高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 6月26日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年6月6日・6月16日・6月26日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。S字カーブはさらに大きくなる予測です。関東沿岸から東海沿岸にかけて(B, C) 、黒潮が離れたり近づいたりと、変化が大きそうです。
四国・足摺岬(D)に黒潮が近づく予測です。室戸岬では離岸が続きそうですが、紀伊半島から四国の方に暖水が伸びてきています(図1~3) 。
夏にむけて全体的に水温が上昇していきます。
図4は6月6日午前9時から6月26日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
図4: 2023年6月6日午前9時から6月26日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 台風2号による塩分低下
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5・6は5月31日と6月6日のモデルによる塩分と流れの推定値です。5月31日よりも6月6日では塩分が沿岸で低下しています。これは先日の台風による大雨の影響です。私たちの海洋予測モデルは、JAXAと東京大学が開発している陸域水循環シミュレーションシステムToday’s Earthによる河川水流入の推定値を使って、陸上に降る雨が河川を通して海の塩分に与える効果をリアルタイムに取り入れています[1]。
- [1]Chang, Y.-L. K., Varlamov, S. M., Guo, X., Miyama, T., & Miyazawa, Y. (2023). July 2020 heavy rainfall in Japan: Effect of real-time river discharge on ocean circulation based on a coupled river-ocean model. Ocean Dynamics. https://doi.org/10.1007/s10236-023-01551-1
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