トップページ > JAMSTECニュース > 沖縄トラフ熱水活動域「ちきゅう」掘削孔を利用した潜航調査計画 in NT10-17

沖縄トラフ熱水活動域「ちきゅう」掘削孔を利用した潜航調査計画 in NT10-17

更新履歴

2010/09/24
航海レポートを更新しました。
2010/09/21
航海レポートを更新しました。
2010/09/15
航海レポートを更新しました。
2010/09/14
航海レポートを更新しました。
2010/09/13
航海レポートを更新しました。
2010/09/10
航海レポートを更新しました。
2010/09/01
「沖縄トラフ熱水活動域『ちきゅう』掘削孔を利用した潜航調査計画 in NT10-17」公開しました。

2010年9月、掘削船「ちきゅう」による沖縄トラフの高温熱水活動域(伊平屋北熱水フィールド)の掘削調査が行われます。この調査は「ちきゅう」が完成してから初めての海底下生命圏をターゲットにした掘削航海(IODP第331次研究航海)で、沖縄トラフ伊平屋北熱水域の熱水噴出孔周辺を掘削し、熱水噴出孔の下に存在する生命圏をコアサンプルとして採取します。採取したコアを鉱物学・化学・微生物学など多様な手法を用いて詳細に調べることで、微生物群集の数や種類、生息環境などを把握し、海底下でうごめく熱水微生物生態系の実体解明を目指します。

今回の掘削航海では、「ちきゅう」が開けた100m以上に及ぶ掘削孔にケーシングという、ストロー状のパイプを埋没させる処理を施します。ケーシング処理は、掘削孔が地崩れなどで埋まることを防ぐ役割の他に、パイプの先、つまり地中奥深くを流れる熱水を海底面まで吹き上がらせる煙突の役割も担います。このケーシングパイプによって形成される人工熱水噴出孔を利用して、海底下100mを流れる熱水を採取・分析することで、海底下熱水生命圏の生息環境を調査することを計画しています。このような掘削孔を利用した研究には、掘削活動が及ぼす環境擾乱の影響を最小化できる、またコアサンプルには記録されない海底下生命圏の水環境に関する情報を得ることができるなど、掘削調査には無い利点があります。掘削調査と合わせて掘削孔を用いた掘削事後調査を実施することで、海底下生命圏の真の姿により近づくことが期待されます。

2010年9月13日〜29日に実施される「なつしま」航海NT10-17では、「ハイパードルフィン」を用いてケーシングパイプが設置された掘削孔にアクセスし調査を実施します。「ちきゅう」が人員交代のため熱水域を離れる2日間を利用する今航海の掘削孔調査では、まさに「ついさっきまで」掘削が行われていた「できたてほやほや」の人工熱水噴出孔を訪れることができます。このような調査は世界でも類を見ず、掘削研究と潜航研究を両輪として研究を推進するJAMSTECの面目躍如といえるでしょう。

掘削ポイント

計画の概要はこちらから