「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年2月10日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」は、黒潮大蛇行とその上流の蛇行をともに表現できていましたが海洋速報に比べ東に蛇行が伸びる傾向がありました

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」は、黒潮大蛇行とその上流の蛇行の形をほぼ予測できていました。

短期予測

今回は

2021年2月11日までの黒潮「短期」予測 (2021年2月3日発表) で示した予測結果に対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年2月3日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果(緑線)は黒潮大蛇行について海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。モデル(予測)の大蛇行のほうがやや東に延びる形になっています。その後の短期予測(図2)でも

Fig2

図2. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年2月7日。左上の数字は予測開始日を示す。

同様でした。九州の南東沖では大蛇行の先から切り離された渦が西向きに動き、そこで黒潮にくっついています。くっついてできた蛇行は、海洋速報に比べ予測ではやや東にのびる形になっています。ひまわり画像による比較(図3)で見てもそのような傾向が見てとれます。

Fig3

図3. 「JAXAひまわりモニタ」画像。2021年2月7日 16:00-16:59。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年3月18日までの黒潮「長期」予測(2021年1月13日発表)

2021年3月26日までの黒潮「長期」予測(2021年1月20日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図4)。

図4. 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年2月3日。右:2021年2月7日。左上の数字は予測開始日を示す。

図4から、黒潮大蛇行が南東方向にのびる様子をよく予測できていたといえます。大蛇行の東側の流軸は海洋速報より西側になっています。九州南東沖で大蛇行から切り離された渦がくっつき蛇行になっている様子も予測できていました。2月3日から2月4日にかけて海洋速報ではくっついた渦がつくった蛇行が下流側に向けて少し動いている様子が示されていますが、予測でもそうした傾向が示されています。さらにその先の予測では、「渦Aが九州南東の小蛇行D’’とくっついて小蛇行を大きく」していくとしており,下流の大蛇行にも影響を与えそうです。

先週の比較では、1月30日の海洋速報でまだ渦がくっついていない状況についてお伝えしました。海洋速報では2月2日に渦がくっついたと表現しています。ひまわり画像などを見ている限り、渦がくっつく正確なタイミングについてははっきり言えないところがあります。