更新日:2022/04/15

公募研究

日本周辺の急速な海面水温・気温上昇が温帯低気圧に伴う顕著現象へ与える影響の評価

研究代表者 平田英隆# (立正大学・講師)
研究協力者
[学位:*海洋学,#気象学]

日本付近の海面水温や気温の長期的な上昇率は、世界平均の値と比して、高い(図1a)。海面水温や気温の上昇は、大気中の水蒸気量の増加にも関与し、豪雨などの顕著現象に影響する可能性がある。近年、冬季において、温帯低気圧に伴って観測記録を更新する顕著現象がしばしば観測されている(例えば、2020年1月の大分県佐伯における記録的な豪雨:図1b参照)。このような顕著現象に対して日本付近の海面水温や気温の上昇は、どの程度、影響をおよぼしていたのだろうか。

近年、数値モデリング技術を活用することで、過去データから推定した海面水温や気温の上昇が顕著現象へ与える影響について量的に評価する手法が発展してきた(例えば、Kawase et al. 2021, SOLA)。本研究課題では、この手法を参考にして、海面水温や気温の上昇が温帯低気圧に伴う顕著現象へ与える影響の定量的評価を目指す。本研究課題では、特に、以下の3ケースについて調査を行う。

  1. 2020年1月の大分県佐伯における記録的な豪雨
  2. 2021年2月の低気圧の急発達および豪雨・暴風
  3. 2019年1月の北海道宗谷岬における記録的な暴風

温帯低気圧に伴う顕著現象をターゲットとする本研究課題は、研究組織においてA01-1班(対象:爆弾低気圧・台風)とA01-2班(対象:極端気象)とのちょうど中間の位置づけとなる。本研究課題の実施過程で両グループと綿密に連携を行うことで、当該研究領域全体の研究の促進に貢献したい。

図1:図1.(a)冬季(12~2月)の海面水温の長期変化傾向(1983/84~2019/20年の5年移動平均値の回帰直線の傾きから推定)と(b)2020年1月27日に発生した佐伯豪雨の際の降水分布と気象場。使用データはNOAA OISST v2.1(海面水温)、気象庁全国合成レーダー(降水強度)、気象庁メソ客観解析データ(風と海面更正気圧)。