皆さま、いかがお過ごしでしょうか?ようやく気温が下がり、冬の足音が聞こえてきました。しかし、海の中はまだ温かいようです。写真は高知県西南端に位置する大月町柏島の海です。水温は裸足で入れるほど温かく、目の前をイルカが泳いでおりました。これから季節が変わりますが、日本を含め世界の天候が気になりますね。
SINTEX-Fの季節予測によると、今年の12月から来年の2月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなりますが、アラスカの一部やカナダ北部、シベリア東部、インドでは気温が平年より低くなる見込みです。
また、アメリカの一部、メキシコの一部、ラプラタ盆地、アフリカ南部の一部、インドネシアの一部、中国東部などでは雨が平年より少なくなる見込みです。一方で、アラスカ南部、カナダの一部、アメリカの一部、中央アメリカの一部、カリブ海地域、南米北部、西太平洋諸島、ニュージーランド北部、オーストラリア北部、モザンビーク、マダガスカル、フィリピンの一部、インドネシアの一部、マレーシア、ノルウェイの一部などでは、雨が平年より多くなる見込みです。
原因の1つとして、海水温の変動が挙げられます。太平洋の熱帯域では、中央部で海水温が平年より低く、東部と西部で高くなるラニーニャもどき現象が発達する見込みです。
今年の12月から来年の2月までの気温と降水量は?
今年の12月から来年の2月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。一方で、アラスカの一部やカナダ北部、シベリア東部、インドでは、気温が平年より低くなる見込みです。
次に、今年の12月から来年の2月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、アメリカの一部、メキシコの一部、ラプラタ盆地、アフリカ南部の一部、インドネシアの一部、中国東部などでは、雨が平年より少なくなる見込みです(図2)。一方、アラスカ南部、カナダの一部、アメリカの一部、中央アメリカの一部、カリブ海地域、南米北部、西太平洋諸島、ニュージーランド北部、オーストラリア北部、モザンビーク、マダガスカル、フィリピンの一部、インドネシアの一部、マレーシア、ノルウェイの一部などでは、雨が平年より多い予測となっています。
また、日本の冬は気温が平年より高く、東日本の一部では降水量が平年より多く、九州・沖縄地方では降水量が平年より少なくなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。
今年の12月から来年の2月までの海面水温は?
日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。
SINTEX-Fの予測によると、今年の12月から来年の2月まで太平洋の熱帯域は、中央部で海水温が平年より低く、東部と西部で高くなるラニーニャもどき現象が弱く発達する見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域では、平年並みの状況となる見込みです。
それでは、これらの海水温の変動が今後どのように発達、減衰していくのでしょうか?そこで、海水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョもどき指数を見ると(図4上段)、12月には-0.5度を下回り、ラニーニャもどき現象が弱く発達しますが、その後、春に減衰する見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。
一方、インド洋の海水温の変動ですが、インド洋海盆モード指数を見ると(図4下段)、11月まで0.5度を上回っており、正のインド洋海盆モード現象が発達していますが、冬にかけて減衰する見込みです。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。
日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、エルニーニョ・ラニーニャもどき現象やインド洋など他の海域の水温の変動も影響を及ぼすことがわかっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきたいと思います。