「しんかい6500」試験潜航 YK15-18 Leg1 レポート
試験・訓練潜航に出港
2015/11/17 - 11/25
【航海情報】
『今年の試験潜航は・・・』
8月から中間検査工事をおこなってきた「しんかい6500」ですが、11月11日に陸上での総合作動試験を終えて11月17日より試験・訓練航海に出港しました。試験・訓練航海は「しんかい6500」の健全性の確認とパイロットや母船乗組員の慣熟訓練が主たる目的ですが、今回は「しんかい6500」の中間検査中に平行して整備がおこなわれてきた、深海巡航探査機「うらしま」と深海曳航調査システム「よこすかディープ・トウ」(以下、「YKDT」)の試験潜航もおこないます。
今年は11月17日にJAMSTEC横須賀本部の専用桟橋から出港した後、横須賀港第4区で沈降試験をおこないました。この試験では母船「よこすか」の船尾に装備されているAフレームクレーンで吊揚げ索をつけたまま、「しんかい6500」を海中に沈め、各機能や健全性の確認を行い、実海域で潜航ができることを確認しました。
沈降試験終了後、「よこすか」は試験海域のある駿河湾へ回航を開始しました。通常の試験潜航は潜航深度を1,000m、3,000m、6,500mと海域を替えて「しんかい6500」の機能性能や健全性を確認しながら実施します。しかし、今年は試験海域の気象・海象が航海期間中は潜航するには厳しい予報となっていていました。このため、1回目の試験潜航で深度1,000mと3,000mの試験をまとめておこない、残りの期間は深度6,500m海域の海況の状況を見ながら潜航できる海域で試験潜航をおこなう計画としました。
11月18日、天候・海況が悪化する前に、1回目の試験潜航を駿河湾の南側でおこない、深度1,000m深度3,000mまでの機能性能、健全性に問題が無いことを確認しました。
この後、航海が終了するまで、深度6,500mの試験海域がある八丈島東側の伊豆・小笠原海溝では海況の回復見込めないことと、中間検査工事後の試験項目には、最大潜航深度での機能性能と健全性の確認が必須項目ではないため、今年は深度6,500mでの試験潜航は断念し、比較的海況が安定していた駿河湾内にて「しんかい6500」の機器調整のために11月22日から24日まで3回の試験潜航を行い、試験潜航を終了しました。
『次の「しんかい6500」の改造に向けて』
今回の試験潜航では、中間検査工事後の確認項目以外にも来年、平成28年度の定期検査工事(中間検査工事より期間が長く、より詳細な検査・整備工事)で「しんかい6500」に搭載される新しい機器について、実際に船体に装備し、いろいろなデータ収集や機器の調整もおこないました。
その一部を紹介すると、耐圧殻内の計器盤に組込まれた潜水船の機器のさまざまな情報を表示している総合情報表示装置をパイロットが操船しながら手元で情報の確認ができるようにするタブレット型遠隔表示装置の通信確認と調整や、潜航中に精度の高い海底地形データを習得するため、「うらしま」に搭載されているマルチビーム測深器と同型の機器を搭載して、海底反射の受信状況の確認や搭載、運用時の問題点の抽出をおこないました。今回、取得されたデータを解析して、新しく搭載する機器の不具合などを改良して来年度の定期検査工事で「しんかい6500」にスムーズに取り付けるように準備します。
- 11月17日
- JAMSTEC横須賀本部、出港
「しんかい6500」沈降試験(第1439回) - 11月18日
- XBT計測、事前調査
「しんかい6500」試験潜航(第1440回) - 11月19日
- 事前調査、「YKDT」曳航試験(第173回)
夜間、海域移動 - 11月20日
- 整備日、海域移動
- 11月21日
- 海況悪化のため、潜航中止
- 11月22日
- 事前調査、「しんかい6500」試験潜航(第1441回)
夜間、漂泊 - 11月23日
- 「しんかい6500」試験潜航(第1442回)
夜間、漂泊 - 11月24日
- 「しんかい6500」試験潜航(第1443回)
- 11月25日
- 清水港、入港
『今年の試験潜航は・・・』
8月から中間検査工事をおこなってきた「しんかい6500」ですが、11月11日に陸上での総合作動試験を終えて11月17日より試験・訓練航海に出港しました。試験・訓練航海は「しんかい6500」の健全性の確認とパイロットや母船乗組員の慣熟訓練が主たる目的ですが、今回は「しんかい6500」の中間検査中に平行して整備がおこなわれてきた、深海巡航探査機「うらしま」と深海曳航調査システム「よこすかディープ・トウ」(以下、「YKDT」)の試験潜航もおこないます。
今年は11月17日にJAMSTEC横須賀本部の専用桟橋から出港した後、横須賀港第4区で沈降試験をおこないました。この試験では母船「よこすか」の船尾に装備されているAフレームクレーンで吊揚げ索をつけたまま、「しんかい6500」を海中に沈め、各機能や健全性の確認を行い、実海域で潜航ができることを確認しました。
沈降試験終了後、「よこすか」は試験海域のある駿河湾へ回航を開始しました。通常の試験潜航は潜航深度を1,000m、3,000m、6,500mと海域を替えて「しんかい6500」の機能性能や健全性を確認しながら実施します。しかし、今年は試験海域の気象・海象が航海期間中は潜航するには厳しい予報となっていていました。このため、1回目の試験潜航で深度1,000mと3,000mの試験をまとめておこない、残りの期間は深度6,500m海域の海況の状況を見ながら潜航できる海域で試験潜航をおこなう計画としました。
11月18日、天候・海況が悪化する前に、1回目の試験潜航を駿河湾の南側でおこない、深度1,000m深度3,000mまでの機能性能、健全性に問題が無いことを確認しました。
この後、航海が終了するまで、深度6,500mの試験海域がある八丈島東側の伊豆・小笠原海溝では海況の回復見込めないことと、中間検査工事後の試験項目には、最大潜航深度での機能性能と健全性の確認が必須項目ではないため、今年は深度6,500mでの試験潜航は断念し、比較的海況が安定していた駿河湾内にて「しんかい6500」の機器調整のために11月22日から24日まで3回の試験潜航を行い、試験潜航を終了しました。
『次の「しんかい6500」の改造に向けて』
今回の試験潜航では、中間検査工事後の確認項目以外にも来年、平成28年度の定期検査工事(中間検査工事より期間が長く、より詳細な検査・整備工事)で「しんかい6500」に搭載される新しい機器について、実際に船体に装備し、いろいろなデータ収集や機器の調整もおこないました。
その一部を紹介すると、耐圧殻内の計器盤に組込まれた潜水船の機器のさまざまな情報を表示している総合情報表示装置をパイロットが操船しながら手元で情報の確認ができるようにするタブレット型遠隔表示装置の通信確認と調整や、潜航中に精度の高い海底地形データを習得するため、「うらしま」に搭載されているマルチビーム測深器と同型の機器を搭載して、海底反射の受信状況の確認や搭載、運用時の問題点の抽出をおこないました。今回、取得されたデータを解析して、新しく搭載する機器の不具合などを改良して来年度の定期検査工事で「しんかい6500」にスムーズに取り付けるように準備します。
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11月17日 No.1439DIVE
- 潜航海域:横須賀港 第4区
- 観察者:荒木 英二(三菱重工業株式会社)
- 船長:小椋 徹也
- 船長補佐:田山 雄大
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11月18日 No.1440DIVE
- 潜航海域:南海トラフ北縁部
- 観察者:佐々木 義高(日本海洋事業株式会社)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:鈴木 啓吾
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11月22日 No.1441DIVE
- 潜航海域:駿河湾 土肥沖
- 観察者:大西 琢磨(日本海洋事業株式会社)
- 船長:植木 博文
- 船長補佐:田山 雄大
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11月23日 No.1442DIVE
- 潜航海域:駿河湾 土肥沖
- 観察者:南野 直人(日本海洋事業株式会社)
- 船長:齋藤 文誉
- 船長補佐:石川 暁久
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11月24日 No.1443DIVE
- 潜航海域:駿河湾 土肥沖
- 観察者:鈴木 啓吾(日本海洋事業株式会社)
- 船長:大西 琢磨
- 船長補佐:田山 雄大
佐々木 義高(運航チーム副司令)