高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 10月9日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年9月19日・9月29日・10月9日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
A、B、Cと流れるS字カーブの蛇行は現在でも大きいですが(図5参照)、さらに強まると予測しています(図1~3) 。
四国付近(D)では、黒潮が足摺岬に近づいています(図1) 。それがしばらく続く予測になっています(図2~3) 。
駿河湾や相模湾など水温が高くなっていますが、秋に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。
図4は9月19日午前9時から10月9日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年9月19日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年9月19日午前9時から10月9日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮大蛇行とプランクトンの分布
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は9月19日の人工衛星「ひまわり」によるクロロフィルa濃度(プランクトン量の指標)の観測値とモデルによる流れのの推定値です。
黒潮が流れているところではプランクトンが少なく、黒潮と陸の間がプランクトンが多くなっています。この図から黒潮大蛇行によってプランクトンの分布が大きく影響を受けていることがわかります。
アプリケーションラボの林田研究員らは黒潮大蛇行によって栄養塩やプランクトンの分布がどのような影響をうけるかについて論文を出版しています[1]。
- [1]Hayashida, H., Kiss, A. E., Miyama, T., Miyazawa, Y., & Yasunaka, S. (2023). Anomalous Nutricline Drives Marked Biogeochemical Contrasts During the Kuroshio Large Meander. Journal of Geophysical Research: Oceans, 128(7), e2023JC019697. https://doi.org/10.1029/2023JC019697
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