2021年2月11日までの黒潮「短期」予測 (2021年2月3日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは2月11日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2021年2月3日・2月7日・2月10日の黒潮の状態です(1日平均)。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。詳しくは「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較の解説をご覧ください。

黒潮大蛇行[1]から渦(A)が大きくちぎれ、いったん大蛇行が終わったと言える状況でしたが、小蛇行(G)が東に移動するにつれて、再び離岸しています(図1)。大蛇行が再開していると言える状況です(長期予測も参照)。紀伊半島の潮岬(B)で大きく黒潮が離岸しています。

大蛇行(G)から北上する流れ(E)は西寄りが続くと予測しています(図1~3)。大蛇行の先端の形の以前の予測との違いは予測検証をご覧ください。

以前に大蛇行からちぎれた渦(A)は九州南東にあり、くっつくか、ほぼくっついており(図1)、完全にくっつくでしょう(図2, 3)。

黒潮は八丈島に近づいていましたが、八丈島の北を通る流路に戻っています[2](図1~3, F)。

四国では室戸岬(C)と足摺岬(D)で、交互に近づいたり離れたりということが繰り返されそうです(図1~3)。

図4は2月1日午前9時から2月11日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト
Fig1

図1: 2021年2月3日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2021年2月7日の予測値。

 

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2021年2月10日の予測値。

 


図4: 2021年2月1日午前9時から2月11日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはちら
  2. [2]東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」のグラフで見ると、八丈島の潮位が下がった後上昇しており、黒潮が八丈島に近づいた後、再び北を通る流路に戻ったことをしめしています。八丈島の潮位については、「黒潮が八丈島の南を流れているのをどうやって観測で確認するの?」で解説しています。八丈島の潮位の持つ意味は、解説「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」でもとりあげています


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。