クイズです。写真1は顕微鏡で撮った写真ですが、中央の蛍光緑の粒粒何でしょう?
この蛍光緑の粒1つ1つは、微生物です。周囲の淡い黄緑色は違います。この微生物は、研究者を驚かせるほど常識外れだそうです。今回紹介するのは、こちらです。
地下深部の超極限的な環境に「常識外れな微生物群」を発見
~マントル岩石と生命との関わりや地球初期の生命進化の謎の解明に前進~
ココがポイント
●自然界で最もアルカリ性が強い極限環境の1つ、米国「ザ・シダーズ」の泉に、微生物が生きていた。
●その微生物のゲノム解析をしたところ、ゲノムサイズが非常に小さく、生命に必須といわれる遺伝子群が欠落しているなどしていて、常識外れだった。
●そ「ザ・シダーズ」は地球の初期環境と似ているため、この研究は生命進化のなぞを解明する上で役立つと期待される。
この論文を英科学誌ISME Journalに発表した、鈴木志野特任主任研究員にお話を聞きます。
極限環境を生き抜く生存戦略を知りたい
――こんにちは。鈴木さんが発見した微生物は常識外れだったと聞きました。どんな常識外れかを聞く前に、鈴木さんが微生物のどのような研究をしているのか聞かせてください。
地球には、生命圏と、生命が存在できない非生命圏が存在し、その境界に極限環境があります。極限環境とは、たとえば水や栄養、エネルギーを得ること、また生命に必須であるタンパク質や脂質、核酸、糖、アミノ酸などが物理化学的に安定して存在することが難しい、生命にとって過酷な環境です。
私は、その極限環境で生命がもがき苦しみながらもなんとか生きようとする生きざまを、すなわち生存戦略を知りたくて研究をしています。
そうした中で発見した写真1の微生物は、我々の想像を超える常識外れな生き様でした。詳しくは後で説明しますが、それらは過酷な環境下で、少数ながら確実に生きていました。