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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE3Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは8月26日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した8月5日・8月16日・8月26日の黒潮の状態です。
伊豆諸島付近で蛇行が発達しているのと同時に(図1A)、黒潮からちぎれていた渦が九州される形で九州東にも蛇行ができています(図1 A”)。
伊豆諸島付近の蛇行(A)は蛇行こそ大きいものの、潮岬で接岸していたり(図5も参照)、八丈島(●)の南に黒潮があったりと、いわゆる黒潮大蛇行とは言えない形です(長期予測の記事参照)。この蛇行は次第に縮小すると予測されています(図2~3)。
黒潮から分岐流が生じて東海沿岸(B)や四国沿岸(E)の水温が高くなっています(図5も参照)。
長期予測ではA”の蛇行が東に移動すると予測されていますが、短期予測ではあまり移動しないという違いが出ています。
夏に向かって、全体的に水温の高い状態が続きます。分岐流が弱まり、東海沿岸で水温が低下する時期がある可能性があります(図3)。
図4は8月5日午前9時から8月26日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2025年8月5日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2025年8月5日午前9時から8月26日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト:去年と今年の水温
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された去年(左)と今年(右)の8月5日の海面水温とです。
今年も去年も水温が高いですが、今年は去年に比べれば水温が低くなっています。沖合では台風が通過したことも今年の水温が低くなっている原因の一つになっています。
去年と今年では黒潮が蛇行している位置が大きく異なっています。そのため、沿岸への黒潮の近づきかたも今年と去年とでは大きく違います。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。