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地球深部探査船「ちきゅう」

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「ちきゅう」とは

地球深部探査船「ちきゅう」概要

地球深部探査船「ちきゅう」は、海底下をより深く掘削するため、ライザー掘削技術を初めて科学研究用に導入した科学掘削船です。その船体には、深い水深の海底下を地球の深部まで掘り進むことができる、大水深・大深度掘削のための設備を備えており、現在、陸上掘削を含めても、マントルの直接掘削と試料採取を実現する可能性がもっとも高い研究設備とも言えます。

国際深海科学掘削計画(IODP)の主力船として、人類が未だ達成できていない世界第一級の科学命題に挑戦し、地球の過去・現在・未来の姿を描くこと、そしてそこから人類の歩むべき指針を科学的に提示することに貢献しています。

巨大地震の謎を解く

巨大地震の謎を解く

私たちがずっと安全に暮らせる社会をつくることは、とても重要な課題です。その中でも、自然の脅威である巨大地震の発生に対して、そのメカニズムを解明し、どのように対応して行くのかは、「ちきゅう」に与えられた最大の課題の一つです。

1944年に甚大な被害をもたらした東南海地震震源域である紀伊半島沖の南海トラフでは、約90 - 150年の間隔で巨大地震が繰り返し発生しています。「ちきゅう」は、その南海トラフにおいて継続的に掘削を行っており、掘削最深部は海底下約3,000 mにまで達し、科学掘削としては世界最深記録を樹立しました。また2011年東北地方太平洋沖地震調査掘削では、水深約6,900 mのところから海底下約850 mまで掘削し(世界最長のドリルパイプ長記録)、プレート境界断層(地震断層)試料の採取と孔内計測(温度、圧力)に成功しました。

これら両海域での科学掘削の結果、これまで地震を起こさないと考えられていたプレート沈み込み帯先端部が、実は地震性高速滑りを起こすこと、またそのメカニズムが明らかにされました。これらの科学掘削を支えたのは、大水深・大深度掘削技術と、高潮流下でのライザー掘削技術の確立であり、このような過酷な環境での掘削技術として、世界最高レベルの技術開発を成し遂げ続けています。

生命の謎を探る

生命の謎を探る

高温・高圧・無酸素の原始地球で、最初の生命が誕生しました。今の地球でも、地下奥深くには原始地球に類似した環境が残っており、熱水噴出域などは絶好の研究ターゲットです。また海底下に石炭(褐炭)層が存在するような海域の海底下では、肥沃な炭素の存在が生命(微生物)のパラダイスを作っていることが明らかになりました。

それらの微生物群集は陸域や海洋などの地球表層生命圏の構成種とは系統学的に離れていることがわかってきています。また、その遺伝子情報の大部分は、既知のデータベースに登録された情報とは異なる、未知の遺伝子から構成されています。

これらの研究では、特に試料採取法として、新たに現場圧力を保持した試料回収装置を開発するなど、その運用によって研究分野の発展がもたらされてきました。私たちの生活時間に比べれば、非常にゆっくりした生活をしながら育まれている海底下の生命の存在を明らかにし、その利用も視野に入れた研究の展開が期待されています。

マントルまで掘る

マントルまで掘る

マントル掘削は、海洋地殻を貫通してマントルに到達する前人未踏の計画であり、「ちきゅう」建造の大きな目的の一つでもあります。

大陸の移動や大規模な火山活動により、地球は誕生以来その姿を変え続けています。その原動力は固体でありながら流動する不思議な物質「マントル」だと言われ、マントルを調べることで、地球の中で起こっていることが地上にどう影響するのかを解明することができます。

提案されてから半世紀以上経っても未だ実現していないマントル掘削は、その科学的な目的も変化をとげ、最近ではマントルの捉えられ方や、その重要性の認識も大きく変化してきました。
これまでの掘削科学を含めた海洋底研究によって、地球表層を覆うプレートは、全てが同じではなく、場所によってプレートの構造と構成物質は異なっていると考えられるようになりましたが、地球規模での挙動や役割の重要性などはまだほとんどわかっていません。環境問題や生命の問題と密接な関わりがあるとも考えられています。

「ちきゅう」は、そのマントルへと到達する能力を有しており、マントルを直接掘削して試料を採取し、海洋プレートの本質を明らかにすることを目標としています。しかし、実際にマントルを直接掘削するには、温度250度にも達する海底下7,000メートルを安定的に掘り抜くための、大深度掘削技術の確立という課題も残されています。この大深度掘削技術の確立は、大変チャレンジングな課題ですが、見方を変えれば、我が国に新しいテクノロジーの創出を引き起こす多いなる可能性を秘めているとも言えます。

地球の歴史を探る

地球の歴史を探る

「ちきゅう」によって掘削された古い地層の地質試料(コア)は、過去の地球規模の環境変動を記録している貴重なレコーダーです。

例えば、「ちきゅう」の掘削により採取したコアから、過去の地震の痕跡を発見しました。これにより、巨大地震が起こる間隔の予測などに役立つと期待されています。

これまでに「ちきゅう」で採取したコアは1,000本以上、コア回収総長は数kmに及びます。海底より採取したコアには、海水面の変動や気温・水温の変動、地磁気の変化などが記録されており、それを分析することで、地球の歴史を解明しつつ、さらには未来の地球の姿を予測する手がかりを探ります。

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