2023年4月16日までの黒潮「短期」予測 (2023年3月29日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 4月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年3月27日・4月6日・4月16日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(A,B,C 図2~3)。

四国・室戸岬()で黒潮が離れていますが、一部暖水は近づいており(図1)、その後、再び南から近づく予測になっています(図3)。

四国・足岬沖(D)では離岸していますが、黒潮から枝分かれした暖水が近づく可能性があります(図3)。

図4は3月27日午前9時から4月16日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年3月27日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年4月6日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年4月16日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年3月27日午前9時から4月16日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 黒潮大蛇行のくびれ

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。(: 3月28日から4月3日までスーパーコンピュータ地球シミュレータの定期メインテナンスのために予測が更新されません)

図5は、日本東方の3月29日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。

黒潮は南北に長く東西が短い蛇行になっています。温度を見ると北部でくびれている様子がうかがえます。渦がちぎれやすい状態になりつつあると見られますが、実際にちぎれるかは今後の様子を見る必要があります。

Fig5

図5:3月29日午前1時の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温(色)とモデルによる流れ(矢印) (①で指定)。水温の色の幅は15~23℃とした(②で指定)。