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「しんかい6500」試験潜航航海 YK14-03 レポート

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中間検査工事終了、試験潜航へ

2014/03/19 - 03/27

潜水船整備場からトレーラーで母船「よこすか」まで陸送した後、クレーンで「しんかい6500」を吊揚げ母船に搭載します。
3月25日の伊豆・小笠原海溝海域はうねりが大きくスイマーも波を被りながら最後のガイド索を取り外します。(スイマーは通常2名ですが、新人の訓練のため3名で作業を行っています。)
試験状況の記録、確認風景(総合指令室)。
外部救難の絡み索用の四爪錨。これで「しんかい6500」の救難ブイを絡めます。
外部救難訓練で救難目標に使用する潜水船ダミートランスポンダ(写真中央のオレンジ色の筒上の物体)の投入。
【航海情報】
3月19日
横須賀港出港
「しんかい6500」沈降試験(第1377回)
試験終了後、相模湾向け回航
3月20日
「しんかい6500」試験潜航(第1378回)
3月21日
外部救難訓練
訓練終了後、駿河湾回航
3月22日
海況不良のため潜航取止め
3月23日
「しんかい6500」試験潜航(第1379回)
潜航終了後、伊豆・小笠原海溝向け回航
3月24日
海況不良のため潜航取止め
3月25日
「しんかい6500」試験潜航(第1380回)
潜航終了後、相模湾向け回航
3月26日
「しんかい6500」試験潜航(第1381回)
横須賀港向け回航開始
3月27日
横須賀港入港

『試験潜航』
昨年の12月上旬から横須賀本部の潜水船整備場で約90日間かけて実施した「しんかい6500」の中間検査工事が終了し、3月19日より試験潜航を行いました。
試験潜航の目的は、検査工事後の「しんかい6500」が、深度6,500mの海中で問題なく航行、作業できることを検証して、日本海事協会の船級承認を受けるためです。この承認を受けないと研究者を乗船させての調査潜航が行えません。
中間検査工事で整備や改修を行った機器は、陸上での作動確認や高圧水槽で作動確認を行っていますが、実際に海中での作動確認は行っていません。このため、試験潜航ではほとんど水圧の掛からない海面から段階を踏んで深度6,500mまで作動確認を行います。
初めは沈降試験、この試験は母船と「しんかい6500」を吊揚げ索で繋いだ状態で行います。海面でベント弁を開とし、「しんかい6500」を深度5m程度まで潜らせ各機器の作動確認を行います。この試験で全ての機器に異常がなければ、実海域での試験潜航を行います。
試験潜航は、深度1,000m、3,000m、6,500mの海域で実施します。今年は1,000m海域を相模湾、3,000m海域を駿河湾、最終確認の6,500m海域を伊豆・小笠原海溝に設定し、全ての潜航で問題なく機器が作動することを検証しました。この結果を日本海事協会に報告し、船級の承認を得ることができたので、4月から計画されている今年度の調査潜航を行うことが可能となりました。

『外部救難訓練』
この航海では、「しんかい6500」の潜航には適さない海況の日に外部救難訓練を行いました。「しんかい6500」が自力で浮上できない場合には、船体の上部に収納されている救難ブイを放出します。この救難ブイは「しんかい6500」とロープで繋がれていて、船体から約50mの高さに浮かぶ仕組みになっています。外部救難とは、この救難ブイを母船「よこすか」に装備されている救難用ワイヤーで絡め取り、引き揚げる方法です。救難作業は各部署の連携と救難装置の操作経験が必要なため、救難ブイに見立てた潜水船ダミートランスポンダを実際の外部救難装置を使って揚収する訓練を、基本的には年に1回行っています。

    3月19日 No.1377DIVE
  • 潜航海域:横須賀港第4区
  • 観察者:門谷 昌彦(三菱重工業株式会社)
  • 船長:佐々木 義高
  • 船長補佐:片桐 昌弥
    3月20日 No.1378DIVE
  • 潜航海域:相模湾初島南東沖
  • 観察者:鈴木 啓吾(日本海洋事業株式会社)
  • 船長:飯嶋 一樹
  • 船長補佐:田山 雄大
    3月23日 No.1379DIVE
  • 潜航海域:南海トラフ北縁部
  • 観察者:石川 暁久(日本海洋事業株式会社)
  • 船長:松本 恵太
  • 船長補佐:大西 琢磨
    3月25日 No.1380DIVE
  • 潜航海域:伊豆・小笠原海溝
  • 観察者:植木 光弘(日本海洋事業株式会社)
  • 船長:大西 琢磨
  • 船長補佐:片桐 昌弥
    3月26日 No.1381DIVE
  • 潜航海域:相模湾初島南東沖
  • 観察者:鈴木 啓吾(日本海洋事業株式会社)
  • 船長:佐々木 義高
  • 船長補佐:齊藤 文誉