2022年9月18日までの黒潮「短期」予測 (2022年8月31日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは9月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年8月29日・9月8日・9月18日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。先週と異なり、黒潮大蛇行から渦はちぎれない予測です。渦のちぎれに関しては予測が揺れており、不確実さがあります。いずれにせよ、黒潮大蛇行が継続する予測です。

蛇行の後の北上する流れ(B)は、東に移動すると予測しています。これも大蛇行から渦がちぎれるかどうかで、予測が変化する可能性があります。

四国・足摺岬では離岸していますが、近づくと予測しています(図3, C)。室戸岬では東から強い流れが近づく可能性があります(図1,2 D)。

図4は8月29日午前9時から9月18日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年8月29日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし9月8日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし9月18日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年8月29日午前9時から9月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


沖縄周辺の予測

図5は8月29日午前9時から9月18日午前9時までの予測のアニメーションです。台風通過により、海水面温度が大きく下がると予測されています。石垣地方などでは海洋熱波によりサンゴの白化が発生しており、水温の変化がどう影響するか気になるところです(「最近の海洋熱波・寒波(2022/8) 沖縄周辺が海洋熱波に」参照)。ただし、予測はアメリカ国立環境予測センターの気象予測に基づいており、実際の台風の経路と強さにより予測とは大きく変化する可能性があります。最新の台風情報については気象庁などから最新の情報を入手してください。


図5: 2022年8月29日午前9時から9月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

2022/9/1 追記

毎日更新される短期予測の最新の結果は8月31日にリニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトでも見ることができます(図6)。

図6 JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで表示した水深0mの海洋モデル水温(色)と海流流速アニメーション(線)例。ここでは静止画だが、実際のサイトでは流速はアニメーション表現になっている。。

 

 

 



JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。