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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE3Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは9月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した9月1日・9月12日・9月22日の黒潮の状態です。
気象庁と海上保安庁は今回の黒潮大蛇行が2025年4月に終息したとの判断を発表しています(2025/8/29発表)。しかし黒潮大蛇行の余波は続いています(「2025年の黒潮のこれまでをふりかえる」参照)。伊豆諸島付近で蛇行が発達しているのと同時に(図1A)、黒潮からちぎれていた渦が吸収される形で四国から紀伊半島南方にも蛇行ができています(図1 A”)。
伊豆諸島付近の蛇行(A)は蛇行こそ大きいものの、八丈島(●)の南に黒潮があったりと、いわゆる黒潮大蛇行とは言えない形です(長期予測の記事参照)。この蛇行は次第に縮小すると予測されています(図2~3)。
蛇行A”が東に進んできたことで、黒潮の本流は紀伊半島・潮岬から離岸しています(図1)。黒潮から分岐流があり、蛇行の北に暖水渦が存在しています(E, 図5も参照)。
A”の蛇行が発達しながら東に移動すると予測されています(図2~3)。暖水渦Eは弱まる予測です。
黒潮は四国から紀伊半島に近づき(D)、九州東からは離れると予測されています(F)(図2~3)。
熱帯低気圧(台風15号?)の通過で沿岸近くの水温が下がりそうです(図4)。
図4は9月1日午前10時から9月22日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。



図4: 2025年9月1日午前9時から9月22日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト:2つの蛇行
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された8月25日(左)と9月1日(右)の海面水温です。
図1で見たように、現在黒潮には南への蛇行が2つあります(図5右a, b)。aの蛇行は次第に消えていくとの予測通り、先週に比べると(図5左)消えつつあります。普通は南への蛇行の北には冷水渦がありますが、今はb(図5右)の蛇行の北には暖水渦(図5右c, 図1E)となっており、興味深い構造です。

JCOPE3Mは水平1/12度の分解能で2か月先までの予測を行っています。予測は毎日更新されています。