでいる。
    雨雲の移動速度と進行方向を見ながら、首席研究員は船を北に向けるよう指示。
    神主の家系だという研究員は雨乞いの祈りを行い、ラボには横になったテルテル坊主。
    もう皆の期待を裏切れないという緊張感の中、レーダーを見つめる。
    船は狙った通り雨雲の発達した領域に入った。
    外を確認。
    降ってる!!!
    外にいると服はずぶ濡れになる雨だ。
    降水計には15mm/hの表示。
    表層の塩分が急激に下がるのを確認。
    雨雲の通過時間を監視する。
    今しかない。
    投入準備中だったCTD観測作業を中断してもらい、バケツ採水を実施。
    採水後には雨はやんでいた。

  • この日は「ドライな男」改め「湿っぽい男」になった首席研究員と夜に祝杯を挙げた。

  • (松本)

雨雲レーダー
雨雲レーダー
急いでバケツ採水
急いでバケツ採水

2021年3月17日 国際宇宙ステーション観察会

  • 3月17日,残る観測点は3つ。いよいよ佳境です。

  • 本航海とは直接には関係しませんが,ただいま地球の周りを国際宇宙ステーションがぐるぐる回っております。船からも見られるはず!と,かねてから木元さんが軌道と到着日,時間を船内にアナウンスしておりました。

  • 思い返せば昨日のこと,綺麗な星空の元,待てど暮らせど通過しない光。。。
    時間を間違えて知らせたことに気づいた木元さん,
    「オオカミ少年になってしまった!」
    …星空がきれいでしたね。ええ。

  • 本日,通過予定時間まであと10分。昨日は沢山いたギャラリーが今日は集まりが悪い。信頼とはこうも一瞬で潰えるものなのか。。。

  • ということもなく,5分前になるとパラパラと人が集まり始めました。
    しかし,今日失敗すれば次はないと焦る木元さん。
    予定時間まであとわずか。

  • 「あ,光った!動いた!!」

  • どこからか聞こえた第一声。それに続いて,「あれか!」「おぉぉ!」

  • 最後まで見つけられなかったのは私と木元さんだったか(笑)
    急いでシャッターを切り何とかオリオン座を通過するファインダーに収まってくれました。早いぞ国際宇宙ステーション。野口さんはじめクルーの皆さん,任務,お疲れ様です。

  • …「みらい」航海もそれくらい注目を集められるといいなぁ(ボソッ)
    束の間の息抜きでした。

  • (杉江)

ISS
ISS
お見送り
お見送り

2021年3月14日 汎用観測室の守り神

  • 今航での汎用観測室(大気組成連続測定装置が多数置かれている部屋)にある様々な守り神を紹介します。

  • 1. 何と言おうとやはりこれ。絶対的な存在である海のお守り、金毘羅さまの金のお守り。これさえあれば、怖いものなし。数年前から、導入されており、効力を持続させるには、誰かが琴平に行っていま一度、購入の必要あり。

  • 2. 横浜市金沢区にある富岡八幡宮の海上お守り。今年(2021年)、参拝と同時に導入されました。やはり、公式なものは安心感があるが、その存在は、船内ではあまり知られていない。

  • 3. 知る人ぞ知る、みらいの母港であるむつ市のシンボル「むちゅらん」何があろうと、部屋内の装置たちを守ってくれます。

  • 4. 研究者K名さんからの送りもの「カ・メレオン」。どんな状況にもその現場の雰囲気に溶け込み困難を乗り越えるでしょう。

  • 5. 泣く子も黙る、テルテルさん。上を向けば快晴、横を向けば、降雨、ひっくり返せば、荒天と非常に危険な能力を持っている。K栖・I本の合同作品。アンタッチャブル。

  • (竹谷)

金毘羅さまの金のお守り
金毘羅さまの金のお守り
富岡八幡宮の海上お守り
富岡八幡宮の海上お守り

むちゅらん
むちゅらん
カ・メレオンとテルテルさん
カ・メレオンとテルテルさん

2021年3月13日 ドライな男

  • 今航で係留気球を利用した雲水や降雨帯を探して雨サンプルを取得し、大気からの栄養成分の供給を調べようとしていた研究者Tのドライぶり2選。

  • ミーティングにて
    3/9の午前に係留気球を行い、エアロゾル粒子の採取と雲水採取を試みます。
    3/10の午後は雨雲を見つけて、先回りをして、降雨サンプルと表面海水の採取を行います!

3月9日

  • みらい甲板上にて
    T谷「これから係留気球を使ってあの雲に入って雲水の取得を試みます。先ほど600-800mに雲がありましたので、まずは上空700m程度まで上げて、そこから、湿度などの情報をもとに雲の高さに調整します。」
    C/O「了解。ブリッジこれから係留気球を上空の雲にぶつけます」
    ブリッジ「了解」
    T谷「後部操舵室、シーロメータでの雲底情報をください」
    I本「雲底は800mぐらいです」
    T谷「雲の流れからちょうど気球が上空に行った時にあの雲に当たりますね」
    O山「そうですね」

  • 上空:雲が消えてしまう。

  • T谷「後部操舵室、シーロメータでの雲底情報を」
    I本「雲底は1100mぐらいです」
    T長「さっきよりも上ですね」
    T谷「高くなってますね。もっと上昇します」
    C/O「ブリッジ、上空の雲にぶつけるため、さらに気球、上昇します」
    ブリッジ「了解」
    T谷「雲の流れからちょうど気球が上空に行った時にあの雲に当たりますね」
    C/O「そんな感じですね」
    T谷「よし、そろそろ当たりそうです」
    O山「そうですね」

  • 甲板上にいる一同、上空を見上げる。雲が徐々に係留気球に向かってくる。
    一同の心の中(たぶん)「もう少しで、、」
    上空:係留気球に向かっていたはずの雲が気球に近づくにつれて、消えてなくなる。

  • T谷「…..」
    C/O「…..」
    一同「…..」

  • 10分後

  • T谷「雲が消えてしまって周りにそれらしいものなく、雲との遭遇の可能性が低いので、これで係留気球、揚収します。」

雨雲が接近急
雨雲が接近急
雨雲を呼ぶ男T
雨雲を呼ぶ男T
雨雲を呼ぶ女K
雨雲を呼ぶ女K
K多村さんから明日は雨が降るようにと、差し入れを頂きました。
K多村さんから明日は雨が降るようにと、差し入れを頂きました。

3月10日

  • 1000(SMT)ブリッジにて
    T谷「いま、ドップラーレーダーで確認したのですが、北東方向に大きな雨雲ありませんか?」
    Cap「やはり、見つけましたか」
    T谷「そうなんです、船のレーダーでもキャッチしてるか確認に来たところです」
    Cap「ありますね。このままだと1130-1200ごろ本船に来ますね」
    T谷「いい感じですね。まずは、バケツ採水の準備始めます」
    1120(SMT)ブリッジにて
    Cap「あと30分ぐらいで雨雲と遭遇しますね」
    T谷「降雨前のデータがほしいので、バケツ採水1130に行います。」
    Cap「了解です」
    1145(SMT)バケツ採水後、ブリッジにて
    T谷「もう目の前に来てますね。あのあたりですでに降ってますね。あとは降雨後のサンプルを取るだけです」
    Cap「向こうから来てくれるなんて、神がかっていますね。」
    T谷「いやー、それほどでも」
    2nd「ほんとにすごいですね」
    T谷「いやー、それほどでも」
    1200(SMT)
    ブリッジの窓にぽつぽつと雨粒が落ちる。きたきたきたー。だが、ぱらっと降っただけ。
    1210(SMT)
    急に視界がひらけ、明るい空が見える。
    T谷「…..」
    Cap「…..」
    2nd「…..」
    Cap「雨雲が消えました。」
    T谷「(声を絞り切って)さ、さっきまで、この場所で雨降っていたので、すぐに、バケツ採水、行います。」

  • (T谷)

2021年3月13日 どちらさまですか?

  • 3月11日に北緯25度、東経145度、水深5000m超の地点にて採取した海底泥。その一番上、海水と面した部分から、ザクザク出てきた直径数mm(あるいはそれ以下)から5cm以上に及ぶゴツゴツ達(写真)。

  • 顕微鏡で表面を見ると小さな穴が沢山あいていて、手のひらに乗せると軽い。こうした特徴で思い出すのはマグマが急冷されてできた火山噴出物。古くから、北太平洋の海底の泥には、プランクトンの殻、有機物、鉱物ダスト(いわゆる黄砂)などと共に火山灰が多く含まれていることが知られている。さらに、火山噴出物が海洋に落ちて鉄などを供給し、プランクトンの増殖を促しているとの研究例もある。そこで、火山噴出物の組成を詳しく調べるのも採泥の目的の一つ。

  • 火山灰を予期していたものの、マルチプルコア・パイプの直径ぎりぎり特大サイズの火山噴出物が入る事は予想外。約470km北西に位置する西之島付近から海流に乗って遥か東の深海にやって来たのか(遠すぎるかな。。)?それともどこか別の火山から?
    西之島南方の観測点に向けてひた走る研究船。果たして次の観測点で何らかの手がかりが得られるか?

  • (長島)

様々なサイズの火山噴出物
様々なサイズの火山噴出物
表面の様子
表面の様子
拡大した表面の様子
拡大した表面の様子

2021年3月12日 首席の重責

  • 首席研究者たるものいつも明るく朗らかに、かつスマートに物事の判断・処理が必要。

  • 首席研究者の精神状態を表す指標
    T1 乗船前に予定していたスケジュールが何事もなくスムーズに進み、順調な航海が進み、新たな発見の報告が次々に舞い込む。
    T2 観測中に装置トラブル等が発生するが、乗船者の頑張りにより、若干のスケジュール変更があるものの観測点で予定してた項目はすべて実施できる。
    T3 海況が悪く、予定していた観測項目の取捨を迫られ、心が痛む。
    T4 荒天が続き、スケジュール変更が相次ぎ、半分以上の観測ができなくなり、出港後1週間でスケジュール表のバージョンが20を超える。
    T5 海況が非常に悪く、スケジュールに「荒天待機」を書き込むだけになる。
    T6 海況が極めて悪く、部屋の椅子は転び、置いていたビールが散乱・破裂し、眠ることも許されず、スケジュール調整どころでなくなる。頭の中のBGMにオフコースの「さよなら」の冒頭だけがリピートされる。
    T7 首席部屋の窓の外から人魚が手招きをしており、連れていかれる。

  • (首席研究者)

2021年3月12日 係留気球観測を実施しました。

  • やっと係留気球の観測を実施しました。係留気球観測では

  • 1. 境界層内のエアロゾル粒子の数密度の変動などを調べる
    2. 境界層上下でのエアロゾル粒子の成分がどのように変化しているかを調べる
    3. 雲水を採取して成分を調べる(海への供給や雲生成に関する情報を得る)
    を目的として実施しました。特に今航ではアジアからの輸送などの情報を境界層上下での違いを見出したいと思っています。

  • で、Sta.KEOS(25-00N, 145-00E)では、お日柄もよく、2回実施しました。

  • 最初にパイロットバルーン(ラジオゾンデ)を飛ばし、上空の風や境界層の高さなどを得ます。その情報をもとにどこまで係留気球を上昇させるか・測定の時間配分を検討し、どのタイミングで実施するかを決めます。船の方には、飛ばした後、気球とウインチをつないでいるロープ(係留索)に大きな負荷がかからないように、係留気球と船の位置関係を注視していただき、極力船の真上に気球がくるように操船をしていただきました。(なので、風が強いと船の速度が追い付かないため、実施ができません)。

  • で、最初は上空1200mまでのcastで非常にスムーズに放球ができ、無事に試料(エアロゾル粒子)の採取もできました。

  • このあと何回できるか楽しみです。

  • (竹谷・岩本)

海の上の大気の模式図
海の上の大気の模式図
搭載装置の準備中
搭載装置の準備中
放球準備中
放球準備中

放球! みらいから見た係留気球
放球! みらいから見た係留気球
係留気球から見たみらい リアルタイムで上空の気象情報や高度をモニターしながら(甲板上と情報を共有)、観測を行います。 試料が採取されているか確認中
係留気球から見たみらい リアルタイムで上空の気象情報や高度をモニターしながら(甲板上と情報を共有)、観測を行います。 ガラス球をとりはずす乗船研究者、観測技術員試料が採取されているか確認中

2021年3月11日 東日本大震災から10年

  • 今日は東日本大震災がおこった日からちょうど10年目です。
    改めて、亡くなられた方にお悔やみを、被災された方にお見舞いを申し上げます。

  • 地震、津波の被害に加え東京電力福島第一原子力発電所の事故により大量の人工放射性物質が自然界に放出されその多くは太平洋に流出しました。人工放射性物質の流出量、移動・拡散・分布状況を調査するためオールジャパンのチームが組まれ、海水、動物プランクトン、沈降粒子、海底堆積物等を採集しその放射性物質濃度を測定してきました。並行して様々な数値シミュレーションも行われてきました。本船「みらい」もこの海洋調査に大きく貢献しました。1974年に放射線漏れ事故をおこした原子力船「むつ」を改造した本船「みらい」(1997年就航)が、2011年以降、原発事故調査に関わることになるとは誰が予想したでしょう?

  • (本多)

みらい
みらい
むつ
むつ

2021年3月11日 観測船みらい


  • (木元)

2021年3月10日 船上の人気動画ベスト5

  • 長い航海。疲れた心を癒すべく、研究者は様々なオリジナル動画を共有する。以下は船上の人気動画ベスト5である。

電車でGO
  • 電車でGO

  • 二次元の巨匠キモピー撮影。大船と湘南江ノ島を14分で結ぶ懸垂式の湘南モノレールの車窓風景。キャッチコピー「片瀬山ー目白山下間の視界がひらけて相模湾が見えるところが“萌え”ポイント」。「どうせオタクビデオでしょ」と鼻で笑って鑑賞し始めたが、何気ない道路や車、歩行者、建物がとても懐かしく、安らいだ気分になり、(萌えはしないが)癒され、終着駅では寂しさを感じた。


「みらい」でGO
  • 「みらい」でGO

  • 巨匠ミヤガワがコンパスデッキ(ブリッジ(操舵室)上)に設置したタイムラプスカメラ(*)で撮影したもの。清水港出港前から今日まで、北は観測点K2(北緯47度)から南は観測点KEOS(北緯25度)まで、晴れの日、雨の日、嵐の日、次々と変わる船首風景。「みらい」船長になった気分でバーチャル航海が体験できる。

    (*) タイムラプスカメラ:自動連続写真撮影カメラ。設定により最速で1秒間に複数枚、適当な時間間隔では1年間以上連続した自動写真撮影が可能(今回は1分間隔で約10日間)。連続して再生することでパラパラ漫画、アニメーション(動画)になる。


気球でGO
  • 気球でGO

  • 本航海のアイコニック的観測「係留気球観測」(*)時、気球にぶら下げたタイムラプスカメラで撮影したもの。巨匠タケタニ作品。雲を突き抜け、高度1200mまで上昇。「みらい」がどんどん小さくなり、観ている人は気球に乗った気分。高所恐怖症、乗り物に酔いやすい人は閲覧注意。撮影画像を拡大すると減揺装置(**)上甲板にレジャーシートに寝転がりコーラ片手に観測を見ている不届き者発見(久しぶりに日焼けしたぜ…)。

    (*) 係留気球観測:ヘリウムガスを充填した“金魚”様気球を凧揚げ方式で上昇させ、取り付けたセンサーで気温・湿度、大気塵(エアロゾル)濃度測定および霧(雲)水採集を行う。
    (**)減揺装置:船のローリング(横揺れ)を低減するための装置。約100トンのおもりがレールの上を左右に動き、船の傾きの反対方向へ移動する。


観測航海動画
  • 観測航海動画

  • 巨匠ホンダが2018年に乗船した「みらい」航海と「白鳳丸」航海の様子をそれぞれ25分程度に記録したドキュメンタリー。採水、係留系作業、大気観測、そして船上生活の様子がコンパクトにまとめられている。2つの船の文化の違いがわかって面白い。「みらい」航海はプロ顔負けの予告編あり。観測航海を紹介する教材としてお薦め。


マル秘動画
  • マル秘動画

  • 「私もかわいこちゃんが恋しくなってきたので、マル秘動画をupしました。。。」との怪しいメールを受信。コンピューターウイルス感染、メール詐欺を警戒し、「クレジットカード番号を聞かれたらやめよう」と心に誓い、恐る恐る開いてみると何と中身は可愛らしいインコの動画。巨匠ウチダが自宅のペットを撮影したもの。名前は「すず」ちゃん、まだしゃべれない。動物動画は癒しに最高。その後はウサギや熱帯魚など動物画像の投稿が急増。
    (近日公開予定)


  • 正しいランニング走法

  • ジム(運動室)のトレッドミルで黙々と走るランナーをただひたすら撮影した1時間動画。この動画で正しい腕の振り方、着地方法、理想の体軸などを習得すれば、揺れる船の上で10kmを1時間以内、一航海で100km走破することができるようになる。
  • (本多)

2021年3月10日 マイクロプラスチック

  • 今日も穏やかな天候。さやわかな風が吹きます。
    私たちの目の前には、とても青くて、美しい大海原が広がっています。

  • ところが、海がずっと眺めていると…
    ペットボトルや発泡スチロールなどのごみがチラホラ。

  • ニューストンネットを曳くと、
    プラスチックの小さな破片がたくさんとれました。

  • 大小さまざまなマイクロプラスチックです。

  • この小さなプラスチックの粒が、
    海の環境問題として特に注目を集めています。

  • このプラスチックがどこから来たのか、
    どこへ行くのか、そして生態系への影響はどのくらいなのか?

  • JAMSTECでは、このような科学的な問いに答えるために、
    日々、研究を続けています。

  • (中嶋)


2021年3月10日 3月10日のようす

  • 北緯25度 東経145度の観測点で今日も観測です。
    北西数百キロのところに小笠原諸島があるくらいで,まわりにほとんど何もない青く美しい(はずの)亜熱帯の海です。本日の観測メニューは,

  • 4時:植物プランクトンの光合成活性観測
    4時半―8時半:CTD&採水器投入(海底付近の5100 mまで)
    8時半:ラジオゾンデ
    9―12時:係留気球
    14―15時半:CTD&採水器(1000 m以浅)
    15時半―17時:ニューストンネット(プラスチックごみ)
    17-18時半:多層曳きプランクトンネット,VMPS
    21時:ラジオゾンデ

  • 朝のCTD観測の時は無風だったので,べた凪に昇る綺麗な日の出を拝むことができました。高度が低く,べた凪の時だけに見られる,太陽から延びる光。美しや。

  • 風向きに合わせて船を走らせて,相対風をなくして観測する係留気球観測は,難易度の高い観測でありながら順調そのもの。しかし,雲の中に気球を突入させ,雲の中の水を持ち帰ってくるミッションのみ,雲の高度や位置との相性が合わずに空振りに。雲のお持ち帰りは明日以降に持ち越し。

  • この観測点は青くて綺麗な海だなぁ,と思っていたところ,肉眼で見えるようなごみがしょっちゅうぷかぷか流れていきます。さて,ニューストンネットネットの中身は。。。

  • (杉江)

日の出1
日の出1
日の出2
日の出2
係留気球
係留気球

2021年3月9日 ラジオゾンデ観測

ラジオゾンデ爆誕
  • ラジオゾンデは、複数の観測機器を積んだバルーン(風船)で、上層大気の観測を行うものです。

  • 気圧(高度)、温度、湿度、GPS、など、複数の小型センサーを搭載しており、気象についての情報を船上でリアルタイムに得ることができます。

  • 亜熱帯に入ったみらいは数日間にわたってこの観測を行う予定です。

  • (木元)


2021年3月9日 金魚の放流

  • 3月9日,北緯25度 統計145度。天気,晴れ。
    外気温は23度,日差しは厳しく,風もないため,甲板に出ると暑い。

  • 今日観測が行われている係留気球は,船を走らせることで相対的に風を打ち消せる風速5 m/s以下でないと観測ができません。ということで,風がなく本日はお日柄もよいため,係留気球観測が行われています。

  • まずは白い風船,ラジオゾンデで上空の情報を得ます。
    続いて,係留気球。ヘリウムで膨らませた真っ赤なバルーンは,でっかい金魚のよう。St. K2で係留系に取り付け,水中に放った金魚に続き,今航海2種類目の金魚。こいつは上空へ放流します。バルーンの下に様々な測器がぶら下がっております。

  • 現地時間14時過ぎ,ただいま上空1200 mを目指して浮遊中。

  • (杉江)

ゾンデ放球
ゾンデ放球
金魚放流
金魚放流

2021年3月9日 日の出とともにニューストンネット

  • 海に漂うマイクロプラスチック。

  • 大きな浮きが2つついた「ニューストンネット」で、海の表面をすくいとるようにして採集します。

  • 今日は、本航海で1番のおだやかな海です。
    早朝6時から、ネットの曳網がはじまりました。

  • 地平線から太陽が昇ってきました。
    海鳥たちが楽しそうに舞っています。

  • 採集されたサンプルの中には、ウミアメンボ、真っ青なカイアシ類、クラゲ類など。

  • プラスチックは…

  • 見た目には、マイクロプラスチックは見当たりません。

  • 少ないことはいいことですね。

  • 今日も長い一日が始まります。

  • (中嶋)


2021年3月6日 「密な」大気観測機器たち

  • MR21-01航海の重要な目的のひとつである大気観測の様子をご紹介します。

  • 「みらい」の最上階に位置する「汎用観測室」。この部屋では今回20以上もの大気観測機器が日夜働いています。観測項目は、大気中の粒子(エアロゾル)の数や、陸域の燃焼で発生するすす(ブラックカーボン)や微量金属の濃度、一酸化炭素やオゾン・窒素化合物などのガス成分などなど…外の空気をチューブで取り込んでそれぞれの機器に流し込み、私達が寝ている間も、船酔いで動けない間も、リアルタイムでデータを出し続けてくれます。

  • 屋上のコンパスデッキには、掃除機のように空気を引いて粒子をフィルターに捕集するエアロゾルサンプラーなどが設置されています。時には雪が積もったり、塩が析出したり、強風にさらされたりと、厳しい環境の中ですが今日も無事に稼働しています。ラジオゾンデによる測定も定期的に行われており、測器のついた風船を飛ばして上空の気温や湿度・風向を観測します。昨夜の観測時は穏やかな天気で、作業の合間に屋上から満点の星空を眺めることもできました。

  • (栗栖)

汎用観測室に並ぶ観測機器。
汎用観測室に並ぶ観測機器。
ラジオゾンデ放球の様子。
ラジオゾンデ放球の様子。

2021年3月6日 KEOセジメントトラップ係留系回収成功

  • 本日、2019年7月に設置した沈降粒子捕集装置(セジメントトラップ)2台を搭載した係留系が約1年8ヶ月ぶりに回収された。お目当ての季節毎の沈降粒子も順調に捕集されていた。乗組員、乗船者、多くの人の努力のおかげで、回収作業は迅速に、確実に、安全に行われた。あらためて感謝の意を表したい。回収作業前、ナガシマさんに「北(K2)のキタムラ(係留系責任者)、南(KEO)のホンダ。東西横綱そろい踏みですね」と言われ緊張した。自分の場合、失敗すれば横綱審議会から引退勧告がありえるかも、と思えたから。失敗した時の言い訳まで考えた。「1場所ぐらい休場したってイイじゃない」。さあ、明日は再設置!

  • (本多)

セジメントトラップ。円錐型のバケツのようなもの。円錐バケツの下に交換可能な捕集カップがついており季節毎の沈降粒子の捕集が可能。 係留系を回収する甲板員(乗組員) ガラス球をとりはずす乗船研究者、観測技術員
セジメントトラップ。円錐型のバケツのようなもの。
円錐バケツの下に交換可能な捕集カップがついており季節毎の沈降粒子の捕集が可能。
係留系を回収する甲板員
(乗組員)
ガラス球をとりはずす乗船研究者、観測技術員

2021年3月6日 白波

  • “白波”は海表面近傍に集まっている気泡です。

  • 波が破砕した際に空気が海水中に取り込まれてから瞬時に微細な気泡になり、表面に集まってきたときに“白波”として、我々の目で見えます。3 メートル毎秒かそれ以上の風速で海表面にて風が吹くと形成されるとされており、全球の海洋における“白波”の面積割合は年平均にして3.4%と見積もられています。(実はこの推定は1960年代になされたもので、今も生き続けています。)

  • 荒れた海の象徴でもあり、本来はあまり見たいものでもないのですが、このとてもシンプルなパラメータは、大気―海洋の間の様々な交換過程(例えば、気体や熱の移動、そして私が興味を持つ微粒子生成も含まれます)を表現するパラメタリゼーションに伝統的にかつ今でも活用されています。

  • 今航ではタイムラプスカメラを用いた海面観察に取り組み、画像解析から“白波”面積割合の定量化ができないかと考えております。これまで取得した画像をコマ送りにしながら、気象条件との突合せをしているなかから、以下の極端な例を抜き出してみました。

  • 北海道沖で、瞬時風速で20メートル毎秒を記録したケースで、画像には“白波”がしっかりと確認できます。この時は波高が8~9メートルもあり、船内での揺れも大きくて、ずいぶんと気分が悪かったのですが、このように「良い絵がとれた!」と思えば(少しは)報われます。

  • 今後は詳細な気象・海洋データを加味して、調査海域での“白波”割合の解析や、既存パラメタリゼーションの検証などに取り組んでみたいと思います。

  • (宮川)

2021/2/16 6:00UTC, 北海道沖 (41.786ºN, 142.582ºE), 瞬時風速20 m/s
2021/2/16 6:00UTC, 北海道沖 (41.786ºN, 142.582ºE), 瞬時風速20 m/s

2021年3月5日 濃密な1日

  • 重要な観測定点と位置づける測点KEOで基礎生産チームは幾つかの観測実験を準備していた。
    いずれも大量の採水、ボトル分注、試薬添加、培養装置管理、ろ過等の作業が必要だ。
    一連の実験で使用するボトルは総計100本に及ぶ。
    手間がかかるので2日に分けて採水、実験する予定だった。
    ところが思いがけない悪天候により、スケジュール変更が首席から伝えられる。
    実験に必要な海水を得られるチャンスは一度きりだ。
    チームは観測日に備えて、2日前から作戦会議を開く。
    午前4時の採水開始からの大まかな作業予定を立て、これまでの実績から作業にかかる実際の時間を割り当てていく。
    軽く見積もっていた試薬添加やボトル分注に30分、1時間と作業時間が積み上がっていく。
    ただし、培養開始・終了時間など、どうしても遅らせられない時間もある。
    誰がどう動けば実行可能かシミュレーションを繰り返し、役割分担を決めた。
    しかし、できあがった予定には飯の時間が抜けていた。
    30分のロスは致命的だ。
    頭を悩ませていると、作戦会議の側で聞き耳を立てながら仕事していた観測支援員のクルーズリーダーから助け船。
    「誰か時間が取れそうな人をヘルプに向かわせましょう!」
    力強い言葉だった。
    それぞれの業務がある中、担当作業が一段落したらろ過等の作業経験者が援軍として来てくれることに。
    これで飯の時間確保にも目処がついた。

  • 分担作業をイメトレして迎えた観測当日。
    予定通り作業をこなしていく…何か違和感を感じる。
    ボトル番号が違う!
    違う水深の水で実験しようとしていた。
    慌てるとろくなことがない。
    だがまだ試薬添加前だ。今ならリカバーできる。
    ボトルを入れ替え、作業を続ける。
    午前7時50分培養開始。なんとか朝飯に間に合った。
    でも予定を30分おしている。
    次の培養開始目標時間は午前11時だが、実験の有効性を考えるとデッドラインは正午と決めている。
    ボトルの蓋の開け閉め、海水の拭き取り等、細かいことだが時間のロスが蓄積していく。
    午前11時50分。なんとか間に合った。
    ようやく一段落して少し落ち着いて昼飯を取り、16時に実験終了、片付け。
    長い1日が終わった。

  • (松本)

培養実験
培養実験

2021年3月5日 マンボウ

  • 今日は晴天。
    絶好のサンプリング日より。 CTDを海中に下ろしていると、マンボウが船の近くまで泳いできました。
    しばらく、船の近くを散歩して、また海中へと消えていきました。

  • (中嶋)

マンボウ1
マンボウ2

2021年3月4日 断崖絶壁

  • (木元)

2021年3月3日 海底の泥のストーリー

  • 先日、「マルチプルコアラー」を使って長さ約30cmほどの海底の泥を採取しました。“マルチプル”とあるように、海底の泥(円柱状に採取した海底堆積物を“海底コア”などと呼びます)を8本一気に採取する優れもの。他にも、最大20m(「みらい」の場合。もっと長く採取できる船もあります)もの泥を採るのが、大掛かりな「ピストンコアラー」ですが、コアラーの詳細は置いといて、「海底の泥」がもつストーリーについて少しだけ。

  • 海を取り巻く環境と言うと、海の中で繫栄するプランクトンやそれを食べる魚たち、海流、海と大気との相互作用など、様々な面がありますが、地球の気候変動に呼応して、その一つ一つが少しずつ、時には急激に変化していきます。また逆に海の環境が変わる事が、大きな気候変動の原因になることもあります。そんな過去の海洋環境の変化や、はたまた海が引き起こした大事件を記録するのが、海の記録者である海底堆積物。

  • 海底の泥の色が大きく変わっているところは要注意!プランクトンの種類や量に大きな変化があったのか?それとも陸上の氷河が溶解して、その溶け水で鉱物粒子がどっと海洋に運ばれたのか?探偵になったような気分で、海の泥からその上の世界(海、大気、陸)で起こった大事件を探ることは、泥の研究者にとっての大きな喜び。


  • 本航海では海ごみ・マイクロプラスチックを専門とする研究者が参加しています。少し前までは常に自然が犯人であった海底の泥の異変、でも泥の最上部で起こる異変の真犯人は「人間」になりつつあります。

  • 今回採取した泥からは、陸から何百kmも離れた海底に運ばれる粒子の起源やその変遷を探るとともに、長距離かつ深海まで運ばれたマイクロプラスチックの有無を調べる予定です。乞うご期待。

  • (4コマ漫画:木元/本文:長島)

2021年3月3日 Mission Impossible

  • 亜熱帯観測定点KEOに到着。日差しが眩しい穏やかな海を想像していたのに海面には白波。波高5m、風速15m/sec以上。こんなKEO、見たことがない。2017年12月のクリスマス時でさえ、こんなに海は荒れていなかった。

  • あれは漂流中の米国海洋大気庁NOAAのKEOブイの回収航海だった。同年10月、係留されているはずのKEOブイが漂流し始めた。係留ロープが何らかの原因で切断されたためと推定された。すぐにNOAAの担当者から研究協力関係にあるJAMSTECに救出(回収)協力要請がある。しかし全てのJAMSTEC船が出払っており対応不可能。続いて船を所有する省庁に問い合わせるもののKEOブイが巨大すぎて対応不可能、とのこと。さらに日本の民間サルベージ会社にも問い合わせ。自分も漂流ブイや作業内容などを説明したり、値段交渉の仲介役となり奔走する。しかし値段の折り合いがつかす断念(NOAAに見積額を伝えた時の回答は「NO! 私たちは船を買いたいわけではない」)。

  • 結局、12月のクリスマスごろ一週間だけならJAMSTECの「よこすか」が使えるということでこれに望みを託すことになった。その間もKEOブイは西に向かって漂流を続けた。11月には黒潮本流に到達し、進路を北へ、そして11月下旬には黒潮続流に乗り進路を東に変えた。マズイ、このままではブイは太平洋中央まで流れていき、クリスマスの一週間航海では追いつかなくなる。誰もが悲観的になり、これは“Mission Impossible“と思わずにいられなかった。しかし12月中旬、KEOブイは黒潮続流から南に放り出され、クリスマス航海の頃は何と元の場所近くまで戻ってくるという奇跡が起こった。おかげで漂流開始から2ヶ月後、漂流ブイは無事回収された。”Mission Impossible“が”Mission I’m possible“となったのだ。

  • このニュースは日米協力の良い例だ、ということで在米日本大使館のフェースブックで紹介された。自分は論功行賞、ということなのか、その後のNOAA-JAMSTECトップ会談後のディナーに招待された。ただし残念ながらトム・クルーズ主演の映画化は実現しなかった。

  • (本多)

NOAA KEOブイ(YK17-E01クリスマス航海クルーズレポート表紙)
NOAA KEOブイ(YK17-E01クリスマス航海クルーズレポート表紙)

ブイの漂流の軌跡
ブイの漂流の軌跡

2021年3月3日 時化の思い出ver.4

  • 黒潮を越え、亜熱帯海域に入った。
    しかし、強風が吹き荒れ船窓から見える景色は2週間前とあまり変わらない…
    皆が抱く南の海の幻想を打ち砕く、今回幾度となく見た光景だ。
    南岸低気圧は水の混合を促し、栄養塩が乏しい亜熱帯海域の表層に深海の豊富な栄養塩をもたらす一因にもなる。
    それが植物プランクトンのブルーム(大増殖)に繋がり、この海域の興味深い特徴を生み出してもいる。
    この状況を期待していたはずだと自らに言い聞かせる。
    そんな荒れた南の海に出ると思い出すことがあります。

  • 何年前だっただろう。
    JAMSTEC横須賀本部から八丈島までプランクトンレコーダー観測を行う短い航海に参加した時だ。
    南岸低気圧の影響か出港後、観測海域に着く前から海は時化模様。
    その後海況はますます悪化し、居室の荷物は散乱。
    もはや片付ける気もなくなった。
    そんな中、朝食に向かうとテーブルには食事が用意されていたが、味噌汁はほとんど入ってない。
    テーブルクロスの上に味噌汁の湖ができていて、揺れに合わせて波打っていた。
    船のテーブルは縁をひっくり返すとせり上がり、壁になる。
    こうやって使うんだと感心したが、そこまでして汁物を出す必要があるのか??

  • 結局観測できないまま八丈島に。
    八丈島では地元の人も驚く雪が舞っていた。
    全く何もせず、成果なしで終了した航海は後にも先にもこの航海だけだ。
    八丈島でくさやと明日葉を初めて食べた。
    これが唯一の収穫だった…

  • (松本)

みらいの船窓から
みらいの船窓から

2021年2月27日 海洋プラスチック問題

  • 本日は、(ブログ)休“刊”日ならぬ、(ビール)休“肝”日ならぬ、(観測)休“観“日。船上では洋上セミナーが開催された。講演者はJAMSTEC中嶋亮太さん。演題:「プラなし」博士が語る、プラスチックとの賢いお付き合いー海洋プラスチック汚染の真実ー

  • 海洋プラスチック研究分野の若手のホープ。既に著書もあり、「プラなし生活」というブログも主宰。レジ袋やペットボトルなどプラスチックゴミの海への流出状況、海洋内での循環や分布、そして生態系・経済に与える影響などわかりやすく紹介してくれた(写真1セミナー風景)。

  • 自分も大学で「海洋環境化学」なる講義をしている身。彼の著書やブログを大いに参考にさせてもらっている。その中で知ったのが新聞紙で作るレジ袋に代わるゴミ袋。プラゴミにならず生ゴミの水分や油分を吸収してくれて機能的。早速、自宅で作ってみると超簡単。あっという間に十数枚作り上げる。定年を控えた自分が一心不乱に新聞ゴミ袋を作っている姿を、悲しそうに見つめる妻と娘がそこにいた。

  • (本多)

洋上セミナー
洋上セミナー
新聞ゴミ袋
新聞ゴミ袋

2021年2月27日 初めての採水が予想以上に難しかった件

  • 遡る事2021年2月15日、これまでの割と長い研究者人生の中の初のイベントがありました。採水班に参加したのです。今回の私の乗船研究ミッションの一つに、海水中に入っている粒子を集めて、その供給源を推定する(海のプランクトンの繁栄に必要な栄養素の一つである“鉄”がどこから運ばれてくるのかがわかる!)というのがあります。そのために、様々な地点・深度の海水を集めてろ過を行い、フィルター上に粒子を集めています。

  • さて、これまでに参加した研究航海では、主に採泥(海底の堆積物の採取)に携わって来ました。力業・ダイナミック・持久力、といった形容詞が似合う採泥作業に比べ、採水は実に繊細で緻密な世界でした(フォローしておくと、採泥も緻密さ・繊細さが必要です。一方、採水には持久力も必要)。

  • 「みらい」では各種センサー等を搭載した採水装置を用いて、水温、塩分、溶存酸素、光合成有効放射量などの深度分布を計測して、同時に各層での採水を行っています。最大36もの異なる深度で、各々約12Lのボトルに採取した水は、船上にて、ボトルから各分析に応じた複数の容器に水を小分けにしていく必要があります(写真:様々な形状・容量のボトルたち)。それが選ばれし採水班の仕事。

  • 例えば溶存酸素量などの測定に用いる際には、ボトルから容器に注ぐ際に「気泡」がはいっては正確な測定ができません。ボトルの口にチューブをつなげ「気泡」がはいらないように様々な点に気を配って容器に水を注ぐのですが、それが「筋肉界(採泥の皆さん、ごめんなさい)」の住人であった私の手には完全なアウェー。次の容器はクロロフィル量を測定するためのボトル。最初に数回、ボトル内に少量の水をいれて共洗いしますが、ガシャガシャ洗ってはいけないらしい。なかなかコツが掴めず軽くパニックになる私を横目に、周囲の人間国宝級・熟練採水班メンバーは淡々と鮮やかな手つきで水を注いでいく。

  • 水を採ることすなわち採水、ただそれだけのことと侮ることなかれ、実に奥が深い世界でした。今航海で修行致します。でも筋肉界にも遊びに来てね。

  • (長島)

採水ビン
採水ビン
採水器
採水器

2021年2月28日 さようなら亜寒帯

  • 2月21日に北緯47度 東経160度の観測点を終え,荒天を乗り越えたのちに26日に北緯44度 東経155度,28日には北緯40度 東経147度50分と南下しながら観測をしてまいりました。水温は1~2度だったのが5~10度まで上昇。防寒をしっかりして外で作業をすると汗ばむほどに。

  • あぁ,これからようやく南の温かい海だ。
    さようなら亜寒帯。さようなら2月。
    こんにちは3月。こんにちは穏やかな亜熱帯。

  • 3月1日の波高予報をぢっと見る。これから向かう北緯25~35度の亜熱帯(紫の線が予定航路)も波高5 mを超える真っ赤な領域しかない。。。目をつむる。大丈夫,もう見えない。瞼の裏に映るのは,数年前に訪れた真っ青な小笠原の海。うん,これでいい。こうであってくれ。。。

  • *波高予報は日本海洋事業の観測技術員さんが作成

  • (杉江)

波高予報
波高予報

2021年2月27日 夜明け前の男

  • 午前5時半。
    夜明け前、月が明るいまだ薄暗い時間に人知れず男たちは動き出す。
    荒天のため閉めきられていたシャッターを開けてもらい、甲板に設置された水槽へ。

  • 昨日の観測で採水し、水温調整された水槽内で保管されていた透明ボトルを回収。
    素早く試薬を添加し、再び水槽へと赴いて採水した深度の光量に調整された容器内に設置する。
    手にしているのは黒いストッキング!?
    暗ビン(比較のため遮光されたボトル)が水槽内で暴れないようにまとめておくためのものだ。
    趣味用ではない。
    この水槽内で24時間培養し、植物プランクトンが光合成によって取り込む二酸化炭素量を測定する。
    明日も夜明け前のまだ薄暗い時間に男たちは動き出す。

  • (松本)

植物プランクトン培養
植物プランクトン培養

2021年2月26日 Station KNOT

  • 本日観測を行った観測点KNOTは先日の観測点K2の前の時系列観測定点。1980年代半ばから2000年代初期にかけて行われた国際共同物質循環研究プロジェクト「JGOFS」の一環で、西部北太平洋亜寒帯循環域の時系列観測定点として1997年に設定された。場所の選定理由は、北海道大学練習船「おしょろ丸」の歴史ある実習航海定線の最北点だったので、それなりに海洋学データが蓄積されていたためである。国立研究所や大学がワンチームとなり、当時就航したばかりの本船「みらい」を筆頭に様々な船が様々な時期にKNOTを訪問、主に化学的・生物学的な観測研究を行った。その結果、KNOTを含む西部北太平洋亜寒帯循環域は世界的に生物化学的な季節変動が大きいこと、植物プランクトンが光合成で吸収した大気中二酸化炭素が沈降粒子として海洋内部へ効率的に輸送されていること等が明らかとなった。セジメントトラップ係留系などが設置されたオールジャパン的な集中観測は2001年で終了したが、それ以降も機会があれば同点を訪れ、海水の採取・化学分析を行ってきた。20年以上の長期的データ解析のおかげで、季節変動が大きいKNOTでも、大気中で増加する二酸化炭素が溶け込んだ結果による「海洋酸性化」が徐々に進行中であることが明らかになってきた。ところでKNOTはKyodo North Pacific Ocean Time-series stationの頭字語。当時、日本を代表する海洋化学・海洋生化学研究者たちが夜の宴会で酩酊中に考えたため、KNOTのKにふさわしい英単語が思い浮かばず、とりあえず“共同”のKにしておこう、というのが最後まで残ったのである。

  • (本多)

西部北太平洋の観測定点(K2: 北緯47度/東経160度、KNOT: 北緯44度/東経145度、KEO: 北緯32.5度/144.5度)。”3K”もしくは”KKK”…あまり良い響きではないが…
西部北太平洋の観測定点(K2: 北緯47度/東経160度、KNOT: 北緯44度/東経145度、KEO: 北緯32.5度/144.5度)。”3K”もしくは”KKK”…あまり良い響きではないが…

2021年2月26日 ニューストンネット



  • (木元)

2021年2月24日 読み物3点

  • 14年ぶりの「みらい」乗船です。懐かしいような、ほぼ初めてのような、不思議な心持ちです。さて、乗船前の私物準備は後回しにしてしまいがちですが、今回も例に漏れず…自宅を発つ直前に、手元にあった本や雑誌を3冊だけ鞄に突っ込んで持ち込みました。それらを紹介したいと思います。

  • 1. 雑誌「BRUTUS」2019年2月15日号
    特集「現代美術家・合田誠の死ぬまでにこの目で見たい日本の絵100」

    大学院を卒業した後、「芸は身を助く」という言葉(「芸は身を滅す」とも言いますが)を信じて水墨画を習い始めました。全然練習しないダメな生徒ですが、今まで細々と続けています。描き始めると、日本の昔の絵画に対しても興味を持てるようになりました。この雑誌の特集では、現代美術家の合田誠さんが、古代から近世までの100点の日本の絵画を「めちゃくちゃ気味」のコメントを付けて紹介しています。コメントの一つ一つが短いので、船内作業のちょっとした休憩時間に読むのに最適です。連載記事の「おなやみ相談室」などを読むのも楽しいです。

  • 2. 雑誌「芸術新潮」2021年2月25日号
    特集「ブックガイド2021 愛でたい読書 あの人がえらんだ、必読本150冊」

    単価も高いし10年前だったら絶対手を出さなかった雑誌の最新号(乗船時時点)です。日本の画の特集と、ここには書けないような際どいテーマの特集の時だけ購入しています。大学の生協でなら1割引で購入できます。本号は、読みたい本を探すというより、いろんな本棚や図書館の写真を眺めるのを目的に購入しました。まだちゃんと読んでいません。


  • 3. 地人選書4 「あわの科学」 阿部友三郎(1984)地人書館

    唯一の学術書です。以前、北陸で研究員をしていた頃に、冬の日本海の風物詩「波の花」に興味を持ちました。「波の花」は、寒くて風の強い日に海水が泡立って安定な泡沫となり、海岸に集まったり風で舞ったりする現象です。植物プランクトンや海藻から浸出する界面活性の有機物が原因といわれていますが、研究例が少なく…と思っていたのですが、この本には海水中の泡や「波の花」の物理的な性質が、観測の苦労話と共にまとめられています。この本の存在は、能登半島での海岸調査中、偶然「波の花」の撮影に来られていたテレビ局の方に紹介していただいて知りました。自身の研究テーマである海水起源のエアロゾル(海面の泡の破裂によって生じる大気中の微粒子)とも関連が深く、興味深い内容です。適度に微分方程式が散りばめられおり、読み始めると比較的速やかに眠りにつけます。

  • (広島大学・岩本)

2021年2月24日 時化の思い出ver.3

  • 奇跡のような荒天の隙間で行われたK2での観測後、再び時化の海へ…
    そんな荒れた海に出ると思い出すことがあります。

  • 初の外国船での観測航海。
    オーストラリアの船でタスマニア島から南大洋へ。
    吠える40度、狂う50度、絶叫する60度と言われる南大洋。
    出港してまもなくすると吠えられ、そのうち狂いだした。
    耐えるつもりだった。
    でも耐えられなかった。羊肉の臭いが。
    私はオージービーフを楽しみにしていた。
    しかし、出てくる食事は朝はパン、昼も夜も羊肉だった。
    しかも出てくる羊肉がとても癖があって臭い…
    この時私は夜の観測当番で食事は昼と夜しか食べるチャンスはなかった。
    飲むしかない。人生で初めて酔い止め薬を飲んだ。
    こんなに効くんだ!!
    羊肉が美味しく感じ、そのうち臭いにも慣れた。
    ベジマイトには最後まで慣れなかったが。
    1か月の航海だったが、オージービーフを食べた記憶はない。
    今では羊肉は大好きだ。

  • (松本)

2021年2月24日 長い航海で

2021年2月24日 ぎょぴちゃん

  • 今回設置した係留系には、3種類の異なるpHセンサが水深1000mまでに7器装着されています。pHを5分おきに計測し、北太平洋の海洋酸性化の実態を明らかにします。来年の回収が今から楽しみです!

  • (木元)

様々なセンサを搭載したトップブイ、通称「金魚」。私は「ぎょぴちゃん」と命名したい
様々なセンサを搭載したトップブイ、通称「金魚」。私は「ぎょぴちゃん」と命名したい

2021年2月23日 青空と無風

  • 2月23日,本船は北緯47度,東経160度の観測点におります。ここはSt. K2(ステーション けーつー)といい,JAMSTECが20年にわたり,係留系による海洋気候観測を継続しています。本日はその係留系設置の日。

  • 水深約5,200 mのSt. K2の海底から約5,000 mの係留策に,水温,塩分などの基礎データを始めとした様々な機器を取り付けて観測をしています。船から約5 kmのロープ(めちゃ丈夫)を繰り出しながらそこに測器を取り付ける作業は海況が良くなければできません。それをこの,基本的に荒れている2月の亜寒帯北太平洋で。

  • 朝5時から乗船研究者とマリンワークジャパンの皆さんで準備をすすめ,8時過ぎから投入開始予定。朝6時,昨日は6 mを超えていた海のうねりは4 m台に。できるぞ!できるぞ!

  • 続々と投入される係留策と観測機器。500 mに設置するセジメントトラップの投入時には青空まで見えるほどに。信じられるだろうか,こ,これが冬のK2だぜ。。。

  • 鎖がねじれていると引っ張られたときにちぎれる危険性があるので,鎖の繋ぎも丁寧にチェック。延々と続く気の抜けない作業。

  • 最初の測器投入から約4時間で最後に投入する2.4トンの重りを投入。気づけばほぼ無風状態に。冬の亜寒帯に空いた隙間。天気予報以上の良い海況は,今航首席の日頃の行いの良さだろうか。素晴らしい。とても素晴らしい。

  • その後の観測も続けて行うことができ,本日分は予定通りに観測終了。すごいぞ,今航の首席!今後もずっとずっと首席を務めていただけると助!か!り!ま!す!!!!

  • (杉江)


2021年2月23日 祝!K2係留系観測20周年

  • 奇跡的に現れた荒天の“はざま”の中、観測点K2に様々な時系列観測装置を搭載した係留系が、無事に設置された。同地点の係留系観測が始まったのが2001年。米国「ウッズホール海洋研究所」と共同で行われた「JAMSTECむつ研究所」最初の研究プロジェクトであった。今年でちょうど20年。係留系設置地点の履歴を眺めると、各航海の様子、当時のプロジェクトや仲間、そして社会状況、様々なことが思い出され、感慨深い。

  • (本多)


2021年2月21日 時短営業

  • 21:00
    ウエットラボ1で、先ほど採水した海水のろ過作業開始。隣のウエットラボ2から良質なジャズが聞こえてくる。今回ウエットラボ2の主はコージくんとクリスちゃん。微量金属“鉄”の研究のためクリーン区画を設営。さすがオシャレなコージくん、音楽の選曲も趣味が良い。借景ならぬ“借音”を楽しみながら、甘美な曲に身を委ねる。これでコージくんの挽きたてコーヒーの香りがあれば最高なのに、と独り言ちる。

  • 22:30
    別室にて同時進行のデータ処理から戻るとジャスが止みコージくんもいない。時短営業?!おいおいコージ、おまえもか?

    *後で確認したところ、コージくんは別室でキモピーとプランクトンの顕微鏡観察中でした。お詫びし訂正します。

  • (本多)

クリーン区画。区画内には室内ダストが除去された空気が送りこまれ海水試料の汚染を防ぐ。
クリーン区画。区画内には室内ダストが除去された空気が送りこまれ海水試料の汚染を防ぐ。

2021年2月21日 暴風雪

  • 風速20mにもなる暴風雪の中でプランクトンネット観測!骨まで凍りつきました!
    顕微鏡観察が楽しすぎて、気づいたら夜が明けてました!
    そんな体験がしてみたい、そこのあなた!航海への参加をぜひお待ちしております。

  • (木元)

暴風雪

2021年2月20日 時化の思い出ver.2

  • 荒れた海に出ると思い出すことがあります。

  • 11年前の2月も、この船は同じ場所、Stn.K2を目指す航海に出ていた。
    その時もひたすら時化に耐えていた。
    波高は10mを超え、船が波に当たる度に衝撃を感じていた。
    これはデジャヴか?
    その時一緒に乗船していた仲間が今回も多く参加している。
    あの時、皆思っていたはずだ。
    2月のK2なんて無謀だ、ばかげている、頂上はとてつもなく高い…と。
    しかし、パーフェクト・ストームの恐怖に打ち勝ち、猛吹雪にも耐えて観測を完(半)遂した。
    そしてまた、我々は性懲りもなくやってきた。
    今回もできると信じている。
    でもやはり思ってしまう。
    2月のK2なんて無謀だ、ばかげている、頂上はとてつもなく高い…と。

  • 11年前の航海(MR10-01)の写真を付けます。

吹雪のCTD採水
吹雪のCTD採水
大時化
大時化

2021年2月20日 One week of FTIR measurements, or how the instrument survived high waves, storm, and snow

  • We are on board the MIRAI for one week already. My expectations were that we set up the customized EM27 Sun Fourier Transform Infrared Spectrometer of André Butz’s group of the University of Heidelberg, adjust the settings, wait for the sun to come, and document its performance. How contrary the reality was: First, vibrations from the ship’s diesel engine disturbed the interferograms of the spectrometer. We could minimize this via anti-vibrations mats. Then, a storm with high waves and rain kept me awake the whole night not only because of feeling slightly seasick, but also because of my worries for the instrument: Do the metal pole and the tension belts with which the instrument box was fixed last (Picture 1)? Is everything really waterproof?

  • The next morning was beautifully sunny. The instrument was covered with sea salt and organic deposits but seems to be ok. Then the shock, there was a small layer of water on the floor inside the box!! Luckily, it turned out that nothing else got wet. The water likely entered through the covered ventilation holes which seems not perfectly protect against splashing water from below. Hopefully, additional tapes around gaps will minimize the amount of moisture getting inside.

  • Switching on the power of the spectrometer, all functions were working normal! But for further operational measurements we need to optimize the settings for the tracker. The tracker has to compensate the vibrations of the diesel engine and the movements of the ship so that the sun always keeps centered over the instrument’s aperture. But if there is no sun, only clouds, even snow, or too high waves? That means: waiting…. and set up screen and cables as soon as the sun appears and start a new measurement again.

  • For the long waiting times, I have set myself a personal challenge: learning to play Ukulele. I never had a string instrument in my hand before…. Maybe, if I can find the right tone, I can summon more sunshine while singing “Where is the sunshine, the lovely sunshine…” I hope, my room mates forgive me the wrong tones.

  • (Astrid)

Picture 1. Measurement box with additional tension belts and tapes around the ventilation hoods.
Picture 1. Measurement box with additional tension belts and tapes around the ventilation hoods.
Picture 2. No sun!
Picture 2. No sun!
Picture 3. Set up measurement equipment in a sheltered part of the deck.
Picture 3. Set up measurement equipment in a sheltered part of the deck.
Picture 4. Personal challenge.
Picture 4. Personal challenge.

2021年2月19日 みらいと追い風

  • 船舶で大気組成観測をする際にまず一番重要なのは、試料大気の採取口と船の排気の流れる方向の関係性です。航走中にデータが取れるよう、煙突よりもなるべく船首に近いところに観測装置を配備します。そして、航走中に船に対して相対的に前方より風を受ける条件が理想的ですが、非常に強い風が船舶の後ろから吹いていることももちろんありえます。

  • この記事を書いている今がまさにその条件にあてはまります。

  • 自動計測器はここ1日以上ずっと船舶の排気を計測し続けています。。。何をしているのだろうと複雑な気分でもありますが、開き直って、今がチャンスと短時間だけ計測をやめてメンテしたりしています。

  • (難しいとはわかっていますが、)船舶にもいつかゼロエミッションの時代が来れば良いのにと切に思います。

  • (宮川)

2021年2月19日 現代マスク考

  • 船内必須アイテムがマスク。「出かけるときは忘れずに」(古っ!)この一年、自分も様々なマスクを試してきた。

    (1) 不織布マスク(通称タケノマスク)
    不織布マスク(通称タケノマスク)
    やはり感染防止にはこのマスクが一番。本航海では、首席研究者のおかげで、洗って再利用の必要もなく、常に清潔なマスクが着用できる。多謝!
    (2) スポーツマスク
    スポーツマスク
    マスクの目あいが粗いので呼吸しやすいスポーツ用マスク。様々なスポーツメーカーが自社製マスクを販売している。これはUA社のマスク。少々お高めだが、フレームがしっかりしているので陥没し口鼻を塞ぐことが少なくお薦め。ところでマスクの色であるが、一昨年までは「黒マスク」なんて、と眉をひそめていたが、今ではすっかり慣れてしまい、「スポーツには黒マスクが一番“クール”」と思いこんでいる自分がいる。
    (3) スポーツマスク+マウスフレーム
    スポーツマスク+マウスフレーム スポーツマスク+マウスフレーム
    このマスクは耳掛けの紐が柔らかくしっかりしている。内部にポケットがあり、ガーゼや布などを入れ二重構造にできるため飛沫拡散・侵入防止効果を高めることも可能。ただし汗でぬれた時に口鼻を塞いでしまうのは否めない。そこで登場するのがマウスフレーム。ソフトプラスチック製で中央が隆起している。もともとはマスクに口紅がつくことを防ぐために開発された。これをマスク下に入れれば、ぬれたマスクも口を塞がず効果抜群。2種類試したが、現在使用しているものは安価で、かつ柔軟性があり肌に優しい(カスタマーレビュー:★★★★★)
(4) バフ
バフ
「コロナ禍ではランナーもエチケットを守りましょう」。ご自身もランナーであるノーベル賞受賞者山中伸弥教授推薦でランナーの間で爆発的に流行。日焼け止め効果も高いため特に女性に大人気。ただし夏は暑いし口にへばりつくのが難点。先のマウスフレームとの併用がお薦め。
(5) 透明マウスカバー
透明マウスカバー
「熱中症、呼吸障害の危険がある夏の運動時にはマスクをはずしましょう」、という中、夏の屋外ランニングにはこれが最高。何もないよりは飛沫拡散・前方ランナーの呼気吸引防止に役立つ。ただしサッカー時の着用は危険。財務大臣お気に入り。
(6) 飲み会用メガネ+マウスカバー
飲み会用メガネ+マウスカバー 飲み会用メガネ+マウスカバー
ST社が開発した飲み会用メガネ+マウスカバー。会話の時にはマウスカバーをクローズ、飲食時はオープン。これで感染防止対策はバッチリ。船上でこれが使える日を夢見て。(完)

  • (投稿者:マスクマン)

2021年2月18日 大気のろ過作業

  • 大気の物質科学を取り扱う我々は、海水を取り扱う海洋の研究者の方々と似たようなろ過作業を試料大気に対しても行います。ろ紙に大気を大量に通過させ、大気に浮遊するエアロゾル粒子をろ紙上に捕捉します。そのろ紙試料は冷凍保存をして持ち帰ったうえ、実験室での分析に使用します。一般的に、海上の大気は清浄であり、詳細な組成情報を取得するには、この大量ろ過による濃縮作業が欠かせません。

  • 光を吸収する成分、例えばブラックカーボン(BC、“すす”のことです)粒子を多く含む場合、白色のろ紙が黒ずんでいきます。一方で、光を吸収しない成分、例えば海塩粒子を多く含む場合、白色のろ紙の色はほとんど変わりません。慣れてくれば、色味だけでどんな成分が多いのか(どんな起源が支配的か)もわかるようになります。

  • 写真は本航海中、北海道沖(Stn1~3区間)で採取した試料です。約2000m3の空気中に含まれた微小な(PM2.5)エアロゾル粒子が集められた結果であり、淵の白色部分とのコントラストから、暗色化が認められ、低濃度ながらも人為起源の光吸収性成分の代表格であるBC粒子の存在がうかがえます。事後の分析とその場観測の結果を組み合わせたデータ解析が楽しみになってきます。

  • (宮川)


2021年2月18日 時化の思い出

  • この航海はかなり時化て揺れるので苦労している人も多いと思います。
    そんな荒れた海に出ると思い出すことがあります。

  • 学生時代、練習船で初の長期航海で上海へ。
    出港早々台風に遭遇し、台風に揉まれながら東シナ海を北上。
    海は大時化、乗船実習に出てくる生徒は半分ほどに。
    この時、教官に言われた言葉は「船酔いでは死なない」。
    慰めになってない…

  • 台風が過ぎ去ってぽつぽつと実習に人が戻ってくる。
    しかし一人だけ、いつまで経ってもベッドから出てこれない奴がいる。
    3~4日経つと、少しざわつき始める。
    ご飯食べてるところを誰も見ていない。
    「船酔いで死ぬ」んじゃないか?

  • さらに数日が経ち、長江を上って上海に入港した。
    真っ先に下船したのは「奴」だった。
    生きてた。
    しかも、陸上では一番元気だった。

  • 確かに人は簡単に「船酔いでは死なない」ようだ。

  • (松本)

2021年2月18日 俺の好きな酒

  • 22:30 ようやく後方散乱計のデータ処理終了。時刻改正のため船内時間は既に23:30。風呂に入って男は黙ってナイトキャップ。至福の時。俺の好きな酒。Carnivor(肉食動物): 肉料理に合うフルボディのカリフォルニア赤ワイン。Bowmore 12年:バニラ香のあるスモーキーなアイラ島産スコッチウイスキー。共通項はイチ、ニの……。

  • (本多)


2021年2月17日 夕日見物の代償の代償

  • 2月17日,予定していた観測点が荒天なので,北緯40度,東経144度30分の日本海溝上に,予定より南下したところに新たな観測点を設けて観測を実施中。風速15 m/s前後,波高4 m前後。ぎりぎり観測可能な海況でした。

  • 低気圧の雲は過ぎ去り,2~3日ぶり蒼蒼として美しい空。これから曇天や濃霧の北の観測点を目指して航走するので晴天の名残り惜しさに夕焼けを撮っておりました。船首付近をカモメが飛んでいて,強風&極寒でしたが平和なひと時。

  • 沢山写真を撮ったので,さて部屋に入ろう。として撮影場所から戻ると,内側から鍵をかける鉄の扉(大時化の雨風から船内を守るために閉めるもの)が閉まっていて中に入れない・・・え,時化るの?え,明日の観測まで外で孤立・・・むり・・・

  • 空いているところを探し,ようやくシャッターの隙間を発見。中にいる方に助けを乞い,何とか船内に入ることができました。ほっ。

  • 船内に戻ると夕飯の時間でした。今夜は,ステーキ,スケソウダラのホイル焼き,砂肝ときゅうり・セロリのサラダ,コンソメスープ,ヨーグルトドリンク。豪華!明日からも頑張って働きます。

  • ・・・働いている様子の日誌がないですね。近々書きます。

  • (杉江)


2021年2月16日 懺悔

  • ひと晩中強風で揺さぶられたせいか、1日中眠いのです。横になれば1分以内で眠りに落ちることができます。それでも観測開始10分前にはシャキッとして、作業着に着替え、雨合羽を着て万全の体制で観測に望んで、、、いる夢を見ました。おかげで本日1回目の観測に出遅れたのでした。ごめんなさい。

  • (木元)

2021年2月16日 つよがりの言葉

  • 現在風速30m, 波高10m,低気圧がやってきて海が荒れています。船中は大いに揺れてます。こんな日は観測もお休み。でもこの状況をpositiveに代える魔法(つよがり)の言葉を幾つか耳にしました。

  • ・体幹が鍛えられる
    まさにその通り,部屋の中でおっとっととならないように鍛錬するのみ。

  • ・ブログのネタになる
    ブログのネタにできると思えば,何でも来い,という心持に。なぜか人は「上手くいった話」よりも「苦労した話」を聞きたくなるもの。一晩中,右に左にゆすぶられ続けた体験で,陸での人気者を目指します。

  • ・食事の際の小さな冒険
    船の生活における楽しみの一つが食事ですが,もちろん食事中も揺れています。今日の夕食の際は,10秒ほどの間隔で,左に右に席がずるずる滑ってしまうほどの大きな揺れ。セルフサービスのお味噌汁やごはんを運ぶ際に「あちっ」とならないように気を付けたり,食事中はお味噌汁の水面がお椀の淵からこぼれないように観察したり,美味しくて忙しい食事時間。

  • (長島)

2021年2月16日 南岸低気圧を受け止める

  • 2月15日の昼頃に今航最初の津軽海峡での観測を終え,しばらく時化るから天候を見ながら次の観測をしましょう,ということになりました。15~16日にかけて,函館のある渡島半島の亀田半島側から襟裳岬沖を航走中。

  • 15日の夕方過ぎからぐんぐん強まる風,高くなる波。16日の朝,起床しても悪化はすれど,好転の兆しはいずこへ。常時風速20 m/s以上で35 m/sを超えることもしばしば。波高は16日に入ってからは7 m以上をキープし,しばしば10 mに。船橋から見た海には沢山の白い筋。見たこともない風景でした。

  • 一日中,大波に全身揺さぶられ続け,ふと,「…何しに船に乗ってるんだっけ?」とせん妄のような状態に。PCに向き合っていると船酔いしそうになるので,この辺で。

  • 南岸低気圧めっ!

  • (杉江)


2021年2月16日 Sta3に向けて移動中(@襟裳岬沖)

  • 明け方から、急に海況が悪くなりました。現在、西の風、風速30m/s以上、波高7-9m。気温もとうとう氷点下。でも空は青空も見えるという状況です。そんな中でもみらいは悠然と次の測点に向かって移動中です。さすがです。右へ左へ船内は揺れる揺れる。ちゃんと捕縛していないものはコロコロと行ったり来たり。早めの対応が必須です。また、階段を上り下りするときは揺れのタイミングを見計らって出ないとなかなかなGかかかります。自分は早々にドーピング(酔い止め)を実施。

  • いつまで続くのか。。。

  • (竹谷)

BGM♪ ニシへヒガシへ
荒れる海
荒れる海
風速30m/s越え(右側)、波高も6~9m、そりゃ揺れるわ。。
風速30m/s越え(右側)、波高も6~9m、そりゃ揺れるわ。。

2021年2月16日 コロナ禍の船上生活 ~New Normal~

  • 出港5日前のPCR検査では全員陰性。従って船上は感染者ゼロ、世界で最もクリーンな環境のはず。一方では、検査から出航までの間に感染する可能性もゼロでは無いし、もしかしたら偽陰性かもしれない。ということで、船上では陸上と同じく、徹底した感染予防対策中。

  • 「マスク着用」
    船上ではマスク着用。不織布、布マスクが多いが、甲板作業の多い人はウレタンマスク、運動用マウスカバーやバフの着用も。主席研究員の粋な計らいで乗船者全員に不織布マスク(通称タケノマスク)が配布される。最初は船内でのマスク着用が習慣づいておらず、あわてて船室に取りに帰ることも。最近は自分が”マスク警察”化。鼻をだしたマスク着用者に注意したくなる。

  • 「黙食」
    食堂入退室時はマスク着用、食事中は不要不急の会話厳禁(「お醤油とってくれる?」これは不要不急でない会話。「清水で”生しらす”食べた?」これ不要不急)。食べ終わってマスクを着用した時だけ最小限の会話が許される。マスクをした人は話せるが、食事中の人は対話できず、無言であいづちをうつぐらい。話がしたい意中の人と隣り合っても、食事の速度が異なると、自分が食べ終わった時はその人が既に退席、ということもしばしば。

  • 「ミーティング」
    打ち合わせは、密を避けるため、会議室、実験室、四人部屋など5−6か所に分かれての船内オンラインミーティング。本航海で始めてオンラインミーティングシステムが導入されたため試行錯誤で実施中。なかなかうまく行かず、本システムに多少は慣れているNME観測技術員が船内を走り回ることになる。

  • 「ジム」
    本航海では運動室(ジム)が使用可能。ただし密を避けるため、大人数では使用禁止。皆でいっしょに「ビリーズブートキャンプ」などはご法度。自分は誰も来ない早朝6時からトレッドミルでランニング(もちろんマスク着用で)。大好きなサウナは残念ながら停止中。コロナウイルスは紫外線に弱い、ということなのでジムに「日焼けマシーン」があったらいいな、と不謹慎なことを考えてしまう今日この頃である。

  • (本多)

マスクで食事
マスクで食事

2021年2月15日 本格海洋観測開始@Sta1(下北沖)

  • 最初の観測点に到着しました。まだ、揺れはなく、風もそれほど強くない。 メニューはCTD採水、NORPACネット、プラスチック採取のテストで、最初ということもアリ、ギャラリーがたくさん。無事(?)に終了し、次に向かっています。

  • (竹谷)

BGM♪ HABABI
CTD投入準備完了!
CTD投入準備完了!
NORPACネットも行います
NORPACネットも行います

2021年2月15日 コーヒーを飲むよ

  • 2月12日に乗船,13日に清水港を出港し,下北半島沖の最初の観測点を目指して北上する本船。積み込んだ研究資材を船の実験室で使えるように組み立てたり,テストしたりと皆さん忙しくしております。

  • そんな中での小休止は,ミルで挽いた豆で入れるコーヒー。
    ごりごりごり…
    ぱかっ
    だばだー だーば だばだー♪


  • のはずだった。挽いた後の豆がたまるところに小袋に入ったおかきがみっちり。。。スペースの節約のために詰め替えたんだっけ。。。ぅぅ。やっちまった。

  • さて,本日15日の昼に最初の観測点に到着し,観測開始です。
    冬の太平洋の外洋は大荒れになることが予想されます。荒天待機と大時化の隙間で観測をしながら一喜一憂するであろう本航海日誌をどうぞよろしくお願いいたします。

  • (杉江)

2021年2月14日 急遽、震源域の海底地形調査

  • 2月14日午前10時26分、船底から鳥のさえずりに似た甲高い音が2秒周期で聞こえ始めました。音響測位が始まった証拠です。前日の福島県沖の地震をうけ、みらいは急遽、震源域の海底地形調査を行っています。この調査中にも余震があり、船にも振動が伝わりました。気づいた研究員もいたようです。

  • (木元)

福島沖の海

2021年2月14日 最初の観測点に向けて爆走中 銚子沖~岩手沖

  • 出港翌日を迎えました。最初の観測点であるむつ沖に向かって、みらいは北上を続けています。避難訓練採水練習を実施など、盛りだくさんの1日です。また、13日の23時ごろ大きな地震があったと連絡が入りました。本件はちょうどその地震のあった震源地付近を通過してむつ沖に向かうため急遽、海底のサーベイの観測を実施しました。また、16:30過ぎに船でも大きな揺れを感じ、エンジン関係の揺れかなと思っていたら、地震だったようで、。初めて、船上で揺れを体験しました。最初からいろいろなことが起こります。

  • (竹谷)

BGM♪ tomorrow never knows
操練中
操練中
採水練習中
採水練習中
海底地形サーベイ中
海底地形サーベイ中

2021年2月13日 出港しました 銚子沖

  • みらいは無事に出港いたしました。たくさんの応援を背に良いデータ、興味深いデータの取得、地球表層システムの新理解を目指しての出港です。 翌々日までは天気は何とかなりそうなのですが、その後は。。。

  • (竹谷)

BGM♪ エソラ

2021年2月12日 出港前日の儀式 清水港

  • 無事に艤装も終わり、出港前日となりました。長期航海に備え、みなさん、観測準備はもちろんのこと、実生活に必要なもの、なくてもよい物などを購入運搬にいそしんでいます。かくいう自分もアイスが種たくなるかも、炭酸ジュースが飲みたくなるかも、ビール足りるかな、甘いものは必須など、いつもは陸上は買わないものを購入してしまっています。来月に、それらが、なくなっているかどうか?

  • (竹谷)

BGM♪ 甘い果実

2021年2月11日 MR21-01航海艤装2(海洋関連観測機材の艤装) 清水港

  • 竹谷です。MR2101航海の海洋観測関連機材の艤装が行われました。横須賀本部から10tトラック3台、むつ研究所から10tトラック3台とそうそうたる者たちが運ばれてきました。

  • 非常にスピーディかつ正確に次々とみらいの船上に運ばれ、続けて整頓され、観測準備ができる状態になっています。

BGM♪ イロトリドリノセカイ

2021年2月1日〜4日 MR21-01航海本格始動(大気関連の艤装) 横須賀本部/清水港

  • 地球表層システム研究センターの竹谷です。MR2101航海の準備が本格的に始まりました。今回は首席ということで、乗船予定です。内容については出港後ご説明しますが今航は大気-海洋物質航海として、東アジアの大気物質が海洋生態系にどのような影響を及ぼすかを主軸に、大気・海洋の様々な観測が予定されています。プロジェクト名はIMPACT-SEA(Influence on Marine ecosystem at western north Pacific by Atmospheric Chemical Trace Species from East Asia)

  • 今回に限らず、今年度の研究航海は新型コロナの影響により、極力3密を避けることが必要であり、分散艤装を行うこととなりました。で、まずは非乗船課題の多い、大気関連の測器の搭載・設置を2/2-6に先発で、行うことになりました。

  • たくさんの測器が搭載予定(おいおい説明)で、各自距離を取りながら、きれいな富士山をバックに準備に取り掛かかりました。大きなトラブルもなく、準備が順調に進んでいます(と思う)。

  • なお、節分(2/2)をちょうどみらいでの作業中に迎えたので、お昼にみんなで南南東を向いていただきました(黙食)。I本さんハッピーバースデー!

  • よい航海になりますように

  • (竹谷)

BGM♪ 明日はきっといい日になる
横須賀本部での準備はアクロバティック
横須賀本部での準備はアクロバティック
南南東に向かって
南南東に向かって