SINTEX-F季節予測システム

SINTEX-F季節予測システムとは?

季節に見られる天候異常(猛暑や干ばつなど)を数ヶ月前から予測するため、日欧協力のもとでSINTEX-F季節予測システムが開発されました。現在の観測値から将来の天候異常を計算するアルゴリズムに大気海洋結合大循環モデル「SINTEX-F」が用いられているため、SINTEX-F季節予測システムと呼ばれています。2005年からほぼリアルタイムで実験的に、季節予測情報をウェブで公開しています。

SINTEX-F季節予測システムは、大気の水平分解能がおよそ100km、海洋の分解能が50-200kmとなっており、2年先までの天候異常を毎月計算しています。大気と海洋の現象がもつ強い非線形性のために、初期値やモデルの設定のわずかな違いでも予測結果にバラツキが生じてしまいます。そこで、初期値やモデルの設定をわずかにかえた予測計算を複数回実施する「アンサンブル予測」を行い、予測情報を提供しています。

これまでの実績は?

SINTEX-F季節予測システムは、これまで数多くの先駆的な研究成果を収めてきました。世界の季節異常の引き金となるエルニーニョ現象の予測精度は世界最先端で、2年先までのエルニーニョ予測に成功しています。また、エルニーニョ現象に匹敵するほど季節予測に重要な、インド洋ダイポールモード現象エルニーニョもどき現象の予測にも成功しています。近年では、亜熱帯から中緯度で発生する亜熱帯ダイポールモード現象沿岸ニーニョ現象と呼ばれる新しい気候変動現象の予測にも成功しました。これらの研究成果に基づき、現在2年先までのエルニーニョ予測や上記の新しい気候変動現象の予測情報を世界で唯一配信しています。

参考文献: https://www.jamstec.go.jp/aplinfo/sintexf/seasonal/reference.html