2019年5月22日までの黒潮「短期」予測(5月8日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

をおこなってます。

ここでは5月22日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月8日・5月15日・5月21日の黒潮の状態です(1日平均)。

黒潮は東海沖で大きく離岸しており、黒潮大蛇行[1]と呼ばれる状態になっています(A)。黒潮大蛇行の長期的な見通しについては黒潮長期予測をご覧ください。大蛇行が南東にゆがむ(A)ように予測していますが、人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイトで見るとそこまでゆがんではおらず、今までのJCOPE-T DAの傾向を考慮すると、ゆがみすぎの可能性があります。黒潮長期予測では、短期予測のようなゆがみは予測していません。大蛇行にともない、紀伊半島・潮岬でも離岸が続きます(B, 大蛇行がゆがんだ場合の図3を除く)。

大蛇行の北側では黒潮がS字型に北上し岸にぶつかるようにして沿岸に暖水をもたらしています(G)。ぶつかる位置はしだいに東に移動すると予測しています(図1~3)。

九州東岸から足摺岬(D)にかけては離岸が続きそうです(図3)。室戸岬(C)でも離岸が続きます。

伊豆諸島付近では黒潮が八丈島(図の)の北を通過しています。房総半島では黒潮がやや離れています(F、図1)。房総半島(F)では黒潮が近づくと予測しています(図3)。

図4は5月6日午前9時から5月22日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は土曜日を除く毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト

 

Fig1

図1: 5月8日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。赤丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 同じく2019年5月15日の予測値。

 

Fig3

図3: 同じく2019年5月21日の予測値。

 


図4: 2019年5月6日午前9時から5月22日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはこちら


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。