「しんかい6500」研究航海 YK14-05 レポート
北西太平洋の調査へ出発
2014/04/10 - 04/24
【航海情報】
『プチスポット火山の調査』
4月10日より今年度最初の調査潜航が開始されました。目的地は北西太平洋、福島県相馬沖約200海里にある日本海溝の海側斜面です。この付近にある望星海山、凌風海山の周りには「プチスポット火山」と呼ばれる、直径が数十メートルから数百メートルの小型火山が多数存在します。このような火山はチリ海溝沖、米国中西部(陸上)、グリーンランド南方海域、コスタリカ付加体など世界中で発見されていますが、マグマの上昇機構に関しては、はっきりしたことは分かっていません。日本周辺では今回の調査海域と日本海溝軸部で存在が確認されています。
今回はのべ9回の潜航を行い、8回の潜航で10個のプチスポット火山の調査を行いました。海底では火山から流れた溶岩の方向や形状を観察しながら航走し、試料採取に適した場所を探して岩石を多数採取しました。船上での簡単な解析で調査を行ったプチスポット火山が新しい年代か古い年代かは確認できました。今後は、この岩石試料を解析して、プチスポット火山の火山活動の時期やできる仕組みを研究します。
『暖流と寒流の境目』
調査海域付近では、日本列島に沿って流れる黒潮(暖流)が東へ流れを変えていて、北からの親潮(寒流)と接しています。潜航地点が黒潮側の場合には海水温は14度前後ですが、親潮側になると海水温度が5度前後と非常に冷たくなります。この潮流の境界線は毎日場所が移動し、複雑に入り組んでいるので水温は現場に行ってみないと分かりません。「しんかい6500」のオペレーションでは、母船と潜水船を繋ぐ吊揚げ索の着脱作業をするためにスイマーが作業艇から泳いで潜水船の上に乗り移る必要があります。ですから当日の海水温度によっては作業に向かない場合があるので、予め幾つか潜航場所を決めておき、その時の状況で安全に作業が行える場所で潜航を行いました。
余談ですが、この暖流と寒流の境目は生物が多く、「しんかい6500」の潜航中に追尾するため速度を落としている母船「よこすか」の周りでは、頻繁にクジラやイルカ、オットセイを目撃することができて乗船者の楽しみとなっていました。
- 4月10日
- 横須賀港出港 北西太平洋向け回航
- 4月11日
- 北西太平洋調査海域到着 事前調査
- 4月12日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1385回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査 - 4月13日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1386回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査 - 4月14日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1387回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査 - 4月15日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1388回)
夜間、MBES広域地形調査 - 4月16日
- 海況不良の為、潜航中止 MBES広域地形調査
- 4月17日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1389回)
夜間、MBES広域地形調査 - 4月18日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1390回)
夜間、MBES広域地形調査 - 4月19日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1391回)
夜間、MBES広域地形調査 - 4月20日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1392回)
夜間、MBES広域地形調査 - 4月21日
- 「しんかい6500」調査潜航(第1393回)
揚収完了後、荒天避泊のため東京湾向け回航 - 4月22日
- 横須賀港外着、荒天避泊
- 4月23日
- 荒天避泊
- 4月24日
- 入港
『プチスポット火山の調査』
4月10日より今年度最初の調査潜航が開始されました。目的地は北西太平洋、福島県相馬沖約200海里にある日本海溝の海側斜面です。この付近にある望星海山、凌風海山の周りには「プチスポット火山」と呼ばれる、直径が数十メートルから数百メートルの小型火山が多数存在します。このような火山はチリ海溝沖、米国中西部(陸上)、グリーンランド南方海域、コスタリカ付加体など世界中で発見されていますが、マグマの上昇機構に関しては、はっきりしたことは分かっていません。日本周辺では今回の調査海域と日本海溝軸部で存在が確認されています。
今回はのべ9回の潜航を行い、8回の潜航で10個のプチスポット火山の調査を行いました。海底では火山から流れた溶岩の方向や形状を観察しながら航走し、試料採取に適した場所を探して岩石を多数採取しました。船上での簡単な解析で調査を行ったプチスポット火山が新しい年代か古い年代かは確認できました。今後は、この岩石試料を解析して、プチスポット火山の火山活動の時期やできる仕組みを研究します。
『暖流と寒流の境目』
調査海域付近では、日本列島に沿って流れる黒潮(暖流)が東へ流れを変えていて、北からの親潮(寒流)と接しています。潜航地点が黒潮側の場合には海水温は14度前後ですが、親潮側になると海水温度が5度前後と非常に冷たくなります。この潮流の境界線は毎日場所が移動し、複雑に入り組んでいるので水温は現場に行ってみないと分かりません。「しんかい6500」のオペレーションでは、母船と潜水船を繋ぐ吊揚げ索の着脱作業をするためにスイマーが作業艇から泳いで潜水船の上に乗り移る必要があります。ですから当日の海水温度によっては作業に向かない場合があるので、予め幾つか潜航場所を決めておき、その時の状況で安全に作業が行える場所で潜航を行いました。
余談ですが、この暖流と寒流の境目は生物が多く、「しんかい6500」の潜航中に追尾するため速度を落としている母船「よこすか」の周りでは、頻繁にクジラやイルカ、オットセイを目撃することができて乗船者の楽しみとなっていました。
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4月12日 No.1385DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 望星海山北方
- 観察者:石井 輝秋(深田地質研究所)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:田山 雄大
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4月13日 No.1386DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 望星海山北東方
- 観察者:町田 嗣樹(早稲田大学)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:小椋 徹也
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4月14日 No.1387DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 凌風海山西方
- 観察者:山本 順司(北海道大学)
- 船長:飯嶋 一樹
- 船長補佐:齊藤 文誉
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4月15日 No.1388DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 凌風海山西方
- 観察者:平野 直人(東北大学)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:片桐 昌弥
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4月17日 No.1389DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 凌風海山西方
- 観察者:石井 輝秋(深田地質研究所)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:鈴木 啓吾
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4月18日 No.1390DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 凌風海山西方
- 観察者:町田 嗣樹(早稲田大学)
- 船長:飯嶋 一樹
- 船長補佐:片桐 昌弥
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4月19日 No.1391DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 望星海山北東方
- 観察者:山本 順司(北海道大学)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:小椋 徹也
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4月20日 No.1392DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 望星海山北東方
- 観察者:平野 直人(東北大学)
- 船長:佐々木 義高
- 船長補佐:田山 雄大
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4月21日 No.1393DIVE
- 潜航海域:北西太平洋 凌風海山西方
- 観察者:山本 順司(北海道大学)
- 船長:齊藤 文誉
- 船長補佐:鈴木 啓吾