地球深部探査船「ちきゅう」

JAMSTEC mare3
JAMSTEC mare3
menu
HOME > 「ちきゅう」とは > 掘削

掘削

船上からの掘削では、地下を掘るためのドリルビット、ドリルビットに回転や荷重(押し込む力)を与えるドリルパイプ、ドリルパイプを吊って回転させる機器や掘削流体を循環させる機器が使用されます。

「ちきゅう」で海洋における掘削作業を行う際には、掘削深度または掘削地点の水深に合わせて、ライザー掘削とライザーレス掘削の異なる二種類の掘削手法を用います。

二つの大きな違いは、ライザー掘削では噴出防止装置(BOP:Blow Out Preventer)とライザーパイプによって海底と船とがつながっており、ライザーパイプの中にドリルパイプを通して地下の掘削を行っています。それに対して、ライザーレス掘削ではドリルパイプをそのまま海底に降ろし、海底の掘削を行っています。

掘削計画に応じて、掘削した孔にはケーシングパイプと呼ばれる鋼管が設置され、より深く掘削することが可能となります。ケーシングパイプは海底下の浅いところから順に、前のケーシングパイプの内側を通って設置されるため、孔径がだんだん小さくなっていきます。

また、掘削工程や作業目的に合わせて、地質サンプルを採るコアリングや、地下のデータを計測しながら掘削する掘削同時検層(LWD)といった作業等も行います。

ライザー掘削とライザーレス掘削のちがい

用語説明

[用語1] ドリルビット : 地下を掘削するための機器で、ドリルビットはドリルパイプの先端に取り付けられています。地層の硬さに合わせて形状や刃先を変更しています。そのサイズ(3-3/4”(95.25mm)~36”(914.4mm))も幅広くあり、使用するケーシングパイプによって決められます。ローラーコーンとPDC (Polycrystalline Diamond Compact)タイプのドリルビットが一般的によく使われています。

[用語2] ドリルパイプ : ドリルパイプにはドリルビットに荷重を与えるドリルカラーと回転力を与えるドリルパイプがあります。ちきゅうのドリルパイプはワイヤラインコアリングシステムに対応しているため、通常よりも内径が大きくなっています。

[用語3] 掘削流体 : ライザー掘削では泥水(「でいすい」と読む)、ライザーレス掘削では海水を用います。泥水は成分調整を行うことで、地層に悪影響を及ぼさないようにしたり、地下の圧力を抑え込むことができます。環境にやさしい化学薬品を使用しているが非常に高価なため、掘削流体が最終的に海底に放出されるライザーレス掘削では用いられません。泥水は船上で回収された後、カッティングスを取り除き、成分を再調整し再利用されます。

[用語4] 噴出防止装置(BOP:Blow Out Preventer) : 孔口装置(ケーシング頂部)と接続され、地下から意図せずに発生した流体(油やガス)を地上にまで上げないようにする緊急の遮断装置のことです。

[用語5] ライザーパイプ : 噴出防止装置から船までを繋ぐパイプのことです。ドリルパイプはライザーパイプの中を通っていき、ドリルビットから出てきた泥水は、カッティングスとともにライザーパイプとドリルパイプの間を通って船上で回収されます。「ちきゅう」のライザーパイプは水深2,500mまで稼働可能です。

[用語6] ケーシングパイプ : 掘り終えた区間の孔壁の崩壊を防いだり、圧力差のある地層を遮断する役割を持ちます。様々なサイズ、材質があり目的に合わせて選定されます。

[用語7] コアリング : 通常のドリルビットの代わりにコアビット(ドリルビットの真ん中に穴が開いたもの)を用いて、掘削しながら円柱状の地質サンプルを回収する掘削方法のことをいいます。

[用語8] 掘削同時検層(LWD: Logging While Drilling) : ドリルビットの上に検層機を入れて、掘削すると同時に地質データをリアルタイムで取得する掘削方法のことです。

ページのトップへ戻る