第1章 八戸港外変編
 ~いよいよ出港'外変'って?〜

vol.06 「みらい」乗船

台風が襲来する沖縄を発ち、

「みらい」の母港、青森県のJAMSTECむつ研究所へ
やって来ました。

ここから「みらい」へ乗船します。

青森県のJAMSTECむつ研究所
青森県のJAMSTECむつ研究所

船内では、長い航海に必要な物資の積み込み、
観測機材のセッティングなどが始まっています。

遠い海の台風の影響がここまできているのでしょうか。
港に係留された船内では揺れを感じませんが、海は少し、荒れ模様です。

青森の気温は約22度、沖縄に比べるとずいぶん涼しく感じます。

北極海の寒さに耐えることができるのか、
今から少し、不安になってきました、、、

これから長い航海を一緒する、
観測技術員の仲間たちです。

一ヵ月半後、
みんな揃ってこんな晴れやかな顔で下船できるよう、
願っています。

いよいよ明日、出港です。

観測技術員の仲間たち
観測技術員の仲間たち

vol.07 出港しました

08:00、タラップが引き上げられ、
船と陸を繋ぐ係留ロープが解かれました。

次に陸に上がるのは、
約1カ月半後となります。

いってきまーす
いってきまーす

JAMSTEC関係者の見送りの中、
「みらい」はゆっくりと出港しました。

まずは、

燃料の補給や用品の積み込み、
外航船への切り替え手続きのため、
八戸港へ向かいます。

いってらっしゃーい
いってらっしゃーい

vol.08 「外変」について

「みらい」は八戸港へ入港し、「外変」しました。

「みらい」は接岸していますが、
わたしたちは船を降りることは出来ません。

なぜでしょうか。

八戸港の様子
八戸港の様子

船には、
「内航船」「外航船」といった呼び方があります。

「内航船」とは、
日本国内の港を行き来する船。

「外航船」とは、
日本と外国の港を行き来する船のことです。


今回、
「みらい」は日本を出航した後、
北極海で調査を行い、

アメリカのダッチハーバーへ入港するため、
「外航船」にあたります。


普段、
みなさんが外国へ旅行に行く際、

出国前に空港で受ける
出国審査や税関審査がありますが、
これと同じ審査が船にもあります。

審査が完了し、
内航船から外航船へ切り替わることを、
「外変」といいます。

一方、
外航船から内航船へ切り替わることを、
「内変」といいます。


JAMSTECの研究船は世界中の海で調査・観測を行っているので、
「内変」「外変」の切り替えも頻繁に行うことになります。


このような言葉はあまり耳にする言葉ではありませんが、

外国への交通手段として飛行機が一般的でなく、
船が活躍していた時代は、
もっと身近な言葉だったのかもしれませんね。

vol.09 八戸港入港中

「みらい」は八戸港に入港中です。

観測技術員は、
本格的な観測体制に入るまで毎朝定時、

「ブイ調整室」と呼ばれる詰め所に集まり、

観測技術員のリーダーから、
仕事の指示や進捗確認を受けます。

ブイ調整室
ブイ調整室

今日は、
船内の大会議室で、
「化学分析作業安全講習」が開催されました。

分析ではさまざまな薬品を使用するため、

その際の注意事項、緊急時の対策、
事故防止や心得について、
観測技術員全員で確認しました。


航海中、何よりも優先されるのは「安全」です。

さまざまな場面で「安全」に関する
確認・周知が行われます。

大会議室
大会議室

vol.10 夕刻の集い

今回の航海で「みらい」には、多くの研究者が乗船しています。

それぞれの研究者の研究目的はさまざまで、

この研究のために、
高い品質の観測データを提供するのが、
われわれ観測技術員の使命となります。


今日から、
北極海に到着して観測が始まるまでの毎日夕刻、

調査内容や研究の目的、
これまでの成果を研究者から発表いただく、

セミナーが開催されることになりました。

今日の講演者は、
首席研究者の西野さん(JAMSTEC)と、川口さん(JAMSTEC)です。

研究の目的や、
提出したデータがどのようなことを明らかにするために
利用されるのか知ることで、

今後の観測にも一層、力が入りそうです。

首席研究者の西野さん
首席研究者の西野さん

vol.11 「みらい」の居室

ここが、乗船中のわたしの居室です。
共有スペースに個室が2部屋のこの場所を、2名で利用します。

部屋の中に救命胴衣が備えつけられているのは船らしいですが、それ以外は、ビジネスホテルとあまり変わりはありません。
なかなか快適です。

わたしの居室
わたしの居室

「みらい」を建物に例えると、地下3階、地上4階建ての建物になります。

わたしたち観測技術員の居住スペースは、地下2階にあたる「第3甲板」と呼ばれる場所にあります。少しややこしいですね。

船にはこれ以外にも、場所を示す独特の言い回しがあります。

陸上では場所を「東西南北」で指し示しますが、船の向きは一定でないため、
オモテ(船首方向)
トモ(船尾方向)
左舷(船首向かって左)
右舷(船首向かって右)
のような言葉を使います。

「第2甲板倉庫オモテの左舷側にあるボックスパレットからクアラテック取ってきてー」
呪文のようなこんな言葉も、慣れれば聞き分けることができるようになるわけです。

同室の佐藤さんと
同室の佐藤さんと