「しんかい6500」世界一周航海「QUELLE2013」カリブ海 YK13-05
レポート
カリブ海での調査終了、パナマ運河へ
2013/07/01 - 03
- 7月1日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1357回)
潜航終了後、クリストバル港(パナマ)向け回航開始 - 7月2日
- 回航
夜間、MBES広域地形調査 - 7月3日
- クリストバル港(パナマ)入港
研究者下船、清水補給
パナマ運河通行待ち
『カリブ海中部ケイマンライズの潜航調査終了』
7月1日に第1357回の潜航調査を「BEEBE VENT FIELD」にて実施。カリブ海中部ケイマンライズで最後の試料採取を行いました。
潜水船の揚収完了後、「よこすか」はクリストバル港に向けて回航を開始。
回航中に研究機材の後片付け、荒天準備(移動物、重量物の固縛)を行います。
『クリストバル港(パナマ)入港』
7月3日、クリストバル港に入港。この港はパナマ運河のカリブ海側の入口です。
パナマ運河は閘門式運河と呼ばれ、一度に通行できる船舶の数が決まっているため入口となる港では多数の船舶が順番待ちをしています。
(パナマ運河の情報はこちらを参照)
この港で研究者は下船。「よこすか」はその後、パナマ運河を通過して太平洋側の出口となるバルボア港にて燃料の補給を行い、日本へ向け回航開始。日本到着は約1か月後の8月3日を予定しています。
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7月1日 No.1357DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ BEEBE VENT FIELD
- 観察者:Danielle Morgan Smith (East Carolina University)
- 船長:佐々木 義高
- 船長補佐:鈴木 啓吾
カリブ海中部ケイマンライズでの潜航調査
2013/06/24 - 30
- 6月24日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1352回)
夜間、MBES広域地形調査 - 6月25日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1353回)
夜間、MBES広域地形調査 - 6月26日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1354回)
夜間、MBES広域地形調査 - 6月27日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1355回)
夜間、漂泊 - 6月28日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1356回)
夜間、漂泊 - 6月29日
- 整備日
- 6月30日
- 海況不良の為、潜航中止
『2ヶ所の熱水噴出域で潜航調査』
カリブ海中部ケイマンライズでは「BEEBE VENT FIELD」と「VON DAMM VENT FIELD」で潜航調査を行いました。それぞれの熱水噴出域には以下のような特徴があります。
・BEEBE VENT FIELD
こちらは第1350回潜航で衛星中継が実施された世界最深(水深5,000m)の熱水噴出域です。こちらの熱水噴出域は直径約80m、比高約50mの丘状となっており、南西側の中腹斜面に黒い煙のように見える熱水を噴出するブラックスモーカー型チムニー(煙突状の熱水噴出孔)が2ヶ所、南側基部に透明から灰色の熱水を噴出するクリアスモーカー型チムニーが1ヶ所、丘の頂上の北側から西側にかけては低温の熱水が湧き出しています。
ブラックスモーカー型チムニーは互いの距離が10m程度、チムニー根元の高低差が約5mあるのですが、チムニーの高さが約5mから8mあるため上側のチムニーで作業を行うと潮流の状況によっては下側のチムニーの黒い煙に潜水船が包まれて、視界が墨汁を流されたように真っ暗になります。
・VON DAMM VENT FIELD
こちらは水深2,500mにある熱水噴出域で直径約150m、比高約80mの小山で山頂に高さ約5mのクリアスモーカー型の大きなチムニーがあり、その周囲から中腹にかけて熱水が湧出する場所が分布しています。山頂部にある大きなチムニー基部には直径50cm程度の大きな噴出孔があり透明な熱水が大量に噴出しており、この場所での作業は視界が熱水で陽炎のように歪み距離感が掴めなくなります。
どちらの熱水噴出域もチムニーでの作業は視界が悪くパイロット泣かせですが、チムニーから噴出する熱水の脈動が地球の鼓動を、その周辺に見られる生物の多さが深海のオアシスを感じさせます。
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6月24日 No.1352DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ VON DAMM VENT FIELD
- 観察者:渡部 裕美(JAMSTEC)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:片桐 昌弥
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6月25日 No.1353DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ VON DAMM VENT FIELD
- 観察者:Diva Joan Amon (University of Southampton)
- 船長:佐々木 義高
- 船長補佐:石川 暁久
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6月26日 No.1354DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ BEEBE VENT FIELD
- 観察者:川口 慎介(JAMSTEC)
- 船長:飯嶋 一樹
- 船長補佐:大西 琢磨
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6月27日 No.1355DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ BEEBE VENT FIELD
- 観察者:柳川 勝紀(JAMSTEC)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:片桐 昌弥
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6月28日 No.1356DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ VON DAMM VENT FIELD
- 観察者:宮本 教生(JAMSTEC)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:石川 暁久
カリブ海中部ケイマンライズでの調査開始
2013/06/17 - 23
- 6月17日
- サンファン港(プエルトリコ)出港
カリブ海中部ケイマンライズ向け回航開始 - 6月18日
- カリブ海中部ケイマンライズ向け回航
船内時計を1時間後進し日本時間-14時間とした - 6月19日
- カリブ海中部ケイマンライズ向け回航
- 6月20日
- カリブ海中部ケイマンライズ到着
事前調査及びMBES広域地形調査 - 6月21日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1349回)
夜間、漂泊 - 6月22日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1350回)
夜間、MBES広域地形調査 - 6月23日
- 「しんかい6500」潜航調査(第1351回)
夜間、MBES広域地形調査
『サンファン港を出港』
6月17日、「よこすか」はプエルトリコのサンファン港を出港。次の調査海域はカリブ海中部ケイマンライズです。この海域はケイマン諸島の南側に位置していて、2009年からイギリスとアメリカによる共同研究が行われています。拡大軸の幅が約110kmと狭いのですが、タイプの異なった3つの熱水噴出の兆候が発見されており、そのうち2ヶ所で熱水噴出域が確認されています。共同研究の結果より一方は世界最深の熱水噴出域であり、噴出する熱水が超臨界温度に達している可能性がある事。他方はパナマ地峡をはさみ東太平洋と大西洋両方の海域の生物が確認されており、熱水化学合成生物の生物地理学的ギャップを埋められる可能性が示唆されています。
出港後の回航中に研究者とチーム間で、これらの情報や熱水噴出域の映像を確認し、具体的な調査方法について打合せを実施しました。
『深海からの生中継』
第1350回潜航では「しんかい6500」と母船「よこすか」を直径1mmの光ファイバーケーブルで繋ぎ、海底の映像を母船上から通信衛星経由でインターネットに配信する生中継を実施しました。
この中継は前例が無く、成功させるには大きく二つの課題がありました。
一つは通信衛星との安定した送受信を確保する事、もう一つは潜水船と母船を繋ぐ光ファイバーケーブルを、目標とする水深5000mの海底まで切らずに伸ばす方法を確立する事です。衛星通信についてはカリブ海に到着するまでの間、各寄港地で衛星との通信状況の確認や機器の調整を実施しました。光ファイバーケーブルの展開方法についても訓練潜航で同様の作業を行い、問題点の抽出、対応方法を検討し必要な対策を実施しました。また、放送前日の潜航調査で、中継に必要な全ての機器の状況について最終的な確認を行い、問題点を修正して、万全の準備を行いました。
放送当日は朝から風が強く、波とうねりも高い状況となり光ファイバーケーブルに大きな負荷がかかる事が予想され、潜水船を格納庫から出した後は何時、ケーブルが切れても不思議ではない状況だったので目標の熱水噴出域に潜水船が到着するまで、ずっとドキドキ、ヒヤヒヤでした。
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6月21日 No.1349DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ BEEBE VENT FIELD
- 観察者:Jonathan Timothy Peter Copley (University of Southampton)
- 船長:佐々木 義高
- 船長補佐:田山 雄大
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6月22日 No.1350DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ BEEBE VENT FIELD
- 観察者:高井 研(JAMSTEC)
- 船長:飯嶋 一樹
- 船長補佐:池田 瞳
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6月23日 No.1351DIVE
- 潜航海域:カリブ海中部ケイマンライズ VON DAMM VENT FIELD
- 観察者:Verity Ellen Nye (University of Southampton)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:大西 琢磨