JAMSTEC

地球深部探査船「ちきゅう」

JAMSTEC
CDEXCDEX
日本語
English
menu
HOME > 広報活動 > 体験学習 > Sand for Students > 実習レポート・砂データ > 第14回野外授業 神奈川

第14回野外授業 神奈川

第14回となるSand for Students(略してS4S)野外実習@相模川を開催しました。今回参加してくれたのは、神奈川県立相模原青陵高等学校生徒の皆さんです。野外授業の様子をフォトレポートでお送りします。

授業概要

開催日
2010年 8月 6日、7日
試料採取場所
相模川河川敷(神奈川県相模原市)
参加者
神奈川県立相模原青陵高等学校
主催
神奈川県立相模原青陵高等学校
(本実習はサイエンス・パートナーシップ・プログラム「SORAからCHIKYUへ~相模原の地質から統合国際深海掘削計画(IODP)へ~」の一環として行ないました。)
協力
海洋研究開発機構
科学技術振興機構
相模原市立博物館
神奈川県立生命の星・地球博物館
担当教員
小尾 靖(神奈川県立相武台高等学校)
飯島 俊幸(神奈川県立生命の星・地球博物館)
原田 浩子(神奈川県立相模原青陵高等学校)
河尻 清和(相模原市博物館)
南里 翔平(首都大学東京 都市環境学部 地理環境コース)
CDEX担当者
小俣 珠乃

レポート

野外実習(神奈川県相模原市 相模川自然の村公園付近左岸)

相模川河川敷にやってきました

観察場所である相模川河川敷にやってきました。まずは調査地点を確認し、その後、河川の石がどのようにできているのか考えます。河川敷の岩石は上流の地層から削られ、川の流れによって運ばれてここまできました。つまり、河川敷の岩石は川の上流にどのような地層が分布しているのかを知る情報源です。そのような視線で岩石をじっくり観察していきます。

河川敷の岩石同士はどのように違うのか見ていきます

河川敷の岩石同士はどのように違うのか見ていきます。岩石を構成する粒子の大きさや色が違っているのが分かります。そのような特徴を見ながら、堆積岩、火山岩、変成岩と分けていきます。

参加生徒が川原の岩石図鑑を作成

岩石の見方になれた所で、今度は参加生徒が川原の岩石図鑑を作成します。

岩石を種類ごとに紙に貼付けて、色、構成粒子についての観察結果を記録

河川敷に見られる岩石を種類ごとに紙に貼付けて、色、構成粒子についての観察結果を記録し、岩石の観察方法を学びました。

岩石に水を撒き、ぬれた岩石の色の確認

小尾先生が岩石に水を撒き、ぬれた岩石の色の確認を行います。乾いた岩石の表面だけで見るのではなく、岩石をぬらしたり、割って新鮮な面を観察したりすることで、似たような岩石の違いが明瞭になることがあるのです。

だいぶ図鑑に乗せる岩石が増えました

参加生徒達も新しい種類の岩石を見つけるのに夢中になりながら午前中が終わりました。だいぶ図鑑に乗せる岩石が増えました。

鉱物の種類や密度の違いについて講義を行い、椀掛け方法を伝授

午後は、砂の観察を始めます。飯島先生が鉱物の種類や密度の違いについて講義を行い、椀掛け方法を伝授します。

終了の合図がかかってもしばらく椀掛けを続けました

さて、参加生徒達も早速挑戦します。密度の重たい砂は河川敷のどのあたりで採取するのが良いのか、そんなことも考えながら作業を行います。皆、椀掛けに夢中になり、終了の合図がかかってもしばらく椀掛けを続けました。

記念撮影

椀掛け終了して、記念撮影を行いました。実習はまだまだつづきます。

相模原市立田名向原遺跡によりました

さて、次に、相模原市立田名向原遺跡によりました。相模原市の歴史について学びつつ、ここで、今日採取した砂の中でも特徴のある磁鉄鉱やかんらん石の観察を行いました。

相模原の段丘を構成する地層の複製が、実際の段丘面の高さに合わせて展示されています

ここの遺跡には、相模原の段丘を構成する地層の複製が、実際の段丘面の高さに合わせて展示されています。地層の中には礫が含まれた地層があり、元々は河川敷であった場所だと考えられています。

現在流れている相模川に比べてかなり高台にあるのですが、実は、約1万5千年前にはこの高さの場所に相模川が流れており、礫層は相模川が流れていた証拠です

現在流れている相模川に比べてかなり高台にあるのですが、実は、約1万5千年前にはこの高さの場所に相模川が流れており、礫層は相模川が流れていた証拠です。

さらに近くの当麻山に来ました

さらに近くの当麻山に来ました。ここも、木の枝が横になっているあたりに礫層があり、かつてこんな高台が相模川の河川敷であったことを示す証拠になっています。現在の相模川の様子からは想像もつかない場所に見られる、かつての河川敷の場所を見て、自然の力をあらためて感じたのでした。 本日の野外実習はこれで終わりです。皆、良くがんばりました。

2日目 野内実習

1日目野外実習の内容について復習します

2日目は、まず1日目野外実習の内容について復習します。 河川敷で見られた岩石は、堆積岩、火成岩、変成岩と大きく3種類にわけられ、さらに細かい分類にわけられます。それぞれ名前の異なる岩石は、でき方が違うということについても学びます。

砂試料を入れたビニール袋から取り出し、ふるいがけしてシャーレに入れて乾燥させます

さて、いよいよ昨日採取した砂試料の観察を行います。まずは砂試料を入れたビニール袋から取り出し、ふるいがけしてシャーレに入れて乾燥させます。ビニール袋から砂試料を取り出すのもなれないうちは時間がかかります。密度の高い鉱物がビニールに残りやすいので、ビニール袋内の砂試料全てを丁寧に出します。

椀掛けしないそのままの砂試料を実体顕微鏡で見てみます

まずは椀掛けしないそのままの砂試料を実体顕微鏡で見てみます。

石英、長石類や雲母(ウンモ)、岩片などがたくさん見えました

無色鉱物と言われる石英、長石類や雲母(ウンモ)、岩片などがたくさん見えました。それぞれの種類を見分けてスケッチします。

皆よく集中して観察を行います。

皆よく集中して観察を行います。

竹串を使ってそれぞれの鉱物を分けて、先生に確認を求めます

竹串を使ってそれぞれの鉱物を分けて、先生に確認を求めます。この作業は午前の半ばから休憩を入れながら3時間以上続きました。最後には皆疲れてきましたが、とても良く集中していました。

地球の歴史、プレートテクトニクスの話を聞きながら、最後に皆が採取した岩石がどのようにしてできたのか、学びました

地球の歴史、プレートテクトニクスの話を聞きながら、最後に皆が採取した岩石がどのようにしてできたのか、学びました。自分たちの近くにあるなにげない川原の石や砂を見る目が変わったのではないでしょうか?

講師コメント

始めはおとなしい生徒達も時間が経過するにつれて、活発になりました。野外実習時はとにかく熱かったですが、その中で元気に岩石を探し砂の椀掛けに夢中になる生徒達の体力に、日本の若者力を感じました。

ページのトップへ戻る