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無人探査機「ハイパードルフィン」2,000回潜航、達成!

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2017年2月14日、福島沖で無人探査機「ハイパードルフィン」の2,000回目となる潜航調査を行いました。 調査潜航が始まったのは2000年。その後17年間で、潜航回数が2,000回に達したことになります。これは、既に退役したものを含めてもJAMSTECの有人潜水調査船・無人探査機の中で最多の潜航回数です。

開発当初としては画期的だった新開発の超高感度ハイビジョンカメラを備え、機動性に富む「ハイパードルフィン」は、無人探査機による深海調査に新たな時代を切り拓きました。今回は、「ハイパードルフィン」の活躍を振り返りたいと思います。

写真1
写真1 無人探査機「ハイパードルフィン

祝、2000回潜航達成!

まずは、記念すべき2,000回潜航の運航長を務めた、大野芳生(よしなり)運航長にお話しを聞きます。

――大野運航長、潜航回数2,000回達成おめでとうございます!どんなお気持ちですか?

大野:ありがとうございます。

写真2
写真2 大野芳生運航長 1996~2008年に有人潜水調査船「しんかい2000」パイロット、2008年9月から「ハイパードルフィン」運航の指揮をとる運航長を務め、オペレーションチームをまとめる。

大野:率直にうれしいです。「ハイパードルフィン」(以下「ハイパー」)もオペレーションチームもみんなよくがんばったと、達成感も感じています。また、関係者の方に心より感謝しております。

写真3
写真3 潜航回数2,000回達成を祝して船上で記念撮影。中央で「ハイパードルフィン」の絵を持っているのが大野運航長。

――潜航回数最多という「ハイパードルフィン」の人気の秘訣は何でしょうか。

大野:研究者から見れば、目的に合わせて機材を載せ換えられて便利です。海中での移動スピードも速いし、生物や岩石のサンプリングもできます。運用側から見れば、ビークルが単独で潜航するシンプルな構造で、オペレーションもメンテナンスもしやすい利点があります。そのおかげで1日に複数回の潜航も可能です。

図1
図1 「ハイパードルフィン」の潜航イメージ

――「ハイパードルフィン」は、研究者にも運用側にも使いやすいのですね。運航長として、どんなことが印象深いですか?

大野:特に印象深いのは、2014年から2016年にかけて紀伊水道沖に「地震・津波観測監視システム」(DONET2)を構築したことです。

図2
図2 地震・津波観測監視システム
図3
図3 「ハイパードルフィン」による構築作業

大野:潮流が速い中、水深1,300m~3,600mに達する海底50カ所以上に地震計などを設置し、長さ8~10kmの海底ケーブルと接続させる作業を行いました。私は2回目の構築作業の航海から完成まで担当しました。DONETは南海トラフの地震と津波を常に監視するシステムで人命に直結するため、大きなプレッシャーを感じました。完成したときは本当にうれしかったです。

映像 「ハイパードルフィン」によるケーブルと観測点の接続作業の様子

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