がっつり深める

11億年前の海洋生態系の復元―独自の微量同位体分析技術で先カンブリア代の海洋環境を明らかに

良い試料を、自分にしかできない技術で測る

――最古の「ポルフィリン」の分析に、ご自身のラボだけが持つ独自の技術が突破口となったことについて、どのようなお気持ちでしょうか。

もちろんうれしいです。ただ、こういう記録はどんどん更新されていくものだとも思っています。

――最後に、大河内さんはどのようなスタンスで研究に取り組まれているのか聞かせてください。

全く新しいことをしたいと研究に取り組んでいます。

私は常に王道からは逸れるところがあります。みんながあっちへ行くなら私はこっち、と。だから周りからは「それの何がおもしろいの」といった反応をされます。ですが勝ち目があることはある程度予測した上で、誰もやらないところに踏み込んでいます。このポルフィリンの分析法の開発、微量での同位体比の測定機器の開発もそうして取り組み続け、近年理解してくれる人が現れるようになりました。最近も、いくつか興味深い試料の共同研究の依頼が来たところです。

良いサイエンスをするために重要なのは、“とても良い試料を持ってくるか”、“誰も測れない良い試料を測るか”、または“とても良いアイディアがあるか”だと思います。今回は、非常に貴重な試料をオーストラリア国立大学の研究グループが持っていて、それを分析する技術を我々が世界で唯一持っていた、という点でカップリングしました。

――ありがとうございました。

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