2017年8月31日から11月2日の予測(9月6日発表)

黒潮は、東海沖と伊豆諸島周辺で大きく蛇行していましたが、伊豆諸島周辺の蛇行は縮小しつつあります。東海沖の蛇行のために、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています。蛇行の東側では沿岸に黒潮から暖水が入りやすくなっています。九州東岸、四国・足摺岬ではほぼ接岸しています。東海沖の蛇行は継続するでしょう。今後、典型的な黒潮大蛇行の流路になると予測しています。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年8月31日から11月2日までの予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した8月31日と9月6日の黒潮の状態です。

伊豆諸島付近と東海沖に黒潮の蛇行が2つ存在しています(蛇行12, 図1,2)。伊豆諸島周辺の蛇行1は、縮小しつつあります(図2)。東海沖の蛇行2は、大きな規模を維持しつつ、継続しています。この蛇行にともない、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています蛇行2の東側で、紀伊半島東から東海沿岸にかけて暖水が入りやすい状況でした(図1,2)。

房総半島沖では黒潮が離れています(図1、離岸傾向t[1])。

九州東岸、四国・足摺岬ではほぼ接岸しています(接岸傾向c, 図2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した8月31日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 9月6日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5・図6は9月13日・9月20日・10月4日・11月2日の予測です。

伊豆諸島周辺の蛇行(蛇行1)は縮小し、黒潮は八丈島付近を移動すると予測しています(図3~5)。一方で、東海沖の蛇行(蛇行2)は成長しながら継続しそうです(図3~5)。。蛇行が大きく、紀伊半島・潮岬での離岸が継続し、黒潮が八丈島の北を流れるようになると、2004-2005年以来となる典型的な黒潮大蛇行の流路(図6)となります。気象庁も黒潮大蛇行になる可能性を指摘しています[2]

足摺岬では、小刻みな離岸・接岸がありながらも、接岸が基調になると予測しています(図3~6)。現在、離岸している室戸岬でも次第に接岸するでしょう(図3~6)。潮岬では離岸が続くと予測しています(図3~6)。房総半島沖では離岸・接岸が大きく変化するでしょう(図3~6)。

図7は、8月31日から11月2日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 9月13日の予測値。

 

Fig4

図4: 9月20日の予測値。

 

Fig5

図5: 10月4日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 

Fig6

図6: 11月2日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図7: 2017年8月31日から11月2日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮の蛇行はどうなるか?

この欄では黒潮蛇行の様子を検証していきます。先週まで気象衛星「ひまわり8号」が観測した海面水温を使って蛇行の発達の様子を見てきましたが、今週は天気が悪く[3]、適当な観測画像が無いこともあり、今後の注目点を図で説明します。

現在の黒潮は図8の上段の図のように流れています。2つの蛇行があり、いわゆるW字型の流路になっています。これが典型的黒潮大蛇行になると図8の下段のようになります。典型的な黒潮大蛇行になると長期的に持続しやすい[4]とされています。JCOPE2Mによる予測は、8月9日号以来、典型的な黒潮大蛇行になると予測しています。

現在でも、蛇行が大きいことと、紀伊半島・潮岬での離岸することの、黒潮大蛇行の二つの特徴は満たしています。蛇行が大きいというのは北緯32度(赤点線)以南まで蛇行するというのが目安になります。[5]

今後は、もう一つの特徴である、黒潮が八丈島(図の)の北を安定して流れるようになるかが注目点になります。現在の予測では、すぐには黒潮が八丈島の北を安定して流れるようにはならず、しばらくは八丈島周辺を南北に移動するのが続きそうです(図3~5)。

黒潮大蛇行になると、図8下段の図のように、蛇行と本州の間に冷水塊とも呼ばれる水温の冷たい半時計回りの渦が占めるようになります。現在はまだそのようにはなっておらず、図8上段の図のように、黒潮の支流で暖水が入り込み、水温は高い状態になっています(先週号の図8、気象衛星「ひまわり8号」が観測した海面水温を参照)。

Fig8

図8:黒潮の流れのイメージ。[上段]現在。[下段]典型的大蛇行。

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,w,,が接岸傾向で、青字t,v,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば離岸傾向xが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
  2. [2]臨時診断表 黒潮が東海沖で大きく離岸」(気象庁、2017/8/30)
  3. [3]気象衛星「ひまわり8号」は雲がかかっている所は海面水温を観測できません。
  4. [4]APLコラム「黒潮大蛇行は発生するか?」の解説も参照。
  5. [5]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。
 


美山 透
海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。