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北極環境変動総合研究センター(IACE)

セミナーのお知らせ

[北極環境・気候・海洋生態系セミナーのお知らせ]

日時
1月18日(月)14:00~16:00
場所
Zoomによるオンライン開催
発表者1
伊東 素代(北極環境変動総合研究センター 北極環境・気候研究グループ)
タイトル
北極海バロー海底谷を通過する夏季太平洋水の昇温
要旨
北極海では、地球温暖化の影響で、夏季の海氷減少が起こっている。アラスカ沖の太平洋側北極海は、北極海の中でも特に海氷減少が著しい海域である。太平洋側北極海のチャクチ海では、ベーリング海峡を通して、太平洋起源の水塊が流入し、熱、淡水、栄養塩が供給されている。JAMSTECでは、太平洋水の海盆域への主要な流出口であるバロー海底谷で、2000年から通年の係留系観測を実施している。近年、係留観測から太平洋水の熱輸送量の増加が観測されたので、その原因と海盆域への影響の解析を行なった。解析結果から、熱輸送量は、主に夏季の風と夏季太平洋水の水温変動で決まり、近年の熱輸送量の増加は夏季太平洋水の水温上昇によることが示された。また、夏季太平洋水の水温変動は、ベーリング海峡からの流入水の変動よりも、チャクチ海内の初夏の海氷変動の影響を受けることが分かった。バロー海底谷から流出した夏季太平洋水は海盆域の表層、亜表層に広がり、海氷融解や結氷抑制することで、海盆域の海氷減少の一因となると考えられているが、海盆域の貯熱量増加のタイミングや絶対値はバロー海底谷からの流入水の変動でよく説明できる。
発表者2
西野 茂人・藤原 周(北極環境変動総合研究センター 北極海洋生態系研究グループ)
タイトル
みらい北極航海MR20-05C観測報告
要旨
2020年9月19日~11月2日、海洋地球研究船「みらい」による北極航海が国際プロジェクト北極海同時広域観測 (SAS: Synoptic Arctic Survey)の一環として実施された。SASはこれまで北極海では行われてこなかった複数船舶による同時かつ広域観測を実施する計画であり、「みらい」は太平洋側北極海の観測を担当した。「みらい」はチュクチ海陸棚域からカナダ海盆にかけて、海洋物理 および生物地球化学的環境についての高精度観測や、環境DNA、プランクトン、マイクロプラスチック等の調査を行った。太平洋からの流入水の流路に当たるNorthwind Abyssal Plainではセジメントトラップを設置し、翌年まで沈降粒子を連続的に採取する。氷縁域では、これらの項目に加え、漂流ブイを展開し、波浪や海流を観測した。セミナー当日は、上記報告に加えて速報結果を紹介する。

本セミナーへの参加についての問合せ先:
北極環境変動総合研究センター 北極海洋生態系研究グループ
藤原 周 amane(at)jamstec.go.jp