2016年9月24 日から12月1日の予測(9月30日発表)

現在、黒潮が八丈島付近を流れています。黒潮が足摺岬・潮岬で接岸しています。房総半島で黒潮が接岸していますが、一部やや離岸です。黒潮流路は、八丈島付近を南北に移動するでしょう。

図1と図2はJCOPE2で計算した9月24日と9月30日の黒潮の状態です。黒潮は八丈島付近を流れています(図1,2)。

紀伊半島・潮岬、四国・室戸岬と足摺岬で、小刻みな接岸と離岸が続いています(図1,図2)。現在、潮岬では接岸(接岸傾向c ※1)、室戸岬ではやや離岸(離岸傾向d)、足摺岬では接岸(接岸傾向e)しています。四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも情報を提供しています。九州南東では離岸しています(離岸傾向f)。

房総半島では、接岸傾向u,αために黒潮が接岸していますが、離岸傾向xの下流への移動のため一部やや離岸しています(図1,2)。

Fig1

図1: 9月24日の観測値を取り入れた推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

Fig2

図2: 9月30日の予測値。

 


予測

図3と図4は10月8日と12月1日の予測です。

黒潮上の離岸・接岸のゆれが次第に大きくなり、黒潮の流路は南北に移動すると予測しています(図3、4)。先週までの予測より離岸傾向は弱くなっており、八丈島に現在近づいている離岸傾向βによって黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路の状態になる可能性が低くなってきています(図3)。続く接岸傾向aで黒潮流路は北上し、接岸流路的な状態になりそうです。

 

九州東岸から紀伊半島・潮岬では、しばらく小刻みな接岸と離岸が続きそうですが(図3)、しだいに黒潮九州南東部の離岸傾向が大きくなり小蛇行に発達する可能性があります(図3,4)。ただし、今までのところ小蛇行の発達を過大に予測する傾向があり注意が必要です(※2)。四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも予測しています。

図5は9月24日から12月1日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 10月8日の予測値。

Fig4

図4: 12月1日の予測値。図3から個々の離岸・接岸傾向の追跡が難しいためアルファベットは略。

 


図5: 9月24日から12月1日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。


※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,α,,が接岸傾向で、青字x,βが離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図3まで共通で(前号とも共通です)、同じアルファベット、例えば離岸傾向xが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。

※2 現在、JCOPE2の改良版JCOPE2Mの開発を進めており、いまのところJCOPE2Mでは小蛇行の発達は予測されていません。予測システムはJCOPE2Mへの移行を予定しています。「ちきゅうのための海流予測」で使っているJCOPE-T-EASJCOPE-T-JCWは、今週から両方ともJCOPE2Mのデータを参照して予測を行っています。



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。