次世帯海洋資源調査技術

 

JAMSTEC

神奈川県横須賀市夏島町2番地15
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TEL:046-866-3811(代表)

海洋生態系観測と変動予測手法の開発

 

 将来の海洋資源開発を見越して、海洋生態系観測に基づく海洋環境影響変動予測手法の確立と評価基準の国際標準化に向けて取り組みます。
 本研究開発項目は海洋研究開発機構、国立環境研究所、東京海洋大学、横浜国立大学が実施します。

 

山本 啓之
  • 国立研究開発法人海洋研究開発機構
  • 山本 啓之
  • 次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム
    生態系観測手法開発ユニットリーダー
  • 海底資源研究開発センター環境影響評価研究グループリーダー

 

計画概要

 現在の環境調査では、変動や影響の評価指標として大型生物に重きを置いていますが、より迅速に生態系の変動を予測して的確に影響評価するためには、どのような海域にも存在し、環境変化に鋭敏に応答する微生物群集を指標として取り込んだ解析が必要です。この研究開発では、大型生物から微生物までを指標とした海洋生態系の調査観測の手法と変動予測の原理を研究し、迅速に環境の状態を評価する実用的なシステムを開発して民間へと技術を移転し、海洋資源開発における環境影響評価のガイドラインとして国際標準にすることを目標としています。
 初年度は開発のための基盤整備と予備調査に重点をおき、平成28年度中には最新の技術による調査観測から統合解析までのシステムを開発し、平成30年度までにシステムを利用した国際標準となる環境影響評価と保全管理のプロトコールの公表を目指しています。

 

海洋生態系の調査観測

 

河地 正伸
  • 国立研究開発法人国立環境研究所
  • 河地 正伸
  • 生物・生態系環境研究センター 室長

 

計画概要
 国立環境研究所では、海洋資源開発における環境影響評価のガイドライン構築に向けた取り組みのうち、海底資源開発が開発区周辺の表層環境に及ぼす影響やリスク等の予測手法開発を担当します。採掘にともなう海底攪乱が海洋表層に直接伝播するケースや海上の採掘プラントでの事故・災害時における鉱物等の漏洩リスクを想定して、1)表層生態系や低次生産に及ぼす影響を把握するための調査手法開発、そして2)影響範囲や期間等を含めたリスクを予測するための数理モデル開発を行います。初年度は、基盤整備や予備的な調査・実験に重点をおき、平成28年度までには、表層微生物群集への漏洩物質の複合影響調査手法や生態影響試験プロトコールの確立に取り組みます。また表層生態系や生物生産への影響を予測するための物理モデル、そして生態系の破壊から回復を予測するための生態系モデルの基本フレームを開発します。平成30年度までにはそれらのシステム化と民間への技術移転、そして国際標準となる生態影響試験等のガイドラインの公表を目指します。

 

川邉 みどり
  • 東京海洋大学
  • 川辺 みどり
  • 国立大学法人東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科
    海洋管理政策学専攻 教授
計画概要

 本研究は、海底資源開発をサステイナビリティの文脈で進めるために必要な法制度、および「総合的な海洋管理」の制度設計に向けた基本的な方針の提示を目的とします(図1)。

図1 計画概要



 本研究は、次の二つのテーマで構成されています。
テーマA《海底鉱物資源開発活動に向けた法制度の検討および法体系における調整》と
テーマB《海底鉱物資源開発活動に向けた社会経済的対応の検討》


それぞれのテーマでは、次のことを行う計画です。
テーマA《海底鉱物資源開発活動に向けた法制度の検討および法体系における調整》

  1. 海洋鉱物資源開発における国際的な海洋環境保全ルールに立脚する法制度の構築および提案をするために、わが国の現行法制(図2)を検討し、その課題を具体的に指摘します。
  2. 海底資源開発における、沿岸法制度の他海域区分(EEZ、EEZ外、深海底)への適用可能性の検討を行います。
  3. (1)海洋資源探査・開発に伴う海洋環境への影響評価についての国際的な動向や関連の実行の調査および検討、(2)海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する諸外国の関連国内規制の調査および検討、(3)海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する日本における国内法整備のあり方の検討および提案を行います。

図2 現在のわが国の海域と法制度の関係



テーマB《海底鉱物資源開発活動に向けた社会経済的対応の検討》
海底資源開発に関する、次の3つについての手法を開発します(図3)。

  1. 既存産業の経済活動が受ける影響の評価手法
  2. 海洋生態系が受ける影響の社会経済的評価手法
  3. 海底資源開発の環境影響評価におけるコミュニケーション手法

図3 研究テーマB《海底鉱物資源開発活動に向けた社会経済的対応の検討》の3つの内容の関係



 最終的な目標は、サステイナブルな海洋資源開発を行うことができる新海洋産業創出に向けた国際/国内法体系ならびに社会経済的影響評価と合意形成過程のプロトコルを、従来のSIP研究の成果(生態系環境影響評価)と組み合わせることで、国際標準となりうる「総合的な海洋管理」のパッケージを提示することです。
 この研究を通して、東京海洋大学・大学院教育においては海底資源開発に関する環境影響評価を行うことができる人材を育成し、また、海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する国内法整備に資するように努め、さらに、開発した評価手法を民間企業や地方自治体へ還元したいと考えています。

 

中村 由行
  • 横浜国立大学
  • 中村 由行
  • 国立大学法人横浜国立大学 統合的海洋研究・研究センター センター長
計画概要

 横浜国立大学では、海底資源開発における環境影響評価のガイドライン構築に向けた取り組みのうち、我が国が開発している海洋資源調査手法と監査監視技術を国際標準化させるための提案書のとりまとめを担当します。提案書は、

1)海底資源開発における環境影響評価制度の整備拡充

2)多様な海底利用活動の調整制度の整備拡充

という視点に基づきとりまとめていきます。
平成27年度は、国内外の環境影響評価制度、海洋資源管理に関する現行の国際秩序などの現状把握に重点をおき、平成28年度以降、提案書に盛り込む内容について具体的な検討を行っていきます。平成29年度には、深海の貴重な生態系を保全するために必要な理念や指針を日本から発信するための国際シンポジウムを開催し、最終的には、我が国が開発している海洋資源調査手法と長期モニタリング技術を将来国際標準にするためには何が必要なのかを整理し、それらを提案書としてとりまとめます。



関連リンク:
横浜国大プロジェクト ウエブサイトURL
http://www.cosie-sip.ynu.ac.jp

 

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