がっつり深める

北極海が吸収する二酸化炭素量を定量化

安中さんは、できたての制度で走ってきた研究者!

――安中さんは、どのようにして研究の道を歩んできたのか聞かせてください。

高い志を持って研究を続けてきたと言うより、その時その場で、おもしろそうに感じた進路を選んできた結果、たまたま職がつながり、今に至ったと言った方がしっくりきます。

物理学への憧れと、地球環境問題への興味から、地球物理学を志しました。そして、気候変動の主役は海だと聞いて、海洋物理学の研究室に所属しました。就職難の時期だったこと、周囲でも進学する人が少なくなかったことから、将来への不安を感じつつも博士課程まで進んでしまいました。とはいえ、自分個人の名前で世界の人とつながれることは、大きな魅力でした。

私が大学院に進学した頃から、男女共同参画の名の下に、様々な支援制度が整備されてきました。学術振興会特別研究員の出産・育児に係る中断制度の利用、出産・育児による研究中断経験者のための学術振興会特別研究員-RPDへの応募など、できたてほやほやの制度を使わせていただきました。どれも、利用第1号であるか、それに限りなく近かったです。

これらの制度がなかったら、ものすごいストレスをためて仕事に没頭せざるをえなかったか、とっくに研究の道を諦めていたかだったように思います。今も楽しく研究を続けられているのは、家族の理解も含め、様々な幸運に恵まれたからこそです。

――それまで一生懸命してきた積み重ねがあったから、そうしたできたての制度を利用しながら研究の道を歩んでこられたのですね。

学生の頃は海面水温の長期変動の研究をしており、その後、海のCO2や栄養塩の研究を始めました。これまでに分野は少しずつ変わっていますが、手持ちのツールを使って扱うパラメータだけを変えた感じで、データ解析という部分ではずっと同じです。

――最後に、安中さんはどのようなスタンスで研究に取り組まれているのか教えてください。

「人に聞く」でしょうか。色々な機関で研究してきたので知り合いが増えて、人に頼りやすくなりました。

――ありがとうございました。

  • トップ
  • 北極海が吸収する二酸化炭素量を定量化