2017年秋の予測の“答え合わせ”

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2017年も残すばかりになりました。冬もいよいよ本番といったところです。風邪などにはくれぐれもお気をつけください。本投稿では季節ウオッチの“答え合わせ”第六弾として、2017年の秋に注目します。

まずは熱帯太平洋から見てみましょう。図1は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生しているかどうかを判断する際によく使われる指標Nino3.4(熱帯太平洋東部で領域平均した海表面水温がどのくらい平年値からずれているか(偏差と呼びます)を示す数値。単位は°C)の現在までの推移です。青色の線が観測値、つまり実際の値です。2017年5-6月頃には+0.5ºC 近くだったNino3.4指標は、7月になると徐々に下がりはじめ、8月にはほぼ0ºCになりました。その後もぐんぐん下がり、結果、現在の熱帯太平洋は、ラニーニャ現象が発生している状態だと言えます。2017年9月1日時点でのアプリケーションラボの予測シミュレーションの結果は赤色の線で示してあります。予測初期の9-10月では、赤色の線と青色の線がよく一致していますね。11月になると、青色の線が急に赤色の線の下になり、予測は11月からの“冷え具合”を過小に予測していたことがわかります。

少々専門的な話を付け加えます。上記の話は、僅かに異なる条件で計算した9つの予測値の平均値についての議論です(アンサンブル予測と呼ばれます)。確かに9つの予測の平均値(アンサンブル平均値)では過小予測ですが、9つの予測の内、3つは11月のラニーニャ現象の振幅を的確に予測していました。季節ウオッチの“答え合わせ”記事は、主に、アンサンブル平均値と、観測との比較に基づくものですが、いずれ別の記事で、確率論的な予測についても詳しく解説したいと思います。

図1: エルニーニョ/ラニーニャ現象の指標Nino3.4(単位は°C)の現在までの推移と2017年9月1日から開始した予測値の比較。青色の線が観測値、グレー色の線が僅かに異なる条件で計算した9つの予測値、赤色の線が9つの予測値の平均値。

次に、2017年秋(2017年9月から11月の平均)における海表面水温の平年値からの差を見てみましょう。図2(左)は実際の状況(正確には米国NOAA/OISSTの観測データ)で、暖(寒)色が平年より水温が高(低)いことを示しています。図2(右)が2017年9月1日からの予測値です(つまり9/1時点から1-3ヶ月先の将来予測)。概ね予測に成功していると言えますが、よく見ると、熱帯太平洋東部の平年より低い水温が、予測では過小評価されています。これは前述した通り、ラニーニャ現象の予測の過小評価によるものです。またインドネシアのスマトラ沖合の高い水温は、予測では逆に低くなっていますね。これは「2017年夏の予測の“答え合わせ”の記事」でも触れましたが、今年の晩春頃から発生した正のインド洋ダイポールモード現象の発生予測には成功したものの、その振幅を過大評価したことによるものでしょう。

図2: 2017年秋(2017年9月から11月の平均)における海表面水温の平年値からの差(単位はºC)。左図は実際の状況(正確には米国NOAAから配信される観測データ)で、右図が2017年9月1日からの予測値

次に、2017年秋(2017年9月から11月の平均)における地上気温の平年値からの差を見てみましょう。図3(左)は実際の状況(正確には米国NCEP/NCARから配信される再解析データ)で、暖(寒)色が平年より気温が高(低)いことを示しています。図3(右)が2017年9月1日からの予測値です(つまり9/1時点から1-3ヶ月先の将来予測)。概ね予測に成功したと言えますが、例えば、ロシア中部から中国北部にかけて、北アフリカ、欧州南部、アフリカ南部、アルゼンチンなどの低温傾向が予測できていません。残念ながら、日本列島の低温傾向についても予測が外れています。

図3: 2017年秋(2017年9月から11月の平均)における地上気温の平年値からの差(単位はºC)。左図は実際の状況(正確には米国NCEP/NCARから配信される再解析データ)で、右図が2017年9月1日からの予測値。

最後に降水量の平年値からの差を見てみましょう。図4(左)は実際の状況(正確にはCMAPと呼ばれる観測データ)で、緑(茶)色が平年より多雨(少雨)であることを示しています。図4(右)が2017年9月1日からの予測値です。熱帯太平洋の降水分布はよく似ています。一方で、熱帯インド洋の降水分布は外れています。これは、前述した熱帯インド洋の水温の予測が外れていることと関係しているでしょう。また陸上では、西アフリカの乾燥傾向や欧州西部の乾燥傾向は予測できていました。一方で、ブラジルの乾燥傾向や、アフリカ中央部やインドネシアの多雨傾向が予測できていません。中緯度域の降水分布は予測が難しいことが知られていますが、日本付近の多雨傾向は予測できていますね。

図4: 2017年秋(2017年9月から11月の平均)における降水量の平年値からの差(単位はmm/day)。左図は実際の状況(正確にはCMAPと呼ばれる観測データ)で、右図が2017年9月1日からの予測値

この「答え合わせ」も六回目となりました。「2017年夏の予測の“答え合わせ”の記事」のあとがきでも触れましたが、予測の検証は、更なる予測精度の向上に向けた研究のために重要な作業です。今後も季節の変わり目(3ヶ月に1度程度)に、このような「答え合わせ」記事を投稿する予定です。合わせて、関連するアプリケーションラボの最先端の成果なども紹介するつもりです。来年も「季節ウオッチ」をよろしくお願い致します。

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