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第19回野外授業 青森

2012年8月1日、2日に、第19回となるSand for Students(略してS4S)野外実習@新井田川を開催しました。今回参加してくれたのは、青森県立八戸北高校地学部の皆さん。実習の様子をフォトレポートでお送りします。

授業概要

開催日
2012年 8月 1日、2日
試料採取場所
新井田川(青森県)
実施校
青森県立八戸北高校
担当教員
岩岡 洋
CDEX担当者
小俣 珠乃

レポート

1日目:野外実習

本日の授業は八戸キャニオンの巡検から開始です

本日の授業は八戸キャニオンの巡検から開始です。八戸キャニオンとは、露天掘りの石灰岩鉱山で、見学用の展望台が設置されています。海抜ゼロメートルより深く掘られている場所も示されています。路頭が大きすぎて、ブルドーザーがおもちゃのように小さく見えました。

八戸キャニオンについて岩岡先生が説明

八戸キャニオンについて岩岡先生が説明しました。八戸キャニオンは中生代にできた石灰岩の鉱山で、岩石中の化石から、いつごろ、どんな場所で岩石ができたのかわかりました。

この八戸キャニオンもはるか昔には熱帯のサンゴ礁でした

石灰岩に入っていた、メガロドンと呼ばれる化石は、熱帯の海にあるサンゴ礁付近に生息していたと考えられています。 つまり、この八戸キャニオンもはるか昔には熱帯のサンゴ礁でした。付近には石灰岩の岩石が転がっています。

移動の途中で途中でスレートへき開の発達した泥岩路頭が見られました

八戸キャニオンを後にして、実習場所である新井田川へ向かいます。
移動の途中で途中でスレートへき開の発達した泥岩路頭が見られました。

新井田川に到着しました

新井田川に到着しました。この日は、気温30度を超えて、ふだんは涼しい八戸でも大変に蒸し暑くなりました。 河原にはたくさんの石が転がっています。これらの石は、元々、川の上流の地層が崩れ落ちて、川の水によって運ばれてきました。では、上流の地層を推測するために、どんな岩石があるのか、河川敷の岩石を観察してみましょう。さっそく、河川敷の岩石を観察しながら、違った種類の岩石を集めています。

河川敷の岩石を観察しながら、違った種類の岩石を集めています

河原にはたくさんの石が転がっています。これらの石は、元々、川の上流の地層が崩れ落ちて、川の水によって運ばれてきました。では、上流の地層を推測するために、どんな岩石があるのか、河川敷の岩石を観察してみましょう。さっそく、河川敷の岩石を観察しながら、違った種類の岩石を集めています。

一通りの岩石を集めた所で答え合わせを行います。

一通りの岩石を集めた所で答え合わせを行います。

重鉱物を集めるために碗かけを行いました

今度は新井田川はどのような砂を上流から運んでいるかを調べるために、砂の採取を行います。碗かけをしない砂を採取し、今度は重鉱物を集めるために碗かけを行いました。

学校到着時に集合写真を撮影

碗かけを終えて学校に戻ります。学校到着時に集合写真を撮影しました。 1日目の授業は終了です。

2日目:屋内実習

学校の地学実験室で実習

2日目は学校の地学実験室で実習を行います。まず、前日に集めた砂サンプルを乾燥させてから、顕微鏡で観察を行います。

スマートフォンのカメラ機能を利用して顕微鏡で観察している砂の写真を撮影します

スマートフォンのカメラ機能を利用して顕微鏡で観察している砂の写真を撮影します。

石英、角閃石、斜長輝石などが見られました

撮影すると写真のように鉱物を観察することができます。石英、角閃石、斜長輝石などが見られました。

観察結果をメモに記入

砂サンプルに含まれる鉱物を観察し、鉱物の色、形、大きさ、劈開の様子など、観察結果をメモに記入していきます。

JAMSTEC高知コア研究所に保管されている深海のコア(地層)試料の観察を行います

今度はJAMSTEC高知コア研究所に保管されている深海のコア(地層)試料の観察を行います。砂は場所によって全く特徴が異なります。新井田川など始め陸上に見られる砂と深海の砂の違いを学びます。

まずはコアを肉眼で観察

まずはコアを肉眼で観察します。地層の下から上に向かって、地層が堆積した(積もった)時代が新しくなっていくので、地層の下部から上部にかけて、色や粒子の変化を観察していきます。

今度は深海の砂の観察を行います

今度は深海の砂の観察を行います。深海の砂は有孔虫などを含み、鉱物が主に観察された川の砂との違いがよくわかります。

後先生が調査団として参加した、9月の台風に伴う洪水、土砂崩れの被害が出た那智勝浦の様子について、説明がありました

観察を一通り終えから、八戸周辺の地層とプレートの沈み込みの関係についてまとめました。 東北地方の地層は、東側の北上山地を構成する中生代の地層と西側の火山地帯などを構成する新生代の地層に大きく分かれます。新井田川は北上山地を流れ、中生代の地層からできた砂を含みやすいことが特徴です。 その後、八戸沖で「ちきゅう」が行った掘削研究についても学びました。

実習後

八戸北高校では継続的に研究を行っており、高校総合文化祭などでも発表を行っています。青森県は地学の題材に恵まれているので、これから自然の観察を行い、知識を深めていってくれれば、講師としてはこの上ない喜びです。

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