2022年の5大ニュース

黒潮親潮ウォッチでは2022年も様々なトピックを扱ってきました。黒潮親潮ウォッチの過去の記事一覧はこちら(リンク)で見ることができます。2022年の話題を5大ニュースとして振り返ります。

1) 黒潮大蛇行が5年を超え、史上最長に

2017年8月に始まった黒潮大蛇行は今年も続きました。4月には過去最長であった1975-1980年の黒潮大蛇行を越え、過去最長になりました(「黒潮大蛇行が観測史上最長期間に」)。現段階では終わる徴候は予測では出ていません(黒潮長期予測を参照)。

2) 親潮は冬は強かったが、夏以降弱く

今年の親潮は冬の間は久しぶりに強く南下していました(「親潮が強い」親潮ウォッチ2022/4)。しかし5月頃から暖水渦の影響を受けて親潮の南下が弱まり(「暖水渦の影響が次第に強く」親潮ウォッチ2022/5)、親潮域は平年より温度の高い状況が続きました(「記録的な高水温」親潮ウォッチ2022/12)。近年は夏にこのような状況になることが多いです(「北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに」参照)が、今年は夏が終わっても暖水渦の影響が続いています。気象庁の診断でも現時点で親潮の影響面積は例年に比べてかなり小さく、2020年・2021年に比べても親潮の影響が弱くなっています。

3) 日本海の水温が高く、大雪の一因か

今年の冬は日本海の温度も高くなっています。日本海の水温が高いことは大気の要因と共に日本海側の大雪の一因になっている可能性があります(最近の海洋熱波・寒波(2022/12) 日本海が高水温: 大雪の一因か)。日本海の水温が一因として対馬暖流が強いことが考えられます。実際、今年の対馬暖流は平年より強くなっています。

4) 軽石の漂流

昨年より福徳岡ノ場の海底火山から噴出した軽石は、日本各地に漂着しました[1]。JAMSTECでは昨年11月より、軽石漂流シミュレーションを10月まで更新しました(「軽石漂流シミュレーション」)。現在は大量の漂着は見られなくなっているものの、少量の漂着はまだ各地であるようです。

5) JAXAひまわりモニタ海中天気予報がリニューアル

黒潮親潮ウォッチで「短期予測」と呼んでいる海洋予測モデルは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で開発しているJCOPE-T DAです。JCOPE-T DAの結果は、JAXAのサイト「ひまわりモニタ海中天気予報」でも見ることができます。2022年8月31日に、「ひまわりモニタ海中天気予報」は大幅にリニューアルされました。以前は見ることができなかった海流など多彩な情報を見ることが可能になりました。

黒潮短期予測」では、今週のハイライトとしてJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトから特徴的な図を毎週紹介しています。是非ご活用ください。

  1. [1]研究者コラム
    「福徳岡ノ場の軽石を見る、あちこちで見る、じっくり見る、軽石以外も見る」(JAMSTEC 吉田 健太 副主任研究員, 2022/10/14)