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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE3Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは7月30日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した7月15日・7月26日・8月5日の黒潮の状態です。
伊豆諸島付近で蛇行が発達しているのと同時に(図1A)、黒潮からちぎれていた渦が九州される形で九州東にも蛇行ができています(図1 A”)。
伊豆諸島付近の蛇行(A)は蛇行こそ大きいものの、潮岬で接岸していたり(図5も参照)、八丈島(●)の南に黒潮があったりと、いわゆる黒潮大蛇行とは言えない形です(長期予測の記事参照)。この蛇行は次第に縮小すると予測されています(図2~3)。
黒潮大蛇行の時は、関東から東海沿岸の水温が高くなり、沿岸地域に蒸し暑い夏や豪雨をもたらすという研究があります[1]。今の黒潮流路は黒潮大蛇行とは言えませんが、黒潮の分岐流による暖水の流入は東からにせよ(図1, 図5も参照)、西からにせよ(図2~3)続き、関東から東海の沿岸では水温が高めに推移しそうです。
長期予測ではA”の蛇行が東に移動すると予測されていますが、短期予測ではあまり移動しないという違いが出ています。
夏に向かって、全体的に水温の高い状態が続きます。天候しだいで水温が下がる時もあります(図4)。
図4は7月15日午前9時から8月5日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。



図4: 2025年7月13日午前9時から8月5日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト:四国と紀伊半島の間
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された7月16日の海面水温とモデルで推定された流速です。
図1A’’の蛇行のため、北上した黒潮が四国・室戸岬から紀伊半島・潮岬にかけて近づいています。四国と紀伊半島の間では、水温と流れから反時計回りの流れがあることがうかがえます。高知県では急潮注意報が出ています。

- [1]東海地方に豪雨と猛暑をもたらしたのは「黒潮の大蛇行」の影響と解明 ~黒潮が及ぼす影響を高解像度の気候シミュレーションで分析~(2024/12/23東北大学プレスリリース)↩
JCOPE3Mは水平1/12度の分解能で2か月先までの予測を行っています。予測は毎日更新されています。