更新日:2022/05/30

公募研究

夏季西部北太平洋における固体エアロゾルと氷晶核の航空機観測

研究代表者 大畑 祥# (名古屋大学・助教)
研究協力者 茂木信宏# (東京大学・助教)、持田陸宏# (名古屋大学・教授)、當房 豊# (国立極地研究所・准教授)、森 樹大(慶應大学・助教)
[学位:*海洋学,#気象学]

大気と海洋は、熱や水蒸気とともに、様々な気体や粒子状物質をやり取りすることにより、物理的・化学的・生物学的な相互作用を行っている。近年では、海洋生物起源の固体エアロゾルが、氷雲粒子(氷晶)を形成する核(氷晶核)として重要な働きをしている可能性が指摘されている。しかし、生物起源粒子の大気中の数濃度や変動、鉱物ダストなど他の固体エアロゾルと比した氷晶核数濃度への寄与の程度など、観測による実態の把握が必要な点が多く残されている。

本研究では、当該領域研究の計画研究として計画されている2022 年夏季の航空機観測において、大気境界層内と自由対流圏中で大気エアロゾルをフィルタ上に採取・分析し、以下の2つの目的の達成を目指す。

  1. 夏季の西部北太平洋の大気境界層内および自由対流圏中における、生物起源粒子・鉱物ダスト・ブラックカーボンの3 種類の固体エアロゾルの典型的な数濃度とその変動要因を、近年開発された新しい光学的分析手法を用いて明らかにする。
  2. 室内実験で得られている各種固体エアロゾルの氷晶形成能力の既存の知見を用いて、観測された固体エアロゾル数濃度から予想される氷晶核数濃度と、実際に観測された氷晶核数濃度の整合性を調べ、既存の知見を実大気に用いることの妥当性を評価する。

当該領域研究の計画研究では、雲凝結核として働き水雲を生成する海洋起源のエアロゾルと下層雲に重点が置かれるが、本研究ではより上層で氷晶核として働くエアロゾルに着目することにより、 物質を介した大気海洋相互作用の理解に貢献することを目指す。本研究で得られる観測値は、今後、様々な数値モデルの検証などにも活用されることが期待され、地球システムにおける海洋生物圏の役割を明らかにする研究へと発展することが期待される。

図. 2022年夏季の西部北太平洋におけるエアロゾルの航空機・船舶同時観測。本研究では特に、生物起源粒子・鉱物ダストなどの固体エアロゾルと氷晶核に着目し、航空機を用いたエアロゾルの採取と分析を実施する。