労働安全衛生・環境保全への基本方針 ~安全・環境への取組~

我々は科学掘削船「ちきゅう」で石油・ガス等の掘削では通常経験しないような厳しい海気象条件下や特異な地層・岩相など未知の領域に挑んでいます。たとえ新しい科学成果のための挑戦であっても環境への配慮や ゼロ災害を実現できなければ成功はあり得ません。我々は「ちきゅう」に携わる者すべてがこれを共通の目標と実感し、各自がそれを実現するのに最適な環境で高品質な業務を遂行できるようにするため、この基本方針を策定しています。

環境保安グループ グループリーダー 松田繁美

CDEXのHSE-MS ~HSEマネジメントシステムとは~

CDEXでは、安全で質の高い科学掘削実現の為に、労働安全衛生・環境保全(Health, Safety, and Environment: HSE-MS)マネジメントシステムを導入して業務の管理を行っています。このHSE-MSは、世界の海洋掘削で国際スタンダードとなっているもので、労働安全衛生・環境の保全と確保に全力を挙げて取り組むことを外部に向かって自主的に宣言するものです。システム実施のアプローチは、成果のみに注目するのではなく、業務のプロセスを適切に管理する事によって、結果的に安全で高品質な業務の実現を目指す事を特徴とします。
CDEXではHSEマネジメントシステムを構築し、掘削プロジェクトの計画立案、実施、レビューの各段階に於ける作業をシステムに沿って行っています。具体的には、プロジェクトの計画段階でリスクを特定・評価(リスクアセスメント)し、それらをどう軽減し管理するかを盛り込んだ実施計画を立てて業務を遂行します。

CDEXのHSE-MS

業務完了後は、リスクの想定や策定された管理策が有効に機能したかどうかをレビューし、プロジェクトの実施を通じて得られた知見を蓄積して次に活かす、という継続的改善のサイクルがその基本となります。図にありますように、プロジェクトのHSE管理は、基本的にはPDCAサイクルを運用し実行しています。

労働安全衛生 ~働く人の安全衛生を第一に~

HSEマネジメントシステムでは、CDEXの管理下にある全ての人々の安全について考慮する事とされています。これにはCDEX職員はもとより、運用委託会社のクルーや研究支援員、その他の請負会社社員(海上及び陸上)、乗船研究者、メディア関係者から見学等の一時訪船者に至るまでが含まれます。それぞれの業務内容や人の特性等を考慮しながら人身事故ゼロに向けてリスクアセスメントを行い、必要な安全管理策の実施(例えば、手順・ルールの整備や教育・訓練、請負会社の管理・監督等)を行います。

過去5年間のちきゅう人身事故発生率労働安全衛生労働安全衛生

環境保全への取り組み ~かけがえのない海と地球を守る為に~

「ちきゅう」は海と地球を探査する為の研究船ですから、その研究活動自体が地球環境に悪影響を及ぼす物であってはならないと考えています。とは言え、海底を深く掘って試料を採取したり、装置や機器を埋め込む作業を行う以上、環境影響がゼロとは言えません。その為、CDEXでは、掘削に伴う環境影響を事前に評価(環境アセスメント)し、その影響を可能な限り小さくする努力を行っています。

環境保全への取り組み環境保全への取り組み

これには燃料の消費や大気・海洋への排出といった定常的な物のほか、万一事故が起こった場合どのような環境影響があるかという非定常な物も含まれます。また、これらの環境リスクについて、外部と情報を共有する事も重要であると考えています。

高品質な業務の実施 ~すべては研究者の為に~

業務プロセスを管理し、労働安全衛生や環境に配慮した業務を行う事は、業務品質の向上にも通じるものです。CDEXは研究者コミュニティの要求を満たす孔井を仕上げ、質の高い試料やデータを提供する事によって、共にプロジェクトの科学目的達成の一翼を担いたいと考えています。これらの実現の為に、プロジェクトの遂行において予測される困難やトラブルを可能な限り予見し、リスクアセスメントを行い、然るべき対策を立てて実施します。プロジェクトの終了後にはそれらが適切であったかのレビューを行って、CDEX内に技術の蓄積を図っています。

高品質な業務の実施高品質な業務の実施
労働安全衛生と環境保全(HSE)への取り組み
地球深部探査船「ちきゅう」