「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年2月3日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」は黒潮大蛇行の先端が東にのびると予測していましたが、海洋速報流軸はやや異なる様子を示していました。

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」は黒潮大蛇行が南東にのびるような形状になることを、やや大きめではありますが予測できていました。

短期予測

今回は

2021年2月5日までの黒潮「短期」予測 (2021年1月27日発表) で示した予測結果に対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年1月27日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果(緑線)は黒潮大蛇行について海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。大蛇行は紀伊半島沖から南東方向にのびるような形になっています。その後の短期予測(図2)では

Fig2

図2. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年1月31日。左上の数字は予測開始日を示す。

大蛇行の先端がさらに東にのび渦となってちぎれそうな動きを示していましたが実際はそれほど東にのびなかったようです。大蛇行の先端のさらに先にみえる渦は西からやってきている渦で大蛇行とは関係ありません。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年3月2日までの黒潮「長期」予測(2020年12月30日発表)

2021年3月10日までの黒潮「長期予測」(2020年1月6日発表)

2021年3月18日までの黒潮「長期」予測(2021年1月13日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図3)。

図3. 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年1月27日。右:2021年1月31日。左上の数字は予測開始日を示す。

図3から、黒潮大蛇行が南東方向にのびる様子はおおまかには予測できていたといえます。ただし大蛇行の成長は過大に予測されていました。九州南東沖では離岸と予測していましたがこれは大蛇行の先端からちぎれた渦が西向きに動き黒潮とくっつくと予測していたもので、現時点ではくっついたとははっきりといえないようです。ただし「JAXAひまわりモニタ」の1月31日の比較画像を見ると(図4)、

Fig4

図4. 「JAXAひまわりモニタ」画像。2021年1月31日 17:00-17:59。

1月31日の時点でかなり渦が黒潮に近づいているのは確かなようです。引き続き、この点に注目していきたいと思います。