JAMSTEC

地球深部探査船「ちきゅう」

JAMSTEC
CDEXCDEX
日本語
English
menu
HOME > 広報活動 > 体験学習 > Sand for Students > 実習レポート・砂データ > 第4回野外授業 和歌山

第4回野外授業 和歌山

2007年9月23日に、第4回となるSand for Students(略してS4S)野外実習@紀ノ川・有田川を開催しました。今回参加してくれたのは、大阪府立岸和田高校と和歌山県海南高校の皆さん。野外授業の様子をフォトレポートでお送りします。

授業概要

開催日
2007年 9月 23日
試料採取場所
有田川河川敷(保田大橋左岸下流側・和歌山県有田市辻堂地区)
紀ノ川河川敷(竹房橋右岸下流側・和歌山県紀ノ川市窪地区)
実施校
大阪府立岸和田高等学校
和歌山県立海南高等学校
主催
海洋研究開発機構(JAMSTEC)
統合国際深海掘削計画(IODP)
後援
文部科学省
講師・スタッフ
宮下敦(成蹊高校教諭)
鹿園直建(慶應義塾大学理工学部教授)
眞砂英樹(海洋研究開発機構)
五十嵐智秋(海洋研究開発機構)

レポート

野外実習

岸和田高校は岸和田城の目の前に位置する歴史ある学校

岸和田高校は、なんと岸和田城の目の前に位置する歴史ある学校。まずは記念にシャッターを切りました。

天体部に所属している皆さんが参加

岸和田高校からは、天体部に所属しているという皆さんが参加。今日は「地球」という星の探検です。

バスは海南高校に到着

続いて、バスは海南高校に到着。スーパーサイエンスハイスクールにも指定された理科教育にも熱心な高校です。今回は「地学」の野外授業に参加です。

地質図の読み方 普通の地図とは違い、見慣れない区分と色分けで、はじめは意味が全然わからない

第1調査ポイントの有田川(和歌山県有田市保田大橋付近)に到着しました。

山肌にミカン畑が広がる静かな河川敷。有田川は、高野山を源流とした全長67.2 kmの川です。名前の起源は「荒れた川」から来ていると言われており、荒地を流れる川筋は常に流れを変え、平安末期頃から現在のようになったと言われています。

石を実際に手に触れながら学んでいます

地学の授業を受けるのは初めてという生徒さんばかり。川原の「石ころ」にも、堆積岩・火成岩・変成岩といったさまざまな成因の物があることを、実際に手に触れながら学んでいます。

特別講師として、慶応大学理工学部の鹿園直建教授も参加していただきました

今回、特別講師として、慶応大学理工学部の鹿園直建教授も参加していただきました。砂は岩石が物理的・化学的な風化を繰り返し、砕かれて河川などによって運ばれます。砂から見える地球化学の世界もご紹介いただきました。

河川敷で椀かけをしてみます

さあ、いよいよ砂の観察です。河川敷から砂の取れる場所を探して、椀かけをしてみます。密度の大きい鉱物(重鉱物)を濃集させる手法です。

初めはみんな、おそるおそる椀を回しています

砂が全部お椀から流れてしまわないか、初めはみんな、おそるおそる椀を回しています。

時間を忘れて椀かけをしています

当日は、天候がとても良く、汗をかきながら、(そして熱中症に気をつけながら)時間を忘れて椀かけをしています。

紀ノ川上流(和歌山県紀ノ川市竹房橋付近)に移動して授業

午後からは、場所を紀ノ川上流(和歌山県紀ノ川市竹房橋付近)に移して授業です。

全長136 kmの一級河川である紀ノ川は、奈良県では「吉野川」、和歌山県に入ると「紀ノ川」と呼ばれます。

紀ノ川は、ほぼ中央構造線に沿って流れる川です そう言われて地形図を見れば・・・ああ、なるほど

紀ノ川は、ほぼ中央構造線に沿って流れる川です。中央構造線は、関東~東海~紀伊半島~四国~九州と西南日本を横断する大断層で、地形図にもはっきりと現れています。そう言われて地形図を見れば・・・ああ、なるほど。

実際に目で見て手で触ると覚えがいい?

後半戦は、岩石を一人3種類ずつ川原から集めて岩石名を言い当てる高校生クイズが突然スタート!午前中から学んだ成果か、みんな正解率が高い。(実際に目で見て手で触ると覚えがいい?)

ルーペで拡大してみると様々な色や形に驚かされます

砂の粒子は、肉眼ではあまりに細かすぎて一粒一粒の特徴まで捉えることが出来ませんが、ルーペで拡大してみると様々な色や形に驚かされ、その多様性に圧倒されます。

総勢20名ばかりが並んで「椀かけ」をしている姿

総勢20名ばかりが並んで「椀かけ」をしている姿に、休日を川原で楽しむ家族も注目。「うちの子も地学の授業を受けさせたかったわ」とは犬の散歩中のお母さん。

重鉱物がうまく濃集できているでしょうか

さて、重鉱物がうまく濃集できているでしょうか。学校に持ち帰って観察・分析します。

関西では初めての開催となったS4Sの記念撮影

関西では初めての開催となったS4S。さすがに最後まで笑いが絶えない楽しい実習となりました。「地球科学」の魅力を感じてもらえたでしょうか。

レポーター:吉澤 理

レポーター:吉澤 理(Sand for StudentsコーディネーターにしてIODPアウトリーチ担当。海洋研究開発機構 地球深部探査センターのスタッフ)慣れないバスガイドに悪戦苦闘

今回参加してくれた大阪岸和田高校・和歌山海南高校のみなさんから感想をいただきました!

  • 砂の調査ができたのは大変貴重な経験だったと思います。いろいろな話が聞けてよかったです。またこういう行事があれば、ぜひ参加したいと思います。(Oさん)
  • 他の生徒にはできない経験ができたのでうれしく思う。(Mくん)
  • たくさん石の知識がついてとても楽しかった!地球規模のプロジェクトでおどろきの連続でした。また呼んで下さい。(Iさん)
  • 最終的に磁鉄鉱が上手く集められるようになり、楽しかったです。石の区別もつくようになったし、これから自慢できる!ありがとうございました。(Dさん)
  • 普段では味わえない体験をさせていただきました。石の区別ができるようになったのは、地学の勉強に少なからず役立つと思います。(Yさん)
  • わん流し(?)がとても楽しかった。まさごせんせーがおもしろかったよ。でも、若干あつかったー。もう1回やりてーです (・ω・)/

今回使用したテキストブック

こちらからどなたでもダウンロードできます

謝辞

紀ノ川・有田川での野外授業は、以下の皆様のご理解・ご協力をいただき開催いたしました。ありがとうございました。

  • 有田市市民会館
  • 国土交通省近畿地方整備局和歌山河川国道事務所
  • 紀ノ川市打田生涯学習センター
ページのトップへ戻る