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千島海溝と日本海溝におけるアウターライズ地震活動の違いが明らかに

記事

海洋プレートが折れ曲がって海溝から沈み込む際にできる地形的な高まりを、「アウターライズ」といいます。千島海溝と日本海溝では、同じ太平洋プレートが同じような角度で沈み込んできているのにも関わらず、アウターライズから海溝斜面にできる断層「アウターライズ地震断層」の様相がまったく違うことが、地震波速度構造探査からわかりました。

アウターライズ地震活動による海洋プレート構造の変質
~日本海溝と千島海溝における巨大アウターライズ地震活動の違い~

論文タイトル:Controlling factor of incoming plate hydration at the north-western Pacific margin.

ココがポイント

日本海溝と千島海溝に沈み込む直前の太平洋プレート上で、地震波速度構造探査を実施した。
●アウターライズ地震断層は、千島海溝側では数は多いものの浅いが、日本海溝側では数は少ないが深くまで発達していることがわかった。
●断層の違いにより、千島海溝に比べて日本海溝の方が、海洋プレートに取り込まれる水量が多いことがわかった。

この研究をNature Communications電子版に発表した藤江剛主任技術研究員に聞きます。

プレート境界に“入ってくるもの”を知りたい

――こんにちは。藤江さんはどのような研究をしているのかから聞かせてください。

藤江 剛主任技術研究員
写真1 藤江 剛 主任技術研究員

東北日本の太平洋沖では北米プレートの下に太平洋プレートが沈みこんできています(図1)。私はそうしたプレートの沈み込み帯で繰り返し発生するプレート境界型地震を研究しています。プレート沈み込み帯で何が起きているのか、その原因は何か。これらを明らかにするには、そもそもプレート境界に入ってくるものが、入ってくる直前にどう変化しているのかを知ることが重要です。そうした中で今回は、日本海溝と千島海溝のアウターライズ地震断層について研究しました。

プレートイラスト
図1 日本周辺のプレート沈み込み

――アウターライズ地震断層とは、何ですか?

海洋プレートが海溝から沈み込むには、プレートが折れ曲がらなければなりません。かたいプレートが曲がれば、海溝の外側の海底に高まりがつくられます(図2)。その高まりがアウターライズです。海溝の「外側の隆起帯」を意味します。アウターライズと海溝の間では、折れ曲がりに伴う引っ張りの力が生じ、これを解消しようと正断層が発達しています。こうした断層を「アウターライズ地震断層」と呼び、ここで発生する地震をアウターライズ地震と呼びます。この領域では断層を通じて海洋プレートに水が取り込まれ、海溝からの沈み込みとともに最終的に地球内部へ水が輸送されると考えられています。

プレートイラスト2
図2 アウターライズ地震断層

今回研究した千島海溝と日本海溝はこうした領域にあたり、太平洋プレートが同じような角度で沈み込んでいます。

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