がっつり深める

極限環境の強アルカリ性の泉から、常識外れな微生物を発見!

常識外れな微生物が持つ、人間の想像を越えた機能を明らかにしたい

――微生物の研究者として、この常識外れな微生物についてどう思われますか?

Who are you? だれ? と。でも、常識(つまり、現在もつ人類の知識)では答えられない設計図をもつ生命に出会う機会はなかなかないので、必ずや生きざまを明らかにして、人類の知を広げることに貢献したいと思っています。

ある環境で生きるために、ゲノムを書き換えていく。この環境の微生物に限らず、それを続けてきた結果、地球上の生命はこんなにも多様になったのだと思うのですが、その生命力そのものがすごいなあと率直に思います。

――今後は、どのような研究をする予定ですか?

この常識外れな微生物がどんな生命なのかを明らかにしたいと思っています。手法は今考えているところです。

――この研究は、どんなことにつながるのでしょうか。

シダーズのような蛇紋岩化反応は、約40億年前の地球初期では多くの場所で起きていたとされます。その反応によって生命のエネルギー源となる水素が生成され、その水素が無機炭素と反応するとメタンなどの有機物が生成されます。それが、生命の誕生と関連すると指摘されています。ですから、この研究は初期生命の姿を明らかにすることにつながると考えています。

また、この常識外れな微生物は私たちが想像できない機能を使って極限環境を生き抜いているはずです。そうしたものを明らかにできれば、何かに利用できるかもしれません。

――一体どんな機能なのか非常に興味があります。 少し話がそれますが、小さいお子様もいる生活は、研究できる時間にどうしても限りがあると思います。どうやって乗り越えるのですか?

いま上の子が6歳、下の子は1歳半です。もう乗り越えていないんですよ。あがいても無理なものは無理。ただ、スピードで勝負するのではなく、自然科学にまっすぐに向き合い“私でなければ見つけられないもので、人知にしていくべきと思えるもの”を研究するようにしています。

そして、娘たちが私を見て、苦しんで仕事をしていると思うのはいやだな、と思っています。「ママは楽しそうに仕事をしている。働くって楽しそうだな」と思ってほしいというのはすごくあります。

研究者として、「未知の生命にもっと出会い、それを知りたい」と率直に思い研究をしています。

――素敵な姿で、憧れます。ありがとうございました。

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