高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは5月26日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月7日・5月16日・5月26日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行から渦がちぎれており(A’)、蛇行が大幅に小さくなっています。ただ、まだ黒潮が紀伊半島の潮岬から離れており大蛇行が終わったとまでは言えません。
今後は大蛇行が再発達するかが注目点になります。予測は、Aの蛇行(図5も参照)がちぎれた渦(A’)とくっつく形で、蛇行が再発達すると予測しています(図5も参照)。今週の長期予測ではくっつくところまではいかないと予測しており、予測がわかれています。
B→Cの部分の黒潮が東海・関東沿岸に近づいてくる予測になっています。Dの部分の黒潮は四国足摺岬に近づく予測です。
夏に向かって、全体的にしだいに水温が上昇してきます。
図4は5月6日午前9時から5月26日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2025年5月6日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2025年5月6日午前9時から5月26日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮の蛇行の移動
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された4月29日(左)と5月6日(右)の海面水温です。
この一週間で、黒潮の蛇行Aが、東西幅を狭めながら(カーブがきつくなりながら)、東に移動し、紀伊半島に近づいています。この蛇行が成長して大蛇行が再発達するのかしないのかが焦点です。
大蛇行からちぎれた冷水渦A’は、まわりに黒潮の暖水をまきつけているようにも見えます。この渦が黒潮にどう影響するかも注目です。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。