プレスリリース

2022年 2月 2日
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立研究開発法人海洋研究開発機構
深海調査研究船「かいれい」の運用停止について
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是)が運用し、様々な調査等を実施してきました深海調査研究船「かいれい」(別紙参照)は、船体および搭載装置等の老朽化のため他船への機能移転を進めておりましたが、今般、移転が終了したため、令和4年2月1日をもって運用を停止いたしましたので、お知らせいたします。
別紙
深海調査研究船「かいれい」概要
深海調査研究船「かいれい」は1997年に就航し、地球で最も深いマリアナ海溝へのアクセスが可能となる11,000m級無人探査機「かいこう」の支援母船として、また、マルチチャンネル反射法地震探査システム(MCS)を備えた深海調査研究船として、我が国の大深度深海調査と地殻構造探査の中心的存在を担い、24年間にわたり広く世界の海で活躍してきました。

深海調査研究船「かいれい」

無人探査機「かいこう」
ミッション
- 無人探査機「かいこう」の運用
- 4,000m級深海調査曳航システム「ディープ・トウ」の潜航支援
- 海底地形調査
- 地層探査
- 地球物理探査
- 海底堆積物の採取
- 海底下深部の構造探査
- 海底地震計、係留系等の設置・回収作業
主要目
全長 | 106.0m |
幅 | 16.0m |
深さ | 7.3m |
喫水 | 4.7m |
国際総トン数 | 4,517トン |
航海速力 | 約16ノット |
航続距離 | 約9,600マイル |
定員 | 60名(乗組員38名/研究者等22名) |
主推進機関 | ディーゼル機関 2,206kW×2基 |
主推進方式 | 可変ピッチプロペラ×2軸 |
主な経歴
1997年 | 竣工。 |
1997年 | 南西諸島の水深880mの海底で、「かいこう」が学童疎開船「対馬丸」船体を確認。 京浜港晴海埠頭にて特別公開(皇太子妃殿下訪船)。 |
1998年 | シップ・オブ・ザ・イヤー '97準賞を受賞。 チャレンジャー海淵(水深約10,900m)にて世界で初めて底棲生物の採取に成功。 |
1999年 | 「H-IIロケット8号機」第1次調査にて、小笠原沖水深2,900mの海底で第1段ロケットの部品を発見。 海洋調査船「かいよう」とともに南海トラフにおいて大規模かつ高密度な深部構造探査を実施。 海洋調査船「かいよう」とともに南海トラフにおいて巨大な海山を発見。 ニューギニア島北岸沖精密地球物理調査を実施。 |
2000年 | インド洋中央海嶺の水深2,450mにおいて、熱水活動と熱水噴出孔生物群集を発見。 |
2001年 | ハワイ、ホノルル沖「えひめ丸」沈没海域で遺留物回収。 |
2003年 | 室戸沖南海トラフにて「かいこう」ビークル漂流事故発生。 |
2004年 | 「かいこう7000」(最大潜航深度7,000m)運用開始。 |
2006年 | 「かいこう7000II」(最大潜航深度7,000m)運用開始。 |
2007年 | 大深度小型無人探査機「ABISMO」(最大潜航深度11,000m)実海域試験において水深9,707mの潜航に成功。 マルチチャンネル反射法探査装置(MCS)高精度化。 |
2008年 | 搭載した大深度小型無人探査機「ABISMO」が、世界初、マリアナ海溝チャレンジャー海淵の水深150mから10,258mの鉛直多点採水の実施、および最大水深10,350mの海底から海底直上水を含む約1.6mの柱状採泥に成功(海洋、海底、海底下の連続的試料採取に成功)。 |
2011年 | 東北地方太平洋沖地震の震源域にて、反射法地震探査、測深機を用いた海底地形の調査を実施。地震前後の海底地形の変化(南東から東南東方向に約50m、上部に約7m移動)の確認に成功。 |
2013年 | 2012年7月に地球深部探査船「ちきゅう」で設置した長期孔内観測 システム(高精度温度センサーアレイ)を、無人探査機「かいこう7000Ⅱ」により、水深6,897.5mの海底下より回収に成功。 南鳥島周辺の海底(水深5,600〜5,800m)から採取したコア試料から、超高濃度レアアース泥(海底下約3mで最高6,500 ppm)を発見。 |
2014年 | 「ABISMO」を用いたマリアナ海溝での調査にて、水深7,900mでの4Kカメラによる超深海映像の撮影に成功(世界初)。 |
2015年 | 無人探査機「かいこう Mk-IV」(最大潜航深度7,000m)運用開始。 |
2016年 | 拓洋第5 海山にて「かいこうMk-IV」を用いて、深度5,500m 超の海山斜面において、コバルトリッチクラストの存在を確認(世界初)。試料の採取に成功。 |
2017年 | マリアナ海溝の水深8,178mにおいて魚類の撮影に成功。魚類の世界最深映像記録を更新。 |
2018年 | 日本海溝と千島海溝に沈む直前の太平洋プレート上に、海底地震計を用いた大規模な地震波構造探査を実施(約500 kmの二つ調査側線、6 km間隔で80台設置)。巨大アウターライズ地震活動による海洋プレート構造の変質を発見。 |
- 国立研究開発法人海洋研究開発機構
- (「かいれい」について)
- 研究プラットフォーム運用開発部門 運用部 部長 江口 暢久
- (報道担当)
- 海洋科学技術戦略部 報道室