-
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE3Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは9月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した8月26日・9月6日・9月16日の黒潮の状態です。
伊豆諸島付近で蛇行が発達しているのと同時に(図1A)、黒潮からちぎれていた渦が吸収される形で四国から紀伊半島南方にも蛇行ができています(図1 A”)。
伊豆諸島付近の蛇行(A)は蛇行こそ大きいものの、八丈島(●)の南に黒潮があったりと、いわゆる黒潮大蛇行とは言えない形です(長期予測の記事参照)。この蛇行は次第に縮小すると予測されています(図2~3)。
蛇行A”が東に進んできたことで、黒潮の本流は紀伊半島・潮岬から離岸しています(図1)。黒潮から分岐流があり、黒潮本流よりも暖水が東海沿岸に近づいています(E, 図5も参照)。
A”の蛇行が東に移動すると予測されています(図2~3)。蛇行Aと蛇行A”がつながるような、長期予測とは様子が異なる予測になっています(図3)。
分岐流Eにより潮目が形成され、東海沿岸から関東沿岸は比較的水温が低くなりそうです(図1~3)。黒潮は四国から紀伊半島に近づき(D)、九州東からは離れると予測されています(F)(図2~3)。
水温が急に下がると予測されているのは(図3及び図4)、予測で使っている大気予測が台風を予測しているからです。しかし、これはあくまでも現時点での気象予測に基づいているので、今後予測が変わってくる可能性は大きいです。
図4は8月26日午前10時から9月16日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2025年8月26日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2025年8月26日午前9時から9月16日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト:暖水と冷水の境界
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された8月26日の海面水温です。
黒潮の本流は紀伊半島潮岬から離岸していると推定されますが(図1)、本流から暖水が伸び、潮岬東側での暖水と沿岸の冷水との境目(フロント)が保たれています(a)。静岡県南方では、さらに北まで暖水が伸び、黒潮の本流よりもかなり北でフロントができています。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。