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HPCI戦略プログラム分野3

統括責任者のご挨拶

大規模自然災害の軽減に向けて

   日本は毎年のように台風、集中豪雨、地震、津波などに見舞われ大きな被害を被っています。特に2011年3月11日の東北地方太平洋沖を震源とする超巨大地震(マグニチュード9.0)とそれに伴う超巨大津波は、東北地方を中心に2万人近い犠牲者と壊滅的な被害をもたらしました。まさに未曾有の大惨事であり自然の猛威を思い知らされました。またこの津波が原因で福島第一原子力発電所で大量の放射能漏れ事故が起こり、これまでにない甚大な被害を被りました。このような大規模な自然災害は社会・経済活動に深刻な打撃を与えることから、防災・減災に向けた迅速で効率的な対策が喫緊の課題となっています。
   大規模な自然災害をもたらす自然現象(ナチュラル・ハザード)に関しては、野外実験によって影響を評価し検証することは不可能であり、大規模シミュレーションによる検討が不可欠です。これまでも、かつて世界最速のスーパーコンピュータであった「地球シミュレータ」を用いて大規模シミュレーションを行ってきましたが、HPCI戦略プログラムの分野3「防災・減災に資する地球変動予測」では、スーパーコンピュータ「京」を用いて、これらのナチュラル・ハザードに関する大規模で高精度のシミュレーションを全国の大学や研究機関と共同して実施し、学術的な展開を図るとともに実際の防災・減災に資することを目指します。具体的には、地球が温暖化した時の台風の強さや数を全球的に予測すること、集中豪雨や局地的大雨の直前予測を実証すること、次世代型の地震ハザードマップのための基盤を構築すること、津波警報の高精度化を図ること、都市全域を対象とした自然災害シミュレーションにより被害の軽減を図ることなどを目指します。その際、二つのスーパーコンピュータ、「京」と「地球シミュレータ」を利用する相乗効果を最大限に追求します。また次代を担う若手研究者の育成にも努めます。
   残念ながら「京」をもってしても、地震や津波がいつ、どこで、どれくらいの規模で発生するかを正確に予測することはできません。しかしながら、台風や集中豪雨を含めてナチュラル・ハザードに関するシミュレーションが、より高速・高精度にできるようになれば、より効果的・効率的な防災・減災対策を立てることができ、自然災害に対して、より強い都市を作ることができます



戦略プログラム分野3  統括責任者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
今脇資郎 特任参事