2013年 4月 10日
独立行政法人海洋研究開発機構
独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、海洋の極限環境に生息・発達する多様な生物群の調査・研究の一環として、平成25年1月から有人潜水調査船「しんかい6500」及び支援母船「よこすか」を用いて、インド洋、大西洋、太平洋の高温熱水域などの特異かつ極限的な海洋環境域に成立する生態系について、地球的規模の調査・研究のための研究航海「航海名称:QUELLE(クヴェレ)2013」を実施しております(平成24年12月13日既報)。
このたび、当該研究航海の最初の調査海域であるインド洋における調査が、平成25年3月で終了しましたので、その実施概要について御報告いたします。なお、今後は海域をインド洋から大西洋に移して引き続き調査を実施する予定です。
1.インド洋における調査目的
当機構では、化学合成機能を有する生物群集と、それらが生息する深海熱水域に関する総合的な研究に取り組んでおり、その一環として、今回、当該海域の熱水活動、熱水循環構造及びそこに生息するスケーリーフット巻貝等の生物群について、実地調査を行い、その相互関係等を解明することを目的としています。
2.実施概要(別添地図参照)
(1)ロドリゲス海嶺三重点周辺部(水深1,400m~5,200m)
実施期間:1月27日~1月29日
実施内容:熱水域の構造調査
(2)中央インド洋海嶺ロドリゲスセグメント(※)(水深2,400m~6,000m)
※セグメント:海嶺が途切れずに連続している地形
実施期間:2月8日~2月23日
実施内容:
1)熱水域の構造調査
2)熱水域に生息する化学合成生物群集の調査
(3)ロドリゲス海嶺三重点周辺部(水深1,400m~5,200m)
実施期間:2月28日~3月28日
実施内容:
1)熱水域の構造調査
2)熱水域に生息する化学合成生物群集の調査
インド洋における調査では、モーリシャス海洋研究所(モーリシャス共和国)の研究員が同乗し、地球物理分野等での共同研究を実施しています。
※なお、本航海に関する研究成果については、論文等にまとまった段階で公表します。
3.今後の予定
4月10日~12日 | ケープタウン(南アフリカ)での「よこすか」「しんかい6500」特別公開 |
4月20日~5月3日 | ブラジル沖(リオグランデ海膨)の調査 |
5月6日~8日 | リオデジャネイロ(ブラジル)での「よこすか」「しんかい6500」特別公開 |
5月11日~22日 | ブラジル沖(サントス海盆)の調査 |
5月25日~27日 | サントス(ブラジル)での「よこすか」「しんかい6500」特別公開、 サンパウロ(ブラジル)でのシンポジウム等 |
6月中旬~7月上旬 | カリブ海 英領ケイマン諸島周辺の調査 |
*海況・作業状況などにより変更になる場合があります。 |
【参考】
スケーリーフット:インド洋で発見され、硫化鉄の鱗をまとう巻貝(黒スケーリーフット)として注目されているが、2009年の調査で同じインド洋で、硫化鉄をまとわない白い鱗を持つ個体(白スケーリーフット)が発見されている。