高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 1月22日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年1月2日・1月12日・1月22日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
蛇行の後に黒潮が北上する流路は比較的S字カーブ(B)は比較的小さい状態ですが、やや大きくなる傾向があります(図3)。関東から東海沿岸ではやや南に離岸し、特に房総半島での離岸が大きくなると予測しています(図1~3 C)。
四国・足摺岬(D)に黒潮が近づき(図2)、またやや離岸する(図3)予測です。四国・室戸岬沖(E)では離岸しています。
図4は1月2日午前9時から1月22日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
図4: 2023年1月2日午前9時から1月22日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮大蛇行の去年との比較
この欄ではJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトから画像を紹介していますが、人工衛星「ひまわり」が8号から9号に切り替わった後「ひまわり」の画像が遅れているようなので(予測モデルの結果は見ることができます)、今週は「JAXAひまわりモニタ」本体から画像を紹介します。
図5と図6は「ひまわり」で観測された昨年1月2日と今年1月2日の1日平均海面水温です。ある時間に雲がかかっていても、1日で見ると雲のない時間もあるので、この図のように広い範囲で観測画像が見られることがしばしばあります。
昨年も今年も紀伊半島南方を中心に比較的水温の低い水が南まで大きく広がっており、黒潮が大蛇行していることがわかります。昨年(図5)に比べて、今年(図6)の黒潮は蛇行後の北上するS字カーブが小さくなっています。そのため、紀伊半島南端付近では昨年より今年の方が水温が低くなっています。